ダナ・ホワイトの怒りを買ったホールマンの呆れたショーツ=UFC

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ダナ・ホワイトの怒りを買ったホールマンの際どいコスチューム 【画像提供:UFCモバイル】

 8月6日にフィラデルフィアで行われたUFC133「Evans vs. Ortiz」は、サブミッション結着が1試合もない大会となった。
 結果、ファイト・オブ・ザ・ナイトとノックアウト・オブ・ザ・ナイトと並ぶ、3賞の一つサブミッション・オブ・ザ・ナイトの該当者はなかった。その代わりと言っては何だが、ブライアン・エバーソールが、(ダナ・ホワイトからの)特別ボーナスとして7万ドルを手にしている。名目は「少しでも早く、呆れたショーツをTV画面から消し去った」からというもの。

 この日、エバーソールと対戦したデニス・ホールマンが際どいショート・ビキニのようなショーツでオクタゴンに現れ、舞台裏では放送コードにかかるような事態が懸念されていたわけだ。
 この面白おかしいボーナスを手にしたエバーソールだが、彼のフィニッシュはノックアウト・オブ・ザ・ナイトを獲得してもおかしくない衝撃的なものだった。

“呆れたショーツ”をテレビから消し去った衝撃のヒジ

 試合開始早々、ホールマンにバックグラブを許したエバーソールは、リアネイキドチョークから逃れるために懸命になったように、出足は最悪なものだった。
 仰向けで背中に張りつくホールマンの体の中心から、徐々に上半身をずらしていくと、ホールマンがバックグラブの態勢を諦め、即マウントに移行を図った。この瞬間、エバーソールはヒップエスケープからヒザを畳んでリバーサルを仕掛ける。

 簡単に下になるまいとしたホールマンは、得意のギロチンの態勢をとり、引き込むような形でキャンバスに背をつけた。彼はこの態勢からスイープも得意としている。
 しかし、エバーソールはホールマンの背中がマットに着く前に、立ち上がり、足をハーフですら絡ませないよう対処。結果、無理なく首を引抜き、ギロチンから逃れることに成功する。ここまで両者は、非常に高度なMMAグラップリングを披露し続けていたが、トップを奪ったエバーソールは、その凄まじいヒジ打ちの威力を如何なく発揮していった。
 最初は右腕でパンチ、鉄槌(てっつい)を落とし、ホールマンの意識を右側からの攻撃に集中させると、背伸びするように体を伸ばしたエバーソールは、体重を左ヒジに掛けて飛び込んでいった。
 この一発が効いたホールマンは、無意識にハイガードをとり逃げようとしたが、足を払われ右エルボーを受け、TKO負けに。

 思えばグラウンドでのエルボーを受けるというシチュエーションは、有史以来、人間が受けたことが最も少ない攻撃手段の一つのように思える。MMAをやっていなくても、子供の頃の喧嘩では、寝転びながら殴り合ったことは一度ぐらいはあるだろう。あるいは飛び道具が発明される以前の戦場における肉弾戦では、蹴り上げや組まれて拳を受ける戦闘が行われていたに違いない。
 サッカーボールキックやマウントパンチ、パウンドという他の寝技における打撃よりも、グラウンドでのヒジ打ちに関しては、人間は経験値が低く、ディフェンスのDNAが体に染みついていないのかもしれない。
 MMA歴14年、キャリア67戦のホールマンですら、パンチの軌跡は読めても、エルボーが飛んでくる角度は予想できなかった。勝負は最初の左エルボーで決まっていた。
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