欧州への挑戦と五輪への望み――バスケ・石崎巧=bjリーグ経験で着実な成長を残した1年

松原貴実

まだまだ上を目指さなければいけない

欧州挑戦とともに、代表での活動で五輪出場をあきらめないと話す石崎。ここからが勝負となる 【スポーツナビ】

――1年を振り返って、bjリーグの舞台で得たものは何だったと思いますか?

石崎:まずはやっぱり外国人選手との関係性でしょうか。外国人選手の比率が高いのでマッチアップすることもそうですが、パスを出す場所であったり、タイミングであったり、または外国人のバスケットの文化だったり、そういうものを学べたのは大きかったと思います。これから自分が海外に出るとしてもガードとして(外国人の)チームメートを引っ張っていかなければならないわけで、そういう意味でこの1年の経験は自分のステップのプラス材料になったと感じています。

――プレーヤーとして成長できたと思われる点は?

石崎:うーん、判断力が良くなったかなぁとは思っています。外国人選手を相手にしていると、何て言うか、一瞬の判断がすごく大事になってくるんですね。行くときは行く、行かないときは行かない、瞬時に次の展開を決める、そういう考え方の切り替えは前よりスムーズなったような気はしています。

――昨年に続き日本代表メンバーに選出されましたが、合宿に参加した感想は?

石崎:練習はきついですが、同時にとても楽しいです。やっぱりこれからもここでやり続けたいという気持ちが一層強くなりました。自分がプレーを続けて行くうえで、このチームで何ができるのかというのがすべてだと思っているので。

――今回の代表チームはグループ1、2、3に分かれて下には有望な若手選手も入ってきました。そういったことは刺激になりますか?

石崎:楽しみな部分はありますが、刺激になるということはないですね。というか、今は下を見ている余裕はなくて、まだまだ自分が上を目指さなければならない立場なので。チームの中でも上のレベルの人間と戦って、倒して、もっともっと上に行きたいという気持ちの方が強いですね。

――その手応えは感じていますか?

石崎:以前よりは戦えているような気はしています。前は(同じポイントガードの)柏木(真介/アイシン)さんにしても、木下さんにしても、少し水を開けられているなぁという思いがあったんですが、今は対等とまでは言わなくとも、勝負にはなってきたなと思えるようになりました。これから勝負ができるステージまで上れるようになってきたなという手応えは感じていますね。以前はそういった競争の中で焦っていることが多かったんですが、それに比べて今はいい精神状態でやれていると思います。

今年の目標は欧州でのプレー

――数年前、日本がロンドン五輪に出場する可能性について伺ったことがあります。そのときの答えは「無理だと思います」でした。その後、日本代表メンバーとして国際大会も経験し、自分の中で変化してきたものはありますか?

石崎:世界のレベル、アジアのレベルを考えたとき、日本が五輪の出場権を得るのは非常に厳しいという考えには変わりありません。ただ昨年、代表メンバーの一員として戦えたことで、少しでも(五輪出場の)望みがあるのなら、たとえ相手がどこであっても勝ちたいという思いは強くなりました。だからこそ今はその『可能性が少ない現状』を打開するために何をすべきか?ということを具体的に考えられるようになった気がします。今は誰かに「無理だよ」と言われても、「いや、まだ分からない」と思う自分がいます。

――五輪出場を目指す代表メンバーとは別に石崎巧個人として今年目指すものはなんですか?

石崎:欧州のチームで自分を磨きたいという気持ちに変わりはないです。そういった環境の中でプレーすることで自分がまだ伸びる可能性があると感じているので、今は所属できる(欧州の)チームを探しています。ただ今年は五輪出場権が懸かった年でもあるので代表チームのスケジュールも詰まっていて、その中で受け入れてくれるチームを見つけるのは難しい状況ではあります。

――12人に絞られる代表メンバーに残ることができたら、そちらの活動を優先したいということですか?

石崎:そうですね。五輪に出場するチャンスというのは試合をするまでどのチームにも平等に与えられているものだと思うし、そういった意味では日本にもチャンスはあるわけですから、もし自分が(最終メンバーに残って)戦わせてもらえるのであれば精一杯トライしたいという気持ちはあります。ただ、だからといって(欧州に)挑戦することをあきらめるのではなく、そちらへのアプローチも可能なかぎり続けていきたいと思っています。

――すると、今季はbjリーグ、JBLを含め日本のチームでプレーすることはないと?

石崎:そうですね。今のところは考えていません。自分の目標はあくまで欧州でプレーすることなのでその努力は続けるつもりです。もし仮に日本でプレーする可能性があるとしたら、自分を受け入れてくれる向こうのチームがどうしても見つからず、なおかつその時点で自分を受け入れてくれる日本のチームがあった場合でしょうが、今はそういうことは考えないようにしています。現時点で自分が目指しているのは欧州の舞台であり、その気持ちになんら迷いはありません。

<了>

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著者プロフィール

大学時代からライターの仕事を始め、月刊バスケットボールでは創刊時よりレギュラーページを持つ。シーズン中は毎週必ずどこかの試合会場に出没。バスケット以外の分野での執筆も多く、94『赤ちゃんの歌』作詞コンクールでは内閣総理大臣賞受賞。

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