スコールズの引退
チャンピオンズリーグ(CL)決勝でメッシとともに傑出したプレーを披露したシャビは、終了のホイッスルとともに喜びを押さえて、スコールズをいたわった。シャビはスコールズのプレーを「参考にしている」と言い、36歳のMFに敬意を表したのだ。ジダンのコメントも印象深い。
「わたしのキャリアにおいて後悔があるとすれば、スコールズと一緒にプレーできなかったことだ。彼がなし得たすべてのことは達成困難で、何でもできるプレーヤーは希有(けう)だが、彼はそうだった。わたしはスコールズのプレーを見て退屈することがない」
676試合、マンUでは4番目のキャップ数である。スコールズがファーガソン監督に引退の意向を伝えた時、監督はシーズン中にそのことを話さないように言ったそうだ。CL決勝を前に、チームが混乱するのを避けたかったようだ。スコールズが引退について話したのは家族と親しい友人だけで、公にしたのは試合の後だった。ウェンブリーで敗色濃厚となった時、ファーガソン監督はスコールズを大舞台のピッチに送り込むことで、敬意を表したのだった。
ところが、間髪入れずスコールズが口にした選手名は「フランキー・バーン」であった。質問者の困惑を見て、スコールズは続けた。
「リーグカップで6得点したんだ。オールダムvs.スカボローさ。知っています?」
ギグス、ネビル兄弟、ベッカム、そしてカントナらとマンUでの輝かしいキャリアをスタートさせたスコールズは、イングランド代表としても66試合でプレーしている。しかし、代表キャップはその気になれば100を超えていただろう。エリクソン監督はスコールズを左サイドで使うというミスを犯し、スコールズは代表でプレーする意欲を失ってしまった。その後、カペッロ監督が復帰を求めたが、スコールズは応じていない。マンUでは10回のリーグ優勝、CLも2度制覇、FAカップも3度取った。
栄光に包まれたマンUでのキャリアだが、いくつか残念な出来事もあった。最大は99年CL決勝に出場停止でプレーできなかったことだ。このシーズン、マンUはトレブル(3冠)を達成したのだが、最後の大逆転劇に彼は含まれていなかった。
何回かレッドカードも受けていて、先月のFAカップ準決勝(マンチェスター・シティ戦)でも退場になっていた。代表戦でも99年のスウェーデン戦で退場になった。ウェンブリーでレッドカードをもらったイングランド代表選手はスコールズだけだ。昨年、アーセナルのベンゲル監督は「彼にはダークサイドがある」と評している。もちろん、マンUへの多大な貢献と比べれば小さな欠点ではあるけれども。
スコールズはマンUのコーチとしてクラブに残る。まだ役割ははっきりしていないが、将来は監督への道を歩むようだ。
<了>
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