南関東・JRAから移籍馬多数!リピーターレースの今年の結末は?/佐賀スプリングカップデータ分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

2023年優勝リュウノシンゲン 【撮影:佐賀県競馬組合】

リピーターの多いレースで、2018年の創設以降6回のうち3頭が複数年で3着以内に入った。そのうちキングプライドとパイロキネシストは2勝を挙げた。
今回は出走12頭中7頭が今年に入ってから佐賀に移籍してきた馬。移籍組と地元馬の力比較はどうなのか、ここではレースが創設された2018年から23年の過去6回のデータを元に分析をする。

過半数で3連単7000円未満の配当

過去6回中5回で単勝3番人気以内の馬が勝利。3着以内も過去6回18頭中12頭が3番人気以内と、上位人気の信頼度が高い一戦と言える。それを反映するように3連単が万馬券になったのは2回のみ。2番人気→5番人気→6番人気の順で決まった20年3万3110円と、5番人気→4番人気→3番人気の順の22年2万2750円で、いずれも1番人気が馬券圏外だった。

単勝人気別成績 【表1】

中距離でも逃げ・先行馬が有利

舞台となる佐賀1800mは向正面に入ったところからスタートし1周半、コーナー6回のコース。地方競馬では中距離に分類される距離ではあるが、最も勝率がいいのは先行馬。3着内率では逃げ馬が57.1%と基本的に前が有利だ。地方競馬の小回りコースの中でも比較的差しが決まりやすい佐賀ではあるが、差し馬は1勝で、3着内率も25.0%にとどまる。

脚質別成績 【表2】

上がり3ハロン39秒未満の脚を使える馬に注目

前項からのつながりで、先行・差し馬のうち3着以内に入れる馬はどういった馬なのか、もう少し詳しく見ていきたい。下表は先行・差し馬について、上がり3ハロンのタイム別で成績をまとめたもの。40秒未満の上がりの脚を使える馬が好成績で、中でも39秒未満の上がりの脚を繰り出せた馬は3着内率47.6%と高確率で上位に入っている。

先行・差し馬の上がり3ハロン別成績 【表3】

内~真ん中の枠が好ましいか

馬番別成績ではややバラつきがあるものの、内枠と真ん中の枠が比較的好成績。当レースのコースはスタートから最初のコーナーまでにある程度の距離があるため、内枠から好スタートを決めると有利に進めることができる。また、ダッシュをつけて真ん中の枠から取りたいポジションを狙うこともできるのがその要因だろう。

馬番別成績 【表4】

5~8歳馬が好成績も、10歳馬の勝利も

2勝を挙げる6歳馬は18年キングプライドと19年グレイトパール。2勝を挙げた馬が2頭おり、その分だけ勝ち馬の馬齢も上がる。最も高齢で勝ったのは22年に連覇を果たしたパイロキネシストで10歳だった。3着内率なども考慮すると、5~8歳が比較的好成績か。

馬齢別成績 【表5】

“黒っぽい馬”が好成績!?

最後におまけデータを。サラブレッドの生産頭数が最も多いのは鹿毛、次いで栗毛なのだが、当レースでは“黒っぽい馬”の成績がいい。黒鹿毛が2勝、青鹿毛が1勝を挙げており、パドックで気になる“黒っぽい馬”がいれば、狙ってみるのもいいかもしれない。

毛色別成績 【表6】

データからの推奨馬は?

①上位人気馬
②逃げ・先行馬
③上がり3ハロン39秒未満を近走で出している馬
④黒っぽい馬

サトノディードは元JRAオープン馬。その後、大井に移籍し、南関東でも1800m~2000mのレースで勝利を挙げた。今年3月に佐賀移籍初戦を迎え、前走で初勝利。ペースが流れる中を後方からの差し切りと、展開が向いた面もあるにせよ、佐賀での3戦すべてで上がり3ハロン39秒未満の末脚を使えている点は魅力的。偶然にも青鹿毛で、①③④に当てはまる。

サトノディードが勝った前走で“負けて強し”を見せたのはアエノブライアン。こちらも大井の1600m~1800mで活躍した馬で、前走が佐賀移籍初戦。その前走は緩みのないペースを3番手でついていき、前に行った馬がどんどん後退していく中、唯一勝ち馬に食らいつき、直線では盛り返す場面も見せたほど。移籍2戦目での馬場慣れも見込め、今回は園田・姫路から下原理騎手が乗りに来る。①②に該当。

これら移籍組に対し、地元大将格はリーチ。鋭い末脚を武器にゴールドスプリントなどで重賞を勝っている。笠松に遠征した前走・飛山濃水杯は最後方から脚を伸ばすも前が止まらない馬場で7着。しかしながら安定して末脚を使えており、①③に当てはまる。

ヒストリーメイカーは地元・佐賀苦手説が一時期は流れたが、昨年末に中島記念を制して佐賀の重賞初制覇。こちらも③に該当するほか、タガノファジョーロも末脚が武器で③に該当する。

第7回佐賀スプリングカップ 【出馬表】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日や週末は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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