好調のベッテル、連覇は安泰!? 可夢偉も存在感をアピール=F1

田口朋典

可夢偉、モナコGPで日本人最高の5位に

モナコGPでは日本人最高位となる5位入賞を果たした可夢偉。今後のレースでの走りに期待が高まる 【Getty Images】

 一方、日本の期待を一身に受ける小林可夢偉(ザウバー)は、序盤の6戦でその期待に応え続けてくれている。開幕戦こそ失格となったが、ここまでの戦いはザウバーというマシンのパフォーマンスを考えれば、望外のものと言っていい。

 中でもモナコGPでの5位は、可夢偉にとって会心のレースだった。予選ではセットアップに苦しみ、昨年のモナコGP2の覇者であるセルジオ・ペレス(ザウバー)に敗れてQ2で敗退。しかし、決勝では可夢偉のタイヤマネージメント力の高さを活かし、ソフトタイヤでスタートしスーパーソフトで終盤を耐えるという1ストップ作戦を選択。思いのほかデグラデーションが少なかったピレリタイヤのパフォーマンスと、さらにはKERS、DRS(可変リアウイング)を備えたとはいえ、抜きどころのないモナコの恩恵を最大限活用してラスト1周まで4位を死守した。最終的にウェバーにかわされ、ひとつポジションを下げたものの、モナコGPでの日本人ドライバー最高位だった中嶋一貴の7位を大きく塗り替える5位。まさに小林可夢偉ここにあり、と言わんばかりの最高のパフォーマンスを見せてくれた。

 モナコでの10ポイントを加算し、ドライバーランキングでもミハエル・シューマッハ(メルセデスGP)を抜きトップ10入りを果たした可夢偉。不振にあえいでいるとはいえ、フェラーリのフェリペ・マッサと5ポイントしか差が無いというのだから、恐れ入るばかりだ。

 6月にはカナダGP、そして欧州GPが控えている。昨年は1周目にミスを犯してリタイアの憂き目にあったカナダGPだが、欧州GPはアロンソを抜き可夢偉の名を世界中に轟(とどろ)かせた思い出の地。ザウバーのマシンにとっては必ずしもマッチしているとは言えない舞台が続くが、入賞を繰り返し可夢偉自身がハードルを上げてしまった以上、彼にはこうした無言のプレッシャーが集まることだろう。

 しかし、きっと今の可夢偉ならば、その状況を楽しんでいるに違いない。可夢偉は、そういう男だ。

<了>

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著者プロフィール

1966年生まれ。大学卒業後、趣味で始めたレーシングカートにハマり、気がつけば「レーシングオン」誌を発行していたニューズ出版に転職。隔週刊時代のレーシングオン誌編集部時代にF1、ル・マン、各種ツーリングカーやフォーミュラレースを精力的に取材。2002年からはフリーとなり、国内外の4輪モータースポーツを眺めつつ、現在はレーシングオン誌、オートスポーツ誌、CG誌等に執筆中。自身のブログ“From the Paddock”(スポーツナビ+ブログで)では、モータースポーツ界の裏話などを披露している

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