横綱・日大三を倒す! 明徳義塾が練る「正攻法」と「秘策」=第83回選抜高校野球・直前リポート

寺下友徳

「正攻法」の裏で名将が着々と整える「秘策」

2年生右腕、福永智之。登板のタイミングにも注目 【寺下友徳】

 ただし「正攻法」だけでないところは明徳義塾高の明徳義塾高たるゆえん。馬淵監督はこの春に向けて「秘策」を振るうための選手たちを着実に育成している。

 まず投手では背番号「18」を背負うことになる福永智之(2年)を挙げることができる。彼自身、昨年8月の高知県新人戦以来の登板となった済美との練習試合2試合では、計5イニングを無失点。右サイドハンドから建山義紀(米大リーグ・レンジャーズ)を思わせるクロスファイヤーは、相手4番・横尾俊建(3年)をはじめとする右打者から見ると逃げていく軌道を描き、シンカーは、1番・高山俊(3年)ら左打者を悩ませそうな落ち方を示していた。

 この活躍により、試合後の馬淵監督からは「選抜は投手力がないと勝てない。1998年の寺本四郎(左腕・元ロッテ)、高橋一正(右腕・元ヤクルト)のような形ができれば」と大会中の継投策も視野に入れる発言も。甲子園における「本格派サイドスロー」の登板は、ひょっとしたら試合の潮目を変えるポイントになるかもしれない。

甲子園で初戦負けなしの馬淵史郎監督(左から2人目)。21回目の初戦突破へ向け、横綱の壁に挑む 【寺下友徳】

 一方の打者では、内野であればどこでも守れるスイッチヒッター三場大樹(3年)が急成長。「バットが振れるようになってきた。先田(弦貴)が先発から外れるかも」と、飯野勝部長も昨夏の5番打者がはじき出される可能性を示唆するほど、彼の打力上昇はチーム内に大きな刺激を与えている。

 かくして、準備を完全に整えて選抜に臨む明徳義塾高。「監督の記録がかかっているので、初戦突破は相当なプレッシャーです」と主将も務める北川は抽選会前にこっそり話をしてくれたが、そのプレッシャーを感じる必要もない。「横綱」を倒すことができれば、彼らは近年不振が続く四国勢の甲子園成績を、一気に覆せるはずだ。

<了>

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著者プロフィール

1971年、福井県生まれの東京都東村山市育ち。國學院久我山高→亜細亜大と進学した学生時代は「応援道」に没頭し、就職後は種々雑多な職歴を経験。2004年からは本格的に執筆活動を開始し、07年2月からは関東から愛媛県松山市に居を移し四国のスポーツを追及する。高校野球関連では「野球太郎」、「ホームラン」を中心に寄稿。

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