NEO女子プロレスが旗揚げ10周年で解散=栗原は怒とうの裏投げで王者・田村破り2冠王に

高木裕美

田村がV13に失敗 栗原が2冠を初戴冠

栗原あゆみが二冠王に戴冠。「私が女子プロレス界をおもしろくする」と覚悟を決める 【前島康人】

「タムラ様」こと田村が、これまで12度防衛してきたNWA認定女子パシフィック&NEO認定シングル王座から陥落。最後の挑戦者として指名されたタッグパートナーの栗原あゆみが新王者となった。

 田村は5月に引退を表明した際、「王者として引退する」と宣言。ベルトを狙う数々の強豪を撃破し、12.23JWP後楽園大会では、JWP認定無差別級王者・米山香織との3冠戦を引き分け、防衛回数を12にまで伸ばした。
 一方、10.11後楽園で一度は田村の王座に挑戦し敗れている栗原は自身の5周年記念興行で右足首を負傷。だが、12.27東部大会で田村に改めて王座挑戦を直訴し、田村がこれを認めた。

 約2週間ぶりの復帰戦となる栗原は、この一戦への意気込みを見せ付けるべく、序盤から場外へのプランチャを敢行。田村も雪崩式ブレーンバスター。フェースクラッシャー、GUSTロックを繰り出し、テーブルに寝かせた栗原をローリングセントーンで机ごと破壊。その後もエルボー、裏拳と女王の貫録を見せ付ける。だが、25分過ぎ、捨て身の覚悟を決めた栗原が猛攻勢へ。「新人時代、得意技だったドロップキックを何発も繰り出した時の気持ちを思い出して、田村の息の根を止めるまで何発でも出す覚悟でやった」という怒とうの裏投げ6連発。無敵の女王がついに3カウントを献上した。

 試合後は自らの手で栗原の腰にベルトを巻き、泣きながら新王者誕生をたたえた田村は「復帰戦とは思えないほどすごかった。ああいう熱い子を待っていた。今日にかける思いが伝わった」と、“タムクリ”のパートナーであった栗原を絶賛し、「ベルトをどうするかはチャンピオンに任せる」と、女子プロレス界の未来ごと、ベルトを栗原に一任。

 一方、「田村にトドメをさすつもりで連発した」という執念のフィニッシュでベルトをもぎ獲った栗原は「最上級のありがとうを伝えるため、これから私が女子プロレス界をおもしろくするという覚悟を見せるため」、リング上で田村に向かって深々と頭を下げると、「やっと一になったので、ここからがスタート。今までは自信が持てなかったけど、来年は自分からいきたい。ベルトを巻いて戦いたい選手がたくさんいる」と、チャンピオンとしてどんどん攻めの姿勢で突き進むことを誓った。

NEOマシンガンズが完全燃焼

NEOマシンガンズことタニー・マウス(左)&宮崎有妃(右)は最後のタッグマッチも「明るく楽しいタッグ」を貫いた 【前島康人】

 NEO認定タッグ王者コンビであるタニー・マウス&宮崎有妃の「NEOマシンガンズ」は、まずは第3試合で植松寿絵&春山香代子組と対戦し、第5試合では最初で最後の一騎打ちを行った。

 NEOマシンガンズは10年前に結成されて以来、「友情パワー」を武器にアイドル軍団や小学生などさまざまな外敵を迎撃してきた。
 この日はザ・ファンクスの「スピニングトーホールド」からキン肉マンのテーマ曲に乗って登場。タニーが台車の上で植松に恥ずかし固めを決め、宮崎が台車を押してリング上を1周して四方の観客にアピールする大サービスをはじめ、セコンドやゲストを巻き込んでの大乱闘やリング上にイスを持ち込んでの根性比べ、春山の頭上へのタライ落下など、「明るく楽しいタッグ」を最後まで貫いた上で、宮崎がムーンサルトフットスタンプで植松に勝利。最後のタッグを白星で締めくくった。

 一方、一騎打ちでは宮崎が試合前から早くも号泣。タニーの「来い!」というゲキのこもったチョップ連打にも反応できずにいたが、カンチョー攻撃で気合いを注入され覚醒。 タニーの背中へのイス攻撃に対し、脳天からブチ抜いてやり返すなど、互いの思いをぶつけ合った末、タニーがミッション・ポシブルで宮崎から3カウントを奪取。

 試合後はリング上で固く抱き合い、友情パワーを確かめ合い、「完全燃焼できた」と語った2人は、試合後、そろいのベルトを手に「大事に持って帰る」と家宝にすることを明かした。
■NEO「NEXT DOOR」
12月31日(金)東京・後楽園ホール 観衆1750人(満員札止め)


<第7試合 NEO解散試合 10分一本勝負>
△田村欣子、タニー・マウス、宮崎有妃
(10分 時間切れ引き分け)
△勇気彩、野崎渚、飯田美花

<第6試合 NWA認定女子パシフィック&NEO認定シングル選手権 30分一本勝負>
[王者]●田村欣子
(27分14秒 体固め)
[挑戦者]○栗原あゆみ
※田村が13度目の防衛に失敗、栗原がNEO2冠王に

<第5試合 30分一本勝負>
○タニー・マウス
(10分41秒 ミッション・ポッシブル)
●宮崎有妃

<第4試合 15分一本勝負>
紫雷美央、○紫雷イオ
(8分37秒 エビ固め)
勇気彩、●真琴

<第3試合 30分一本勝負>
タニー・マウス、○宮崎有妃
(25分3秒 エビ固め)
●植松寿絵、春山香代子

<第2試合 15分一本勝負>
○さくらえみ、志田光、藤本つかさ
(10分11秒 片エビ固め)
下田美馬、松本浩代、●野崎渚

<第1試合 10分一本勝負>
○花月
(7分34秒 体固め)
●飯田美花

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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