遠いようで迫り来るコパ・アメリカ

招待国のメキシコと日本の違い

 招待国と一口に言っても、メキシコと日本の立場は異なる。中米の雄はこれまで、コパ・アメリカに7回出場しており、2度も準優勝に輝いた。一方の日本は、99年のパラグアイ大会以来、2度目の参加となる。実はメキシコでは、今回のコパ・アメリカ出場をめぐって議論が沸き起こっている。というのも、CONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)ゴールドカップが11年6月5日〜25日まで米国で予定されており、当然ながらディフェンディングチャンピオンのメキシコも参加することになっているからだ。

 7月1日〜24日まで行われるコパ・アメリカとはわずか1週間しか空いておらず、監督以下、トップチームの選手たちは自国の所属する地域の大会、ゴールドカップを優先させるという話もある。だが、メキシコがコパ・アメリカを控え中心で臨むというのは、決して“エレガント”ではない。であれば、中米のほかの国――メキシコほどのネームバリューがないとしても、より出場を希望しているチームに出場権を譲る方がいいのではないか。

 日本はこれまでのところ、ベストメンバーで大会に臨むと見られる。現在は多くの選手がヨーロッパのクラブでプレーし、W杯後に就任したイタリア人監督のアルベルト・ザッケローニのもとで戦術も磨かれている。南米の強豪たちと互角に戦い、あわよくば金星を挙げようと思っているに違いない。
 パラグアイとウルグアイは、この機会に優勝トロフィーを持ち帰ろうと思っているだろう。監督のヘラルド・マルティーノとオスカル・タバレスはそれぞれ、コパ・アメリカに本気で照準を定めている。

 コパ・アメリカまであと8カ月余り。まだ先のことのようでいて、水面下では準備が着々と進んでいる。参加12カ国にとって、チームが飛躍する好機となるだろう。そして、アルゼンチンとウルグアイにとっては、30年のW杯を共催するための道筋をつける大会でもある。第1回大会がウルグアイで行われた1930年から、ちょうど100年後に。
 2011年7月1日、準備期間は終わり、アルゼンチンのスタジアムでボールが転がり始める。

<了>

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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