井川慶、4年目の現状=マイナーでのレギュラーシーズンを終えて
役割はロングリリーフ
渡米4年目、「マイナーで中継ぎをやっていることは実になるはず」と語る井川 【カルロス山崎】
登板試合:22(先発10、中継ぎ12)
成績:3勝4敗、防御率4.32
投球回数:77.0
奪三振:68
与四球:23
被打率:2割6分7厘
被本塁打:9本
井川は10度、先発マウンドに上がったが、そのほとんどはダブルヘッダーの時や、故障者が出た場合などの代役だった。昨年までは先発ローテーションの一角を任されていたが、今季はチーム事情、方針により、基本的に「ロングリリーフとしてブルペンに待機する」という役割を与えられた。もちろん、メジャー40人枠から長らく外れている井川に選択の余地などない。使い勝手のいい投手になることを目指し、「いつでも行ける」という準備をしてきた井川はこう振り返った。
「やっぱり、途中から試合に入るというのは簡単なことではない。それでも、かなり慣れてきたというか、気持ちの切り替えもできるようになったと思う。とても勉強になっている」
セットアッパーやクローザーなら、試合展開を見ながら自分の出番があるかどうか、読みを働かせることができるが、ロングリリーフというのは先発投手が序盤で崩れた時など、どちらかというと突発的。予定していた先発投手が何らかの理由で登板を回避すれば、試合開始直前に先発を言い渡されることになったりもする。
「どこで投げるか、そういった役割については、(首脳陣の判断なので)しょうがない。ただ、球数が投げられるようなトレーニング、準備はしてきたつもり」
ブルペンに回った今季は球数を投げていない。登板間隔が開いて、ブルペンに入ったとしても球数は20球程度に制限されたこともあった。明らかに物足りない。だから井川は、肩の体力が落ちないようなトレーニングにも励んでいる。
「本音は?」と尋ねると「そりゃ、先発をやりたい」と即答する。だが、「とにかく上で投げないと話にならない。マイナーで中継ぎをやっていることは実になるはず」と、あらゆることを前向きにとらえている。
「自分のピッチング」に戻った今季
リトルリーグの世界一に輝いた江戸川南の選手たちを招待し、笑顔を見せる井川(左端) 【カルロス山崎】
「チェンジアップはかなり安定したと思うし、自信をもって使えるようになった。特に、ゴロを打たせるのに有効になった。カッターやツーシームは、もう頼らなくなったというか、最近は付け足しのような感じ。『自分のピッチング』に戻ったと思う」
そんな井川は最後の最後になって、ある先発投手が故障者リストに入ったため、SWBで先発ローテーション入りを果たすことができた。
8月21日:シラキュース戦(勝敗付かず)、6回2/3、3安打2失点、5奪三振、球数86
8月28日:バファロー戦(4敗目)、6回2/3、7安打4失点、10奪三振、球数95
「とてもラッキー。試したいことができるし、球数が多く投げられるのでいい練習になる」
こう話していた井川は公式戦最後の登板となった9月2日のバファロー戦、6回1/3を投げ3安打無失点、3奪三振、球数94という投球内容で、3勝目をマーク。先発として挙げた今季初勝利を、「ホントによかったです」と、素直に喜んだ。
来季、5年契約の5年目を迎える井川はグリーンカード取得の申請を行っている。「指紋は採取済みで、年内には取得できると思う」。それは来季終了後、マイナー契約でもいいから米国でプレーを続けたいという意思表示の表れでもある。米国内で自由に働くことができるビザ(査証)があれば、契約が結びやすいからだ。そのためにも、「来年は結果を出して、勝負をかけられるようにしたい」と意気込む。9月のプレーオフが終わり次第、オフを迎える井川だが、来季に向けた準備はもう始まっている。
<了>
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ