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松坂、パワーピッチャーへ=新たな武器ワンシームを習得

チームを代表するパワー・ピッチャーに

今季はファストボールを習得、カットボールも改良し、力強い投球を続ける松坂
今季はファストボールを習得、カットボールも改良し、力強い投球を続ける松坂【Photo:ロイター/アフロ】

 松坂大輔の登板後、テリー・フランコーナ監督がよく口にするキーワードがある。


「ストロング」、「パワフル」。


 これは、松坂のピッチングに関する率直な印象で、昨シーズンまではあまり聞かれなかったこと。具体的には次のようなコメントになることが多い。


「ファストボールがとても力強かった」


「パワフルなカットボールで、打者を圧倒した」

 

 2年ぶりにイチローと対戦した25日(現地時間、以下同)のマリナーズ戦でも同様の言葉が出た。監督だけではない。今シーズンは、ジョン・ファレル投手コーチも同じような言葉を発している。つまり、レッドソックス首脳陣の言葉は、今の松坂大輔がジョシュ・ベケット、ジョン・レスターと肩を並べる『パワー・ピッチャー』であることを証明しているといっていい。


 キャンプ終盤の3月27日、松坂は「まだ、自分がとりたい形にならない。たくさん投げていく必要がある」と話していたが、あれから4カ月が経過した。試行錯誤はあったが、かなりその形にかなり近づいたのではないだろうか。そのとき、松坂はこうも話していた。


 「力を入れた時に、バランスを崩さずにビシっと決まる形もいいが、力まない中で、しっかり腕が振れる状態にしたい」


 つまり、「力が入っているところが周りに分かるよりは、(打者に)力を入れてなげていないなあと思わせる方がいい」ということ。そのために、松坂はオフから強靭(きょうじん)な下半身を作り上げてきた。

新たに習得したワンシーム

 5月11日のブルージェイズ戦で7回3安打1失点と好投した松坂は、「こっちに来てから、1番ストレートに自信をもって投げていた試合じゃないですかね」と話したが、実はそのストレートに、『ワンシーム・ファストボール』が加わっている。松坂のそれは、球速を落とさずにシュート(あるいはツーシーム)の動きを見せるため、打者にしてみれば、とてもやっかいな『動くストレート』に違いない。これまでのシュートと言えば、球速が88―90マイル(約142〜145キロ)の範囲だったが、ワンシームでは92−94マイル(約148〜151キロ)を維持しており、フォーシームと何ら変わらない。それに加え、今シーズンはカットボールも改良を試みた結果、92―93マイル(約148〜150キロ)を計測している。しかも、軽く投げているように映ることが多々ある。では、なぜこのようなストレートを投げるようになったのか。どうやらチームメイトからの影響が大きいようだ。


 レッドソックスのベケットはマーリンズからレッドソックスに移籍してきた2004年から、ワンシームを投げるようになった。例えば、ヤンキース時代の松井秀喜が「あれが彼の動くストレート」と、思わず仰け反って見逃し三振を喫したインコースのシュート系ストレートは、まさにワンシーム。ベケットは「レスター、バックホルツ、それにダイスケ。今、うちの先発陣の中でワンシームを投げる投手は多いんだ」と明かしてくれた。

チームメートから松坂へ伝授

 『ワンシーム』を投げる代表的な投手といえば、大リーグ通算150勝右腕、ブレーブスのティム・ハドソンだろう。彼は『ワンシーム』についてこう話している。


「アスレチックス時代の01年、(チームメートだった)オマー・オリベレス投手から教わった。あれからもう8年、9年になるが、僕にとって『ワンシーム』は最も重要な変化球といっていい」


 ハドソンの『ワンシーム』は、打者の手元でぐっと沈むシンカー系ストレートである。彼の場合、ツーシームで握るよりもワンシームの方が『シンカー』として使えるということだが、手の大きさや腕や手首の使い方などはもちろん人それぞれ。当然のことだが、「どのような動きを見せるかは投手によってさまざま」だという。


 レッドソックスの左腕レスターは、「08年のオフ、ハドソンからワンシームの握りと腕の使い方だけを教わった」そうだ。彼はこう続けた「特に、左打者に有効で、ゴロアウトを取れることが多い。ジョシュ(・ベケット)のワンシームとは動きが違うが、フィーリングは同じようなものだと思う」


 レッドソックスの右腕クレイ・バックホルツ投手は2年程前、そのレスターからワンシームの握りなどを見せてもらったという。「ワンシームは、ツーシームのような動きを見せるが、ワンシームはもっといい」。そのバックホルツは、実は松坂にワンシームを見せたことがあるという。


「ダイスケが聞いてきたんだ。僕は握りを見せて、フォーシームのように投げるんだって話した。それにしても彼は飲み込みが早いね。どのファストボールも同じような軌道で、同じような球速がある。すごい」


 球宴前、「(ワンシームは)バックホルツも投げていますよ」と、ワンシームを投げていることを遠回しに認めた松坂。高速カットボールもそうだが、普段のキャッチボール、あるいはブルペンでの投球練習という、かなり限られた時間で習得したようだ。あとはプレーオフ進出が怪しい状況になりつつあるチームの力になれるかどうか。シーズンは残り2カ月程。レッドソックスは26日のエンゼルス戦で公式戦100試合目を迎える。


<了>

カルロス山崎

大阪府高槻市出身。これまでにNACK5、FM802、ZIP-FM、J-WAVE、α-station、文化放送、MBSラジオなどで番組制作を担当。現在は米東海岸を拠点に、スポーツ・ラジオ・リポーター、ライターとして、レッドソックス、ヤンキースをはじめとするMLBや、NFL、NHLなどの取材活動を行っている

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