悲願の世界一目指す日本代表の現状=世界大学野球選手権・壮行試合リポート

島尻譲

NPB岡崎監督「投打にすばらしい戦力」

 第5回世界大学野球選手権(7月30日〜神宮ほか)の日本代表壮行試合として、大学日本代表とプロ野球の若手で構成されたNPBフレッシュ選抜(日本プロ野球機構)との一戦が東京ドームで行われた。中盤まで投手戦だったが、NPBフレッシュ選抜が7回に大学野球日本代表の3番手・中後悠平(近大3年)の暴投やバント処理エラー(悪送球)で先制。8回にはNPBフレッシュ選抜の4番打者・筒香嘉智(湘南)が詰まりながらもライト前にはじき返す2点タイムリーなどで3点を追加し、4対0で勝利した。
 試合後の榎本保・大学日本代表監督(近大)は「プロ野球選手が大学野球を盛り上げるために全力でやってくれているのに、中後1人が試合をぶち壊した。自分のところの選手(近大)だと思うと、僕自身にも腹が立つ。申し訳ない限り……」と表情も口調も厳しかったものの、NPBフレッシュ選抜の岡崎郁・監督(巨人)は「投打にすばらしい戦力。堂々と、日本代表として戦ってほしい」と熱いエールを送った。

監督が信頼する藤岡と菅野

 大学野球日本代表の先発を任されたのは今大学選手権MVP、最優秀投手に輝いた3年生左腕・藤岡貴裕(東洋大3年)。
「外国の選手はアウトコースもしっかり振って来ると思うので、インコースも攻めないと抑えられないイメージがあった。だから、今日は試合前から左打者、右打者を問わずにインコースを攻めることを課題に。それができて良かった」
 試合後、藤岡がそう語ったのを端的に表していたのが、ファームで今季、既に17本塁打を放っている3番打者・大田泰示(巨人)との2打席だったように思える。
 1打席目はインコースをえぐる角度のあるストレートでバットをへし折ってボテボテのショートゴロ。2打席目もインコースのストレートを意識させてファウルを打たせ、最後はスライダーで空振り三振を奪った。結局、藤岡は5イニングを投げて、被安打は内野安打1本のみ。毎回の計6奪三振に、ファールフライによるアウトも4個と、高めのストレートの威力も抜群だった。「全員で戦いますが、厳しい試合は彼に託します」という榎本保監督の言葉に藤岡への信頼が感じられた。
 また、4番手で最終回の1イニングを投げた菅野智之(東海大3年)も大絶賛。
「今大会で一番悩むのは菅野の起用法。酷ですが、菅野には抑えだけでなく、先発にも中継ぎにもフル回転してもらうことになるでしょう。それだけの力を持った投手」
 菅野はこの試合、榎本監督にそう言わせるだけの存在感を発揮した。堂林翔太(広島)を3球三振で打ち取った場面では、3球とも153キロを計時。最後の翔太(千葉ロッテ)には154キロのストレートで三振を奪い、東京ドームに詰め掛けた観衆を大いに沸かせた。

打線の課題はバントや走塁の向上

 打線はNPBフレッシュ選抜の8投手による継投策に四苦八苦。計6安打も得点にはつながらなかったが、「今日は打線が不甲斐なかった。榎本監督は中後を責めますが、それはできません。元々、投手陣がいいチーム。世界選手権では打線も奮起するので大丈夫です」と5番で2安打と気を吐いた伊藤隼太(慶大3年)は野手陣を代表して挽回を強く誓った。
 この試合では大会直前の調整などの兼ね合いもあって登板機会には恵まれなかった斎藤佑樹(早大4年)、大石達也(早大4年)、澤村拓一(中大4年)、乾真大(東洋大4年)らと、昨年の日米大学野球選手権も経験した投手陣の層は確かに厚い。
 ただ、榎本監督も「打者の井上(晴哉・中大3年)や若松(政宏・近大4年)にパワーがあると言っても、キューバやアメリカとは比べ物にならない。それは選手たちが自覚しています。そうなると投手を中心に、攻撃ではバントや走塁をしっかりしたい。残された時間はわずかですが、そういう部分を徹底して行きたいです」と力を込める。
 わずかな調整期間を経て、大学野球日本代表は7月30日から始まる大会で悲願の世界一を狙う。
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著者プロフィール

 1973年生まれ。東京都出身。立教高−関西学院大。高校、大学では野球部に所属した。卒業後、サラリーマン、野球評論家・金村義明氏のマネージャーを経て、スポーツライターに転身。また、「J SPORTS」の全日本大学野球選手権の解説を務め、著書に『ベースボールアゲイン』(長崎出版)がある。

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