ロンドンへの扉をたたく選手たち=サッカー総理大臣杯で光った才能

飯嶋玲子

大学生選手の道しるべとなる“自分だけの武器”

流通経済大の山村は、本職のセンターバック以外にも“大型ボランチ”としても期待が懸かる 【飯嶋玲子】

 北京五輪で最終メンバーに残った長友や本田は、誰にも負けない“自分だけの武器”を持っていた。長友でいえば底なしのスタミナと圧倒的なフィジカルの強さ、本田ならば泥臭いまでにアグレッシブなプレーと球際の強さだった。技術的には、プロには彼らよりも“うまい”選手はたくさんいる。実際、本田は何度も「自分よりうまい選手がいるのに、なぜ自分が選ばれ続けるのだろうか」と自問自答したという。
 しかし、それならば自分の武器にとことんまでこだわればいい。それが長友や本田の残した、大学生選手が五輪代表を目指す道しるべなのかもしれない。実際に今大会でも目を引いたのは、“平均的にうまい”選手ではなく、そうした“自分だけの武器”を自覚し、発揮した選手たちばかりだった。彼らがその武器を磨き続けることができれば、同年代のプロ選手と肩を並べ、ロンドン五輪代表に選ばれることも夢ではない。

 最後に、ロンドン五輪の参加資格がない4年生の注目選手も紹介しておこう。準々決勝で敗退したものの、昨年の天皇杯でJ1の山形を倒し、今大会の優勝候補と呼び声の高かった明治大は来季の「J即戦力」の宝庫。突破力のあるアタッカー山田大記と、展開力が魅力のボランチ小林裕紀は共に磐田入りが決定。高さとうまさに定評のあるFW久保裕一も千葉に内定している。また09年のユニバーシアード代表で、中京大のゲームキャプテンを務めた森本良は鳥栖の特別指定選手として公式戦にも出場。ボランチとセンターバックの両方をこなせる。同じくユニバーシアード代表の駒澤大GK岡大生、国士舘大の主将・斉藤一行、同志社大のMF荒堀謙次、一昨年の総理大臣杯でチームを優勝に導く2ゴールをマークした大阪体育大のFW川西翔太らも、Jが狙う選手として要注目だ。

<了>

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著者プロフィール

東京都出身。1980年代、テレビで見たワールドカップで衝撃を受けサッカーファンに。JSL(当時)時代には元日本代表・宮内聡のプレーに心酔。出版社で7年間雑誌編集を勤めたのちフリーとなり、『サッカルチョ』『Football Japan』などの編集に携わる。90年代半ばより大学サッカー関連の記事を執筆。99年からは6大会連続でユニバーシアードを現地取材。2001、03、05年の日本の三連覇を目撃した(たぶん)唯一のライター。有料メールマガジン『飯嶋玲子・大学サッカーメールマガジン』(http://clg.6mag.net/)も配信中

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