チッパー・ジョーンズは恩師コックスとともに“ファイナルシーズン”を迎えるのか?=MLB
長年にわたりチームを支えた二人
開幕から不振が続き、現役引退も報じられたジョーンズ 【Getty Images Sport】
ジョーンズがブレーブスのレギュラーとなった95年、チームは91年以来のワールドシリーズ進出を果たし、インディアンスを4勝2敗で下して、球団史上3度目、66年のアトランタ移転後は初の世界一に輝いた。以来、ジョーンズとコックス監督の姿は16シーズンにわたって常にブレーブスのダッグアウトにあった。
そんな二人の結びつきを象徴する記録がある。ジョーンズの通算本塁打数は6月21日現在で430本だが、そのすべてはコックス監督のもとで記録したものだ。選手の移籍や監督の交代が多いメジャーリーグで、この数字はファンやメディアの注目を集め、テレビ中継の「トリビアクイズ」などにもよく出題される。過去、選手が一人の監督のもとで300本塁打以上をマークした例は下記(左が選手、右が監督)の通りだ。
1.マーク・マグワイア&トニー・ラルーサ(アスレチックス、カージナルス)531本
2.ベーブ・ルース&ミラー・ハギンズ(ヤンキース)467本
3.バリー・ボンズ&ダスティー・ベイカー(ジャイアンツ、ベイカーは現レッズ)437本
4.チッパー・ジョーンズ&ボビー・コックス(ブレーブス)430本
5.アルバート・プホルス&トニー・ラルーサ(カージナルス)381本
6.アンドルー・ジョーンズ&ボビー・コックス(ブレーブス、ジョーンズは現ホワイトソックス)368本
7.ミッキー・マントル&ケイシー・ステンゲル(ヤンキース)320本
8.ケン・グリフィー&ルー・ピネラ(マリナーズ、ピネラは現カブス)311本
9.ルー・ゲーリッグ&ジョー・マッカーシー(ヤンキース)306本
10.ジミー・フォックス&コニー・マック(アスレチックス)302本
ジョーンズの最後のゴールは…
ノンフィクション作家デイビッド・ハルバースタムの名作『さらばヤンキース』には、現役最後の1968年にマントルが通算打率3割を割った日の様子が描かれている。マントルは結局2割9分7厘で現役生活を終え、95年に肝臓がんのため亡くなるまで、このことを生涯悔み続けた。引退の可能性が高まったジョーンズだが、その姿にマントルのような悲壮感は漂っていない。希代の名将コックスと手を携えてチームに黄金時代をもたらし、自身もケガを除けばほぼ満足のいく個人成績を残してきた自負があるからだろう。ナ・リーグ新人王レースの最有力候補であるヘイワードという後継者も出現した。
残された目標は、あと48本となった通算2500本安打と、26まで迫った1500打点で、打点をさらに10積み重ねれば、マントルを抜き、エディー・マレーに次ぐ、スイッチヒッターとして歴代2位の記録に躍り出る。
だがそれよりも、ジョーンズが目指す最後のゴールは、95年以来となるワールドチャンピオンの座にチームを導くことに違いない。
<了>