東洋大、155キロ右腕・菅野の攻略法=全日本大学野球野球選手権・決勝リポート

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狙いは明確「スライダーをどんどん振っていけ」

 第59回全日本大学野球選手権の決勝戦が13日、神宮球場で行われ、東洋大が東海大を5対0で破り、2年ぶり3度目の優勝に輝いた。
 東洋大が今大会最大の注目を集めた東海大・菅野智之(3年=東海大相模高)を見事に攻略した。狙いは明確だった。「変化球で簡単にストライクを取られないように。スライダーをどんどん振っていけと言いましたよ」。試合後に高橋昭雄監督がそう振り返ったように、東洋大打線は菅野の変化球を狙い打った。2回2死二塁の場面では8番・緒方凌介(2年=PL学園高)がスライダーを引っ張ってライトフェンス直撃の先制タイムリー二塁打。6回には相手守備のミスもあって1点を追加すると、7番・林崎遼(4年=東洋大姫路高)がスライダーをレフト前に運ぶタイムリーを放ち、菅野を降板させた。

 高橋監督は菅野について、「連投でさすがに疲れていた。1点取れればいいと思っていた」と語り、「僕らは中大の澤村(拓一=4年・佐野日大高)君と戦ってますから。選手も物怖じしなかったですよ」と、東都大学野球リーグで“157キロ右腕”澤村と対戦していることを、菅野攻略の理由として挙げた。

「負けたくない」藤岡が菅野に投げ勝つ

 東洋大が描いたゲームプランは「1点を取って、東海に1点もやらないこと」(高橋監督)。そのプランを想定以上のレベルで遂行したのが先発した左腕・藤岡貴裕(3年=桐生第一高)だった。
 リーグ戦で6勝1敗・防御率1.07と素晴らしい成績を残し、世界大学野球選手権の日本代表候補にも選ばれている藤岡は、「東海大はインコースが弱いイメージだったので、そこを突こうと思っていた」と、右打者の内角に角度のあるストレートを投げ込み、凡打の山を築いた。対戦相手の先発・菅野が注目を集めていたことで、「同じ3年だし、負けられないと思っていた」という藤岡は、140キロ前後のストレートと、鋭いスライダーを組み合わせて見事な完封勝利。東海大の4番・伏見寅威(2年=東海大四高)は「甘い球を仕留めきれなかった」と悔しがり、今大会の首位打者にも輝いた伊志嶺翔大(4年=沖縄尚学高)主将は「きれいにミートできるボールじゃなかった。何とかしたい気持ちはみんなにあったけど、それ以上にピッチャーが良かった」と藤岡の投球をたたえた。
 9回、126球を投げて、5安打、9奪三振、2四死球と安定したピッチングを見せた藤岡について、高橋監督は「ほかの投手を合わせてゼロに抑えようと思っていたけど、藤岡がよく投げた」と高く評価した。

 昨秋のリーグ戦では5位に沈み、入れ替え戦出場の危機を経験した東洋大。そこから見事にチームを立て直し、大学日本一に上り詰めた。高橋監督は「目立った選手はいないけど、ヒーローが代わって出てくる。去年の秋から選手は頑張りました」と笑顔を見せ、「今までの優勝とは少し違いますね。面白いチームですよ」と、日本一を勝ち取った選手たちの姿に目を細めた。
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