ショウワモダン叩き上げの頂点! 父子2代マイル王に=安田記念

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39戦目でのGI初勝利は史上最多キャリア、なぜ今激変?

涙から一転、ファンの大歓声に迎えられ後藤は何度も大きな笑顔で応えた 【スポーツナビ】

 もちろん、ショウワモダン自身の頑張りがあってこその大勝利。デビューから39戦目にしてのJRA・GI初勝利は、史上最多キャリア。今年1月にはダート重賞のGIII根岸Sにも挑戦している(16着)。そんな“苦労人”が4月のGIIIダービー卿CTで重賞初制覇を達成すると、あれよあれよの3連勝でGIも勝利。なぜここまで激変したのか? 何が彼を変えたのか?

 杉浦調教師、後藤ともにハッキリとした要因は分からないとしながらも、共通して挙げた答えが「晴れの良馬場でも走るようになった」――後藤が説明する。
 「以前は雨の日じゃないと走らない馬でした。単に道悪が得意なのではなくて、もともと気持ちで走るタイプで、雨の日だとすごく楽しそうに走るんですけど、晴れの日だとなんだか暗い雰囲気になっちゃうのが印象的でしたね(笑)。それが突然、晴れの日でも気持ちよく走ったことがあって、それで馬が『晴れの良馬場でもやれるぞ』って自信を持てるようになったんじゃないかな」
 そんな個性的な性格のパートーナーを「愛すべきキャラ」と語り、そういうキャラクターの馬が大好きと笑顔を見せる後藤。「馬の性格を理解して、いっしょに気持ちよく走りたい。僕は常に精神的なつながりを大事にして乗っているので、そこのつながりで馬も僕を乗せて気持ちよく走ってくれるのかな」と、心でつながるショウワモダンとの相性の良さを振り返った。

 また、ショウワモダンの父は、1999年に安田記念、マイルチャンピオンシップを連勝し最優秀短距離馬、最優秀父内国産馬に選出された名マイラー、エアジハード。府中マイルではあの“怪物”グラスワンダーをハナ差退けてのGI初制覇だった。
 父もまた古馬になってから完全本格化した遅咲きの花。叩き上げの個性派マイラーが、秋も偉大なる父に続くマイルGI連覇を目指し、伏兵から真の王者へと成り上がってみせる。

父の無念、テレグノシスの借りを香港で返す!

父の偉大な足跡を追う春秋マイル王へ、そして無念を晴らす香港遠征も視野に 【スポーツナビ】

 春のマイル王となったことで、よりいっそう注目を浴びる今後の動向。ただ、今年はここがすでに7戦目。夏場はひとまず、休養にあてることが決まっている。杉浦調教師が明かした。
 「本当はフランスのドーヴィルとかに連れて行きたい馬なんですが、夏場は強いタイプではないですから。これでひと息入れようかなと思います」

 順調に夏を過ごせば、父同様に春秋マイルGIを目指し、GIマイルチャンピオンシップ(11月21日、京都1600メートル芝)が目標戦になるだろう。また、夏には弱いが冬場は走るタイプ。それだけに、トレーナーの頭の中には12月の香港国際シリーズがプランとしてすでに組まれていた。
 「当然、香港は考えています。テレグノシスよりも香港の競馬が合っているんじゃないかなとも思っていますので」
 杉浦調教師に初のJRA・GI制覇をもたらしてくれたテレグノシス(02年NHKマイルカップ)は、03年と04年の2度、香港マイルに挑戦しているが7着、14着といずれも敗れた。その時の借りを、このショウワモダンで返したい。
 また、ショウワモダンの父エアジハードは1999年に春秋マイルGI連覇後、香港カップ出走を目指し遠征したものの、現地で屈腱炎を発症し引退に追い込まれている。この父の無念も晴らしたいところだ。

 秋、そして暮れの大一番へ思いを馳せる一方で、杉浦調教師は不思議な縁を感じていた。同馬は父エアジハードに続く父子2代の安田記念制覇となったが、むしろトレーナーにとって思い出深いのは、エアジハードの母アイシーゴーグルの方。現役ジョッキー時代にコンビを組んで12戦2勝の成績を挙げていたのだ。
 「そういった縁やつながりを感じましたね」
 かつての愛馬の孫で制した自身GI2勝目に、杉浦調教師は感慨深げに目を細めていた。

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