松坂の武器『ストレート』を検証=開幕1カ月を振り返る
『Tumbling Dice』
5月22日のフィリーズ戦では8回2死までノーヒッターの快投をみせた松坂 【写真は共同】
『Dice−K』のメジャー4年目が開幕してからおよそ1カ月がたったが、その、どっちへ転がるか分からないピッチングを皮肉って、レッドソックス戦を中継しているボストンのケーブルテレビ局NESNなどが『Tumbling Dice』というタイトルや見出しをよく使っている。確かに、ここまでの6試合は良かったり悪かったり。だが、今季の松坂には最強の武器『ストレート』がある。過去6試合の登板を振り返りながら、本人が感じた『ストレート』の感触を確かめてみたいと思う。
最強の武器『ストレート』を検証
4回2/3 7安打6失点(自責5)3四球4三振
5回に2本塁打を含む6安打を浴び6失点でKO。
「ボールは悪くなかった。もったいなかった。別の対処の仕方があった。次の登板までに修正するポイントをどうにかしたい」
◆5月6日 対エンゼルス戦 ○勝ち
5回1/3 5安打5失点3四球3三振
初回に3四球2安打で4失点も2回以降は立ち直り、今季初勝利。
「初回はいろいろと考え過ぎた。打者の得意なところや苦手なところなど、余計なことを考えずに、ビクター(マルティネス捕手)のサインに従って投げる事だけに集中しようと思った。技術的にというよりは、メンタル面で切り替えた」
◆5月11日 対ブルージェイズ戦 ○勝ち
7回 3安打1失点無四球9三振
ストレート1本勝負で相手打線を圧倒し2勝目。エースのジョシュ・ベケットも「見ていて気持ちよかった」と絶賛。この日、かつての力強いストレートがよみがえった。
「こっちに来てから、一番ストレートに自信を持って投げていた」
「前の2試合も、ストレート自体は悪くなかった。それは維持しようと思っていたし、その中で少しでも良くなればと思って、登板間も意識して練習した」
◆5月17日 対ヤンキース戦 勝敗付かず
4回2/3 9安打7失点3四球3三振
初回、5安打1四球で5失点も勝ち負けつかず。
「あまりにも前回と違い過ぎた。ボール自体は悪くなかったと思う」
「(前回との)大きな違いですか? ストレートが少なかったこと」
◆5月22日 フィリーズ戦 ○勝ち
8回 1安打無失点4四球5三振
8回2死までノーヒッターの快投。メジャー公式戦初安打もマーク。
「ヒットを打たれてない事はわかっていた。(8回の安打は)残念でしたけど、特に引きずることなく、次の打者に集中できたと思う」
「確実に、ボールに力はあった方だと思う」
「ダイスケのあんなストレートは見た事がない。パワフルだった」(テリー・フランコナ監督)
◆5月27日 ロイヤルズ戦 ●負け
4回2/3 2安打3失点8四球1死球1三振
制球が定まらず、メジャー自己ワーストの9四死球で自滅。原因は下半身の張り。
「技術的なことをいうと、下半身がうまく動いてくれなかった。上体に頼った投げ方をすると、こういうことになる」
「スピードは出ていたかもしれないが、キレはないし、バットを押し込むような勢いもない。おまけにコントロールもなかった」
「ダイスケは悪い時にやりくりできるタイプだが、今日はそれができなかった」(フランコナ監督)
ようやく実を結び始めたトレーニングの成果
以来、登板間のブルペンで投げる球種がストレートに絞られていることが多い。それだけ、ストレートに磨きをかけたい、いや、今は磨けるほどいい状態にあるといっていい。昨年から行っているハードなトレーニングの成果が、ここに来てようやく実を結び始めたということだろう。
27日のロイヤルズ戦は「登板間に少し張りを感じていた」影響もあって「下半身がうまく動いてくれなかった」。そのため、6月2日(日本時間3日)のアスレチックス戦登板に向けた調整は軽めに抑えている。
<了>
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