刑務所からリングへ 弁護士ファイター・堀鉄平が不良更正 アウトサイダーで人を育てる「一緒に戦う姿を見せたい」

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不良更正を目的として六本木にスポーツジム「マーシャルアーツ」をオープンした弁護士・堀鉄平 【スポーツナビ】

 日本全国の不良たちが集結してケンカ最強を決める総合格闘技イベント「THE OUTSIDER(ジ・アウトサイダー)」。この不良の祭典に第1回大会(08年3月、ディファ有明)から出場し、今年4月の第11戦でも見事な判定勝ちを収めた柔術弁護士・堀鉄平が5月10日、六本木にスポーツジム「マーシャルアーツ」をオープンした。
 弁護士と格闘家という2つの顔を持つ異色のファイターが設立したジムでは、健康な毎日を求めて一般会員の方が日々心身を鍛えている。しかし、堀がこのジムを設立した本当の目的は、格闘技を通して不良を更生させること。弁護士として刑事事件の被告人と向き合い、格闘家として不良と拳を交える中で、堀は「不良を更正すること」が自分にできる社会貢献だと考えるようになっていく。
 リングと法廷で活躍を続けながら、新たな舞台へと踏み出した堀に、不良更正への熱い思いを聞いた。

刑務所からの一通の手紙

ジムでは格闘技のほかにダンスやヨガ、ダイエットクラスで汗を流すこともできる 【スポーツナビ】

 ジムでは初心者から上級者まで、現役のプロ格闘家がインストラクターとして総合格闘技やキックボクシングを指導するほか、ダンスやヨガ、ダイエットクラスなども用意されている。
 普段は弁護士として働きながら格闘技の練習をしている堀も「異業種の方と一緒にトレーニングすることでいろいろな刺激を受けます。格闘技以外にもヨガやダンスなどで普段使わない筋肉を使ったり、多くの競技を取り入れることで新たな視点を持つことができます」と、さまざまなカリキュラムを考えながら心身を鍛えている。

 堀がこのスポーツジムをオープンさせたのは、自身の練習場所確保と一般会員の方に健康な毎日を送って欲しいという願い、そして1人の弁護士として不良を更正させたいという熱い思いからだ。
 きっかけは、刑務所からの一通の手紙だった。面識のない人から送られてきたその手紙には「(刑務所に入ってから)アウトサイダーという総合格闘技の大会があることを知りました。格闘技経験がなく、今まで打ち込んだものは何もなかったんですが、自分の人生を考えたときに、刑務所を出てから真面目に打ち込むものはこれだと思いました」と書かれていた。
 堀はこの手紙を読み、彼らと手紙のやり取りなどで交流を深める中で、弁護士として培ってきた自分の知識や経験を不良更正のために生かしたいと考えるようになった。

不良更正に必要なものがアウトサイダーにある

アウトサイダーに出場する中で、堀は自分の進むべき道を考えるようになる 【t.SAKUMA】

 格闘家として初めてアウトサイダーに出場した当時、堀はこの大会を不良の腕試しの場所で、リング外での抗争も覚悟していたという。しかし、実際に出場者たちと拳を交えるうちに「選手たちはすでに更正していて、決められたルールの中で、それを守ろうとしていた」ことに驚かされた。

 その後もアウトサイダーに出場して試合を行い、弁護士としても刑事事件で不良たちと関わっていく中で、堀は「事件を起こしてしまった彼らには、今まで目標もなく全力で何かに打ち込んだ経験がなかったのではないか。そして、彼らが本当に必要としているものがアウトサイダーにはあるんじゃないか」と考え始めるようになる。

 そして堀は、自身がこれまでに接してきた刑事事件の被告人と「自分が一緒になって戦って、真面目に何かに打ち込んでいる姿を見せることで訴えられるものがあるんじゃないか」と、自身のスポーツジムに不良更正クラスを立ち上げた。

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