レッドソックス、低迷の理由=かみ合わない攻守のリズム
同地区レイズに4連敗を喫し…
岡島は苦戦するレッドソックスのなかで安定したピッチングを続けている 【写真は共同】
本拠地フェンウェイ・パークでレイズにスイープを喫するのは初めてのこと。それも4連戦4連敗。レイズのジョー・マドン監督は試合後のクラブハウスで「(シカゴ行きの)チャーター機には衛星テレビが付いているんだって。それは素晴らしい!」などと、何に対しても笑いが止まらない様子だった。
レッドソックスが2007年以来となるワールドシリーズ出場を果たすには、宿敵ヤンキースはもちろんのこと、レイズとどう戦うかも重要なカギになってくる。つまり、アメリカンリーグ東地区は三つ巴(どもえ)になり、投手陣を中心にしたディフェンス力がシーズンの行方を左右するだろう。だが、最近のレッドソックスは肝心なところが淡泊で、攻守のリズムがかみ合わないという、最悪に近い状態だ。特にこの4試合を振り返ると、攻撃陣の意識の低さが目につく。
9回裏の攻撃を前に、降雨のためサスペンデッドとなった1試合目がシリーズの流れを決定づけたといっていいだろう。翌日に行われた『続き』でレッドソックスは延長11回裏、相手エラーというおこぼれで無死満塁の好機を迎えたが、ここでレイズのマドン監督は、内野手用のグラブを持ってマウンドへ。ユーティリティープレーヤーのベン・ゾブリストがライトから内野へ入り、レイズは内野5人、外野2人というシフトを敷いた。
外野フライでサヨナラという場面。だが、デビッド・オルティスはファーストゴロで本塁封殺。続くエイドリアン・ベルトレイは注文通りのサードゴロ併殺打で無得点に終わると、結局、延長12回で敗れた。マドン監督は内野5人制について「投手(のランス・コーミエ)はゴロアウトが計算できるタイプ。そこに賭けたんだ」と説明したが、不振にあえいでいる二人の打者の『ここで決めるんだ』という気負いを見透かしたような采配でもあった。
結果につながった意識の差
まずは4月18日。2対0とレイズが2点リードで迎えた3回無死一、二塁からピッチャー前バントを決め、1死二、三塁に。続くゾブリストのライト前ヒットで2点を追加した。
翌19日は、初回無死二塁からピッチャー前バントを決め、1死三塁に。その後、ゾブリストのショートゴロで1点を先制。いずれも試合の流れを引き寄せる貴重な『一打』となったが、クロフォードの意識の高さは、次の言葉が証明している。
「常に、1点を取るためにできる最善のことは何かを考えている。それがチームが勝つためにできる最善のことになる。バントは自分にできる選択肢のひとつ。2つとも勝利につながってうれしく思う」
なぜクロフォードがあの場面でバントをしたのか、ということに興味を示した人がレッドソックスにいたかどうかは分からないが、4連戦の結果は意識の差が出たといってもいいだろう。
出遅れた松坂の奮起に期待
このように、厳しいスタートとなった今季のレッドソックスだが、明るい材料もある。セットアッパーの岡島秀樹が、シーズンに入っても安定した投球を続けており、今のところ、負け試合での『調整登板』も命じられていない。岡島はキャンプ中に『高速チェンジアップ』を習得し、微妙に動くストレートもうまく使い分けている。
また、松坂大輔がチームにとって起爆剤となるような復帰を果たせるかに注目が集まるだろう。松坂は21日に3Aで最後の調整登板を行ったあと、26日からのブルージェイズ3連戦中に、およそ3週間遅れの『開幕』を迎えることが濃厚。本人は「過去3年で投げたボールとは違うような気がする」と話しており、もしかしたら今季は、これまでとは違う、新たなDice-Kが見られるかもしれない。
<了>
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