キーワードは「ストップ・ザ・フィリーズ」=MLBナショナルリーグ見どころ
フィリーズは開幕戦で新加入のハラデー(写真)が勝利を収め、幸先の良いスタートを切った 【Getty Images Sport】
カージナルスが対抗の筆頭
抜群の安定感をみせるクリス・カーペンターとアダム・ウェインライトが両輪となる先発陣は3番手以下に不安は残るものの、ブルペンを含めた投手陣全体のレベルは高い。守備力もあり、総合的にみてフィリーズに劣る点といえば、パンチ力ぐらい。両チームの対戦はナ・リーグの看板カードとして大いに注目されるに違いない。
フィリーズと同じ東地区では投手王国が復活しつつあるブレーブスが面白い。投手陣には8年連続2けた勝利を挙げているデレク・ロウ、次代のエースを争う伸び盛りのジェイアー・ジャージェンスとトミー・ハンソン、エース復活の兆しが見えたティム・ハドソン、そして川上憲伸とバラエティに富んだ先発陣がそろっている。ブルペンはセットアップマンに斎藤隆、クローザーにはビリー・ワグナーという申し分のない実績を持つスペシャリストが加入して強固なものになった。
また、打撃陣では新人王の有力候補とみられる07年ドラフト1位のジェイソン・ヘイワードが開幕戦で初打席初ホーマーを放つなど、早くも大物ぶりを発揮、打線に大きな刺激を与えている。
今年のブレーブスには14年連続地区優勝の偉業を持ち、シーズン後に勇退する名将ボビー・コックス監督に花道を飾らせたいという強いモチベーションもあり、混戦になれば結束力が決め手になることも考えられる。
大型ルーキーに注目のレッズ、ナショナルズ
ナショナルズはドラフト全米1位のストラスバーグに注目が集まる 【Getty Images Sport】
大型ルーキーのデビューで大きな変化を期待されるのはレッズだ。北京五輪やワールド・ベースボール・クラシックで日本にも名前がとどろいたキューバの亡命選手、アロルディス・チャップマンはマイナーでのスタートになったが、持ち前の100マイル(約161キロ)を超える剛速球でメジャーデビューを果たし、ローテーションに入るようなことになれば、レッズが優勝争いに食い込んでくることは確実だ。今年のレッズは近年になく戦力が整備されている。ここにドラマ性のある新人が加わってくれば、チームは間違いなく活性化される。
そのことは2年連続最下位のナショナルズにもいえる。戦力的にみて上位進出は難しいが、昨年ドラフト全米1位のスティーブン・ストラスバーグがメジャー昇格を果たしたときから、チーム内のムードは一変するだろう。チャップマンと同様に100マイル以上を投げる豪腕が黄金期にあるフィリーズの重量打線を牛耳るという展開になれば、ナショナルズだけでなくリーグ全体も“ストップ・ザ・フィリーズ”で盛り上がるに違いない。
このほかにもカブスの強打タイラー・コルビンやマーリンズのガビー・サンチェスら逸材がひしめいている。こういった大型ルーキーがどのように優勝争いに絡んでくるのか。フィリーズを軸にした面白いシーズンになることは確かだ。
<了>
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