12年目を迎えるJ2の魅力=第二の水戸の出現、ベテランの活躍は?

佐藤拓也

今季はベテラン選手が面白い

海外挑戦から故郷愛媛に戻ってきた福田健二(左)。今季はエースストライカー兼キャプテンとしてチームを引っ張る 【佐藤拓也】

 もう1つ、今季のJ2の注目点として挙げたいのが、若手対ベテランの戦いである。これまでJ2はいくつもの若き才能を育んできたが、今季はベテランの存在が目立っている。
 43歳にしてキャプテンを務めるキング・カズこと三浦知良(横浜FC)をはじめ、42歳中山雅史(札幌)、38歳藤田俊哉(熊本)、32歳戸田和幸(草津)、32歳福田健二(愛媛)、31歳黒部光昭(富山)、30歳南雄太(熊本)といった日本代表経験者が今季のJ2でプレーをする。

 彼らはとにかく元気で、若手以上にハツラツとした動きを見せている。そんなベテランの存在を草津の副島博志監督はこう語っている。
「サッカーにおける正当な評価は年齢ではなく、ピッチのプレーにおいてチームに必要かどうかなんです。その中でベテランの判断力はもっと評価されていいと思っている。今の(ベテラン冷遇の)Jリーグの風潮を覆すのも彼らに懸かっている。プレーと行動で力を証明して、周囲からの雑音を封印してくれればいいと思う」

 おそらくこの気持ちはベテランと呼ばれる選手なら誰もが胸に秘めているに違いない。昨今の不況の影響をJリーグも受けている。どのクラブも経費縮小傾向にあり、まずは給料の高いベテラン選手がリストラの対象となり、多くの選手が現役引退を迫られる。だが、その中で現役に強い意志を持つ選手は給料と戦うステージを下げることを受け入れ、ピッチの上で戦う道を選択した。それがJ2のベテラン選手たちなのだ。ある意味、世相の鏡的な存在なのではないか。襲いかかる荒波にあらがいながら戦い続ける彼らの姿は、きっと多くの人に感動を与えるはず。
「年齢は関係ないよ。若い選手に負けるのは嫌だからね」。2月26日に43歳を迎えたキング・カズの笑みには、そんなベテラン選手の意地とプライドが見え隠れしていた。

 ここまで今季のJ2の見どころをいくつか挙げたが、九州5チームによるダービーマッチ「バトルオブ九州」や北関東ダービー、そして四国ダービーなど、ここでは書き切れないほど見どころがある。
 今年で発足12年目を迎えるJ2。足を運んでみると、あなたを引き付ける何かがあるかもしれない。

<了>

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著者プロフィール

1977年7月30日生まれ。横浜市出身。青山学院大学卒業後、一般企業に就職するも、1年で退社。ライターを目指すために日本ジャーナリスト専門学校に入学。卒業後に横浜FCのオフィシャルライターとして活動を始め、2004年秋にサッカー専門新聞『EL GOLAZO』創刊に携わり、フリーライターとなる。現在は『EL GOLAZO』『J’s GOAL』で水戸ホーリーホックの担当ライターとして活動。2012年から有料webサイト『デイリーホーリーホック』のメインライターを務める。

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