青木×エディ、5年ぶりの対談が実現=『Fight&Life』発

ファイト&ライフ

エディ・ブラボーと青木真也、約5年ぶりの対談が実現した 【ファイト&ライフ】

 2005年12月に専門誌の企画で対談しているエディ・ブラボーと青木真也。この対談では、エディが本家ラバーガードを青木に伝授。その後、青木はMMAで巧みにラバーガードを駆使し、世界のトップファイターにまで駆け上がった。

 今回は青木のリクエストを受けて、約5年ぶりとなる2人の対談をセッティング。ラバーガード進化論、青木の選手としての可能性まで大いに語り合った。

エディ「指が2本のジャンジャックはオーバーフックを身に付けた」

エディの先生・ジャンジャックのオーバーフックについて意見を交わす2人 【ファイト&ライフ】

──2人は約5年ぶりの再会になるんですよね

青木 はい。エディがDEEPに出場するジェイソン・チェンバーズのセコンドで日本に来た時に対談させてもらったんですよ。

エディ よく覚えてるな! あの対談はとてもいい思い出で、いつもアオキの活躍は見ているよ。

青木 ありがとうございます(笑)。

エディ 俺にとってアオキは大好きな選手で、「好きな選手は誰?」って聞かれると、必ずシンヤ・アオキと答えている。いつも同じ答えだから他にはいないのかと言われるんだけど、俺はそれでもシンヤ・アオキと言い続けてるんだ。

青木 僕もこれ(ラバーガードのジェスチャーをして)でしばらく食わせていただきましたからね。今、アメリカでラバーガードは流行っている技なんですか?

エディ う〜ん……ほとんどのブラジル人はラバーガードのことを嫌っているね。なぜなら彼らには自分たちが作ってきた技術体系があるから。だから彼らはラバーガードのような技は使えない技術だと言い続け、それが証明されるのを待っていた。でもアオキがMMAでラバーガードを使ったことで、ラバーガードがMMAでも使える技だということが分かってしまった。そうなると今度はラバーガードを否定するのではなく、ラバーガードの存在そのものを無視するようになったんだ。でもホイラー・グレイシーから黒帯をもらったヴィニシウス・マガリャエスはラバーガードを使ってるし、同じ黒帯のジョージ・ソテロポリス、ダスティン・ハザレーもUFCでラバーガードを見せている。そうやって時代は少しずつ変わってきている。

──青木選手は前回の対談でエディからラバーガードを教わって、どんな技術的な変化があったんですか?

青木 短い時間だったんですけど、エディからラバーガードを教わって、あれから色々と研究を重ねて、技術を研究しました。そこで僕が思ったのは、結局、ラバーガードはオーバーフック(※相手の腕を外から巻くようにして抱える)からの技で、オーバーフックに似ている部分が多いということ。もともと僕はオーバーフックからの技をよく使っていて、根本的な技術体系が似ているんだなと感じました。

エディ その通りで、ラバーガードとオーバーフックには共通点が多い。

青木 というのもエディの先生はジャンジャック(マチャド)じゃないですか。ジャンジャックの技術本を読むと、オーバーフックからの技がとても多いんですよ。だからジャンジャックからオーバーフックの技術を学んだエディがラバーガードという技に辿り着いた。そういう技術の流れがあるんじゃないかという仮説を持ってたんです。

エディ 確かにそれはあるかもしれないな。ジャンジャックは生まれつき左手の指が2本しかないというハンデがある。だからジャンジャックはギ(道衣)をつかむのではなく、ギをつかまなくてもいいオーバーフックを身に付けたんだろう。もしジャンジャックが普通にギをつかめる選手だったら、あそこまで強力なオーバーフックにはならなかっただろうね。

青木 なるほど。

青木「僕は柔術が大好きなんです」

エディ、青木ともにそれぞれ柔術への熱い思いを語り合った 【ファイト&ライフ】

エディ オーバーフックがどれだけ有効かはADCCの結果を見ても分かる。多くの柔術家たちがADCCにチャレンジしたけれど、ジャンジャックとは(両手を大きく広げて)こんなに差があった。それはジャンジャックがギをつかまない技術=オーバーフックを持っていたからだ。

青木 またオーバーフックは距離を潰して密着するから、MMAでも殴られないポジションなんですよね。

エディ イエス! オーバーフックはMMAにおいてパーフェクトなガードポジションさ。

青木 あとこれも僕の仮説なんですけど、エディは柔術をバッシングしたりもするけれど、何だかんだいって柔術のことが大好きなんじゃないかな、と。

エディ 俺はギが嫌いなだけで、柔術のことは大好きさ。三角絞め、腕十字、スイープ、バタフライガード……柔術には素晴らしい技がたくさんあるし、その技こそが柔術なんだ。ブラジル人にとってギを着てやるものが柔術なのかもしれないが、俺はそうは思わない。ギを着る、着ないの話じゃないんだ。

青木 そこは僕の考えと似ていますね。今の僕はギを着てやることはないけど、柔術は大好きなんです。

エディ 俺はMMAにおいて柔術の有効性をもっと証明したいと思っている。だから多くの選手にギを脱いで、もっと柔術のテクニックを上達させようじゃないかと言っているんだ。でもこの俺の考え方は多くのブラジル人たちに否定されてしまう。「お前はギを脱げと言って、柔術をバカにしている!」ってね(苦笑)。でも俺の話を聞けば、俺が柔術をバカにしていないことが分かるはずだ。俺は柔術を愛している。柔術の価値をもっと高めたいと思っているからこそ「ギは脱げ」と言っているんだ。

(以下、Fight&Life vol.17に続く)
[取材・文 中村拓己(GBR)、撮影 北岡一浩、t.SAKUMA(試合)]

『Fight&Life』格闘技ライフ提案マガジン

『Fight&Life』vol.17
2010年2月23日(火)発売/定価880円
株式会社フィットネススポーツ発行
TEL.03-5653-1322

<CONTENTS>
●[特集]五味隆典はUFCで通用するのか?
●五味隆典、Ultimate Challenge
膨れ上がる期待と、無視できないUFCライト級の現実
●米・伯・日の格闘技メディアが語る五味隆典のUFC参戦
「歓迎ムード」と「現状の厳しさ」
●青木真也×エディ・ブラボー
「アオキは世界2位じゃない。BJ・ペンと世界1位を競ってるぜ!」
●K−1 WORLD MAX2010展望
●内山高志×日菜太 ストレートで世界を獲る!
●長島☆自演乙☆雄一郎、上京
〜三軒茶屋シルバーウルフの日々〜
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