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浅田真央とキム・ヨナ 日韓天才少女の歩み

真央とヨナ、「永遠のライバル」との出会い

 バンクーバー五輪金メダル候補として有力視されている日韓の両エースである浅田真央(中京大、以後、真央)とキム・ヨナ(韓国、以後、ヨナ)。宿命のライバルと自他ともに認める二人が出会ったのは、ジュニア時代の04‐05シーズンだった。

 当時から、すでに高いジャンプ能力を発揮していた真央は、世界のフィギュア界から期待のホープとして注目されていた。ジュニアグランプリ(GP)ファイナルも05年世界ジュニア選手権も制する(ヨナは両大会とも2位)など、そのシーズンはジュニアタイトルを総なめにしてジュニア女王の座につき、翌05−06のトリノ五輪シーズンには一足飛びにシニアデビューを果たす勢いだった。

 当時のヨナはまだ、真央の背中を必死に追いかける存在でしかなかった。しかし、真央がシニアで旋風を巻き起こしていた05−06シーズン、ジュニアにとどまったヨナは、一気にブレークする活躍を見せて、出場したジュニア大会のすべてでタイトルを総なめにした。内面から出る気迫や思い、技術力を超えた表現力がそなわりつつあった。極めつけは、一足先にシニアデビューしていた真央も出場した06年世界ジュニア選手権で、強敵だった真央を抑えて、優勝を飾る快挙を遂げた。これを機に、同い年の同じ月に生まれ、家族構成も一緒で容姿も似ている二人の「永遠のライバル」関係が始まった。

真央、ヨナ、二人の演技の違い

 容姿が似ている二人だが、その演技の特徴には少々違いがある。

 まず、真央は天性の明るさからくる天真爛漫(てんしんらんまん)さで見る者をひきつける素質を持っている。体にリズムを持っているスケーティングの上手さと器用さが特徴だ。ジャンプには独特のクセがあり、コマのようにクルックルッと回る。高さを出して回転しており、跳ぶ位置と降りる位置の幅がそれほどないため、滞空時間が短く感じられる。女子選手では最高難度の技であり、高さと回転の速さを必要とするトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を武器にしている。

 一方のヨナは、真央ほどの高さはないものの、ジャンプの幅が大きく、速い回転のジャンプを跳ぶ。流れるようなジャンプが特徴で、特に2つ目にトゥループジャンプを行う連続ジャンプではGOE(※技の出来栄え)で加点をもらえる強みがある。また、音楽やプログラムを表現する演技力は他の追随を許さないほど成熟しており、その感情豊かな演技は評価が高い。

 ジャンプ以外のステップやスピン、スパイラルは、両者ともに高度なテクニックを持っており、レベルも高く、甲乙つけ難いと言えるだろう。

百発百中のトリプルアクセル

 真央、ヨナの両者とも、今季これまでの競技会で披露したプログラム構成から五輪本番仕様に修正すると公言している。全体の構成をみて、狙い通りにポイントを得られるように技を加えたり、抜いたりという調整をしてくるはずだ。真央は武器のトリプルアクセルの成功率を上げるために、2009年12月の全日本選手権ではジャンプをする位置やジャンプをする前の動作を以前とは変えてきた。本人が口にする「百発百中のトリプルアクセルを跳ぶ」ことに成功すれば、もちろん五輪でも勝機はある。

 全日本選手権では勝つために難易度を落としていたが、五輪本番ではトリプルアクセルを含めたジャンプを主体にしながらも、レベルやポイントを獲るためのエレメンツをしっかり盛り込み、スピードを失わないプログラム構成にしなければいけないだろう。そんな真央に対してヨナは、ミスの少ない質のいいジャンプでGOE加点を狙う戦略で、プラス評価の連続ジャンプを含めたバラエティのあるジャンプ構成で対抗。全体的なバランスを重視し、豊かな表現力で完成度と質の高いプログラムで臨んでくるはずだ。

 ジャンプの真央か、総合力のヨナか。勝敗のカギは、どちらが精神的な強さを発揮してパーフェクトな演技をするかだが、できれば、両者ともに納得のいく演技を見せて勝負をつけて欲しいものだ。

※GOE(Grade of Execution)は、演技審判によって0をベースとし−3から+3の7段階で評価された各要素の出来栄え点


<了>

辛仁夏

 東京生まれの横浜育ち。1991年大学卒業後、東京新聞運動部に所属。スポーツ記者として取材活動を始める。テニス、フィギュアスケート、サッカーなどのオリンピック種目からニュースポーツまで幅広く取材。大学時代は初心者ながら体育会テニス部でプレー。2000年秋から1年間、韓国に語学留学。帰国後、フリーランス記者として活動の場を開拓中も、営業力がいまひとつ? 韓国語を使う仕事も始めようと思案の今日この頃。各競技の世界選手権、アジア大会など海外にも足を運ぶ。

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