アントニオ猪木から見た青木真也問題=kamipro発

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アントニオ猪木が大みそか青木問題に闘魂ビンタ! 【kamipro】

 昨年大晦日の『Dynamite!!』で勃発した青木真也問題。DREAMvs『戦極』の対抗戦の大将戦として行なわれた青木vs廣田瑞人戦での青木の腕折り、そして試合後の中指を立てての挑発行為は、いまだ各方面で話題を呼んでいる。そんなときこそ、この男の出番! というわけで、“一戦を越えすぎた狂気のプロレスラー”アントニオ猪木が語る“猪鬼の品格”とは!?


――今日はよろしくお願いします! 

猪木 はい、どうぞ! ……とは言っても、いまのオレはプロレスのことはよくわからないですけどね。

――ハハハハ。どういうところがわからないんでしょうか?

猪木 どういうところがって、まず全然観てないからね。たまたまチャンネルを回すと、「ああ、やってるな……」って感じで。なるだけ情報を取り入れないようにしてるから。

――あんまり情報を取り入れてしまうと、自分の思考や判断が鈍るということもあるんですか?

猪木 そういう計算はないんですよ。「ただ観たくない!!」っていうのが正直なところなのかもしれない。

――それは簡単に言ってしまうと、いまのプロレスに魅力を感じられなかったりするんですか? 

猪木 魅力もないも何も、見るとやっぱり「なんだよ、こいつらは!」という感情が出てくるから。もういちいち批判するような歳でもないし。ただ、あえてこの道で生きてきた人間として、いろんなことを伝えられればいいと思ってるんでね。たとえば、いまの30代後半から40代後半ぐらいの、プロレスが一番熱かった時代のファンが社会で元気なんですよ、意外とね。事業が成功したりさ。昨晩もそんな連中と話をしてると、どうしてもプロレスの話になってしまうわけで。そうすると、自然に暮れの話になってしまうんです。オレは観てないんだけど。

狂気のプロレスラーは青木の腕折りと、敗者に中指を立てる行為をどう見た? 【原悦生】

――それは『Dyamite!!』の話題ですね。

猪木 うん。オレは暮れにパラオに行ってましたんで。ただ、情報としていろいろと入ってくるから。

――柔道金メダリストの石井慧選手のデビュー戦は、猪木さんのもとにはどのように伝わってきてますか? 

猪木 なんか「だらしない」とか「あれじゃダメだよ」とか。まあ逆に言えば、思い入れや肩入れがない人、率直なファンの目で観た感想なんですよね。まあ、彼の今後に関してはマッチメイクの問題も出てくるんでしょうけど、要するに場数を踏まないとしょうがないっていう。やっぱり柔道とはルールが違うわけだから。

――その同じイベントで、結果的に相手の腕を折ってしまった試合があったんです。で、折ったあげく倒れてる敗者に中指を立てるという行為を含めて、賛否両論を呼んでいるんですけど。

猪木 中指? そんなの、アメリカでやったら大問題ですよ! それを言ってしまえば『ハッスル』のポーズなんかも、アメリカの公共のテレビで誰かが「ファック、ファック!!」とやってると同じことなんですけど。

――ハッスルポーズは全米で放送禁止ですか(笑)。

猪木 うん。中指を立てることがどういうことなのか、そういう社会常識をまったく知らない。やったのは日本人なの?

――日本人です。

猪木 バッカ野郎!!って。最近は音楽やってる若者も、平気で中指を立ててますけど、アメリカなら殺されてもしょうがないよ。ホントてめえらバカじゃないか!って。もうそれこそ最悪の行為だよ。殺されてもおかしくないぐらいのことなんですよ。なんせアメリカでは一番屈辱的なことですから。

元祖腕折りといえば猪木、今“闘いの品格”を問う 【原悦生】

――もう一つ騒ぎになってるのは、腕を折ってしまったことなんですね。

猪木 まあ、その試合を観てないからなんとも言えないけど、そりゃあレフェリーがどこで止めるかでしょうね。あとはそれがアクシデントなのか、どうか。やっぱりオレたちはプロですから、そこは紙一重の闘いをしなきゃいけないと思うんですよ。たとえば人を殺すっていう行為は、そこまでの憎しみがあるかないかっていう。だけど、スポーツという一つのジャンルの中で言えば、力を出し切って最後はお互いが認め合うっていうのがまあ一番美しいかたちでしょうね。

――その試合で折ってしまったのは、ある意味で憎しみが爆発したかたちでもあるんですね。

猪木 やっぱり闘いには品格っていう部分が必要なんですよ。そこはプライドという言葉でもいい。「ここまではやっていい。でも、ここまではやらないよ」っていう。技の凌ぎ合いっていうかね、「おう、そこまでやるんならオレもここまでやろうか」「おまえがそこまでやるなら、もう一つ上へ行こうか」って。闘ってる者同士のキャッチボールがあるわけ。それがかつてのプロレスにはあったと思うよ。

※このあとも、76年12月にパキスタンで行なわれた「折ったぞぉ!」でおなじみの伝説のシュートマッチ、アクラム・ペールワン戦や同年10月の韓国でのパク・ソンナン戦など、一線を越えすぎた狂気のプロレスラー“猪鬼”の品格がにじみ出るインタビュー内容となっております! 気になる続きは『kamipro』No.143でどうぞ!!

【10年1月7日/都内・ホテルオークラにて収録】
(聞き手/ジャン斉藤 撮影/原悦生)

【kamipro】

■『kamipro』No.143
 1月23日発売 特別定価940円(本体895円+税)

■大晦日総括特集・青木真也とその狂気

☆“元祖・腕折り”の狂気が語る青木真也
アントニオ猪木 独占ロングインタビュー
「闘いには品格が必要。『プライド』と置き換えてもいい」

☆大晦日の惨劇“被害者”の証言
廣田瑞人 インタビュー
「青木選手は気にしなくていい。でも絶対にリベンジする!」

☆日本格闘競技連盟が青木真也に処分を要求!
怒りの「意見書」会見の全容を公開!!

☆青木真也が“国外追放”となったらどうなるのか?

☆“マッドネス”が語る“命懸けの狂気”
船木誠勝 インタビュー
「麻薬をやってるような感覚になるんです」

☆マット界の名伯楽が語るMMAマナー論
山田武士 インタビュー
「じゃあ、誰か“MMAの品格”を教えてるの?」

☆サダハルンバが大晦日騒動を語る
谷川貞治FEG代表 インタビュー
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☆吉田道場はこれからどうなるのか?
國保尊弘J−ROCK代表 インタビュー

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佐伯繁DEEP代表 インタビュー
「この騒ぎを沈静化させるのは時間しかない」

☆論客たちの青鬼(アオキ)論
菊地成孔/夢枕獏/堀辺正史/柳澤健

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☆浅草キッドの玉ちゃんと大晦日を語りまくる!
2010年新春変態座談会


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すべてリングで決着をつけた、黄金の昭和プロレスに学べ!

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ほか、今月も「ナイスですね〜!」な企画が満載です!!
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