10年前とは全然違う!? プロ野球自主トレ今昔物語=大塚光二が語る自主トレの狙いから笑撃の伝説まで

構成:スポーツナビ

注目の自主トレは巨人・高橋由伸

復活を目指す巨人・高橋由伸。再びレギュラーの座を奪い返すために沖縄で自主トレに励んでいる 【写真は共同】

 今年の注目は高橋由伸ですね。彼は腰を手術してオフもなくリハビリしてきているわけですから、どんな自主トレをして、どうキャンプに臨むか注目しています。
 首脳陣はまずキャンプの第1クールに由伸がどれだけの体になってきているかを見たいんです。由伸もそれを分かっている。首脳陣は「シーズンに間に合うように」と言うでしょうけど、由伸は最初に動けるところを見せたいでしょうね。

 選手にとって構想から外れてしまうのが一番怖いことです。キャンプが始まったときに「これだけ体をつくってきたんだ」と思われるのか、「こんな状態かよ」と思われるのは全然違う。
 多くの監督は「今年はゼロからのスタート」と言うけど、完全なフラットは絶対にないですから。若手は「ゼロからのスタート」ではないところで、どれだけアピールできるかが重要です。去年のレギュラーから1人でも入れ替わればいいのが現状ですから、その1人を目標に若手は頑張るべきですね。特に新しい監督は前の監督の色を変えたいはずですから、そこを狙ってほしいですね。

1.5軍の選手は周りの雑音を気にするな!

 僕は自分がそうだったから1.5軍の選手を応援したいんです。プロ生活の岐路に立っていて、自主トレが一番重要なのも彼らなんです
 彼らに言いたいのは、周りの雑音は気にしない方がいいということです。若手がキャンプ初日から飛ばしていると、途中で疲れのピークがくると言われて練習内容が変わることがあります。でも、本当にそこで疲れのピークがきているのかも分からないし、疲れていても結果を出す選手もいるわけです。「そのペースだといつごろに疲れるよ」と、周りに言われて気にしすぎではいけません。

 あとは僕もそうだったけど2軍から1軍に上がったときに今までと違うことをしようとしてしまいます。その気持ちは分かるんだけど、必要とされて上がってきているんだから、思い切ってそのままやればいい。自分の能力以上のことはできないわけですから。
 キャンプで新しい打ち方や投げ方を始めたら遅い場合があります。だからこそ、自分を試せる場である自主トレで思い切って挑戦して、自信を持って春季キャンプに入ってもらいたいですね。

<了>

大塚光二/Koji Otsuka

現役時代は西武の黄金時代を支え、プロ野球解説者として活躍。今季から日本ハムで外野守備・走塁コーチに就任する大塚光二氏 【スポーツナビ】

 1967年8月26日生まれ。兵庫県出身。育英高−東北福祉大−西武。180センチ、78キロ。右投げ左打ち。育英高で本格的に野球を始める。東北福祉大では主将を務め、同級生の佐々木主浩(元横浜・マリナーズ)、後輩の金本知憲(阪神)らとプレーした。89年のドラフト3位で西武に入団。抜群の勝負強さで西武の黄金時代を支えた。2001年に引退後は野球解説者として活躍。社会人野球クラブチーム「一球幸魂倶楽部」の監督も務めている。
 この秋には出演しているJ SPORTSの人気番組「ガンバレ日本プロ野球!?」が待望のDVDに。ゲストとして最多出演を誇る金本知憲の登場回を収録している「ガンバレ日本プロ野球!? 金本知憲編 〜こんなアニキはどうでしょう?〜」が09年10月23日に発売された。

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