バルセロナの忘れられない1年=FIFAクラブワールドカップ UAE 2009
バルサの優勝とメッシの活躍とともに
2試合で決勝点を挙げる活躍を見せたメッシが大会MVPに輝いた 【Photo:ロイター/アフロ】
決勝後にグアルディオラが見せた涙は、こうした思いが詰まったものだったのだろう。と同時に、ここまで南米王者に苦戦させられるとは、正直なところ思っていなかったに違いない。決勝のオッズは7対1と圧倒的にバルセロナのクラブの優位を示していたし、地元カタルーニャやスペインのメディアも、戦前は楽観的な予想に終始した。
だがふたを開けてみれば、エストゥディアンテスは高い山となって欧州王者に立ちはだかった。監督就任1年目にしてこれ以上ないほどの結果を残し、常に美しいサッカーと結果を求められる重圧。安堵(あんど)の気持ちが、グアルディオラを感情的にさせたのかもしれない。
また今大会は、コパ・リベルタドーレスがやはり重要な大会であることを再認識させたと言える。エストゥディアンテスは決勝の舞台で、今季のクラシコ(伝統の一戦)におけるレアル・マドリーよりも、バルセロナを苦しめた。この事実は見過ごされるべきではないだろう。
欧州チャンピオン対南米チャンピオンという構図は、各大陸王者が集う大会フォーマットになってから一度も崩れておらず、今大会も2強とそのほかのチームの差は絶望的なほどに大きかった。本来であれば、6大陸の王者が同じフェーズで戦うことが、世界タイトルを争う上では公平だ。だが実際は、前身のインターコンチネンタルカップの名残もあり、南米王者とヨーロッパ王者はシードされている。ほかの大陸はFIFA(国際サッカー連盟)によって締め出されているとも言えるだろう。クラブW杯はさまざまな矛盾をはらんだまま、今大会も幕を閉じた。最も美しいサッカーを実践するクラブの優勝と、メッシという世界最高選手の活躍とともに。
<了>