北岡が敗戦、休養宣言の理由「負けて人気が上がったのは求めていたものではない」=『ゴング格闘技』発

ゴング格闘技

マスヴィダル戦から約1週間後、まだ顔の腫れが引き切っていない北岡に会って、話を聞いた。敗戦、激動の格闘技界、今後について…… 【(C)ゴング格闘技/杉博文】

 今年8月2日、廣田瑞人に敗れてベルトを失い、一時は引退を示唆していた北岡悟が、早くも3カ月のインターバルで挑んだ復帰戦。しかし、ホルヘ・マスヴィダルのパウンドを浴び、連続TKO負けを味わうという結果に終わった。
 北岡はあの試合で何を感じたのか? そしてこれからどうするのか? 試合から約1週間後、まだ顔の腫れが引き切っていない。彼に会って、話を聞いた。

北岡「技術的な部分が、はっきり言って欠けていたと思います」

──まず、試合のことから振り返ります。入場のときは、いつものような自分の世界に入り込んだ表情ではなかったですね

「そうですね。無理やり早い段階で(テンションを)引き上げないで、集中力だけと思っていました。ゴングが鳴った時に、ギュッと上げればいいと思っていたので。前回負けた後だから、いろいろ変えてみたというのはありますよ」

──開始早々のアキレス腱固めを取り逃した場面が、最大の山場だったと思います。ちゃんと極まっていた瞬間もあったはずですが、音が鳴ったりしていましたか?

「音は鳴っていました。練習だったらタップするレベルだと思います。でも、固定できていなかったですからね。相手は危ない逃げ方をしてきました。一瞬極まる方向だけど抜ける、試合ならやる逃げ方ですね」

──相手のリーチが長いのもあって、足を取りながらかなり殴られましたが

「結構もらいましたね。そういう試合もカーロス・コンディット戦でやっているんで、だから取り切れると思うところもあったんです。でも、ちょっと状況が違うし。そもそもあそこはアキレスに行くこと自体が、まだ早いですよね。そういう意味では、廣田戦と一緒だと思います」

──タイミングとして取るべきところではないところで、強引に取りにいったと

「その通りです。本当はもっとちゃんと抑えてからいかないといけない。足関節に行くにしても、ギロチンに行くにしても」

──抑え込みのプレッシャーがあってこそ、極めの隙が生まれると

「そうです。抑え切ってこそ極まると思うんですよ。光岡戦は、あれは抑え切っているんです。抑え切ってからのヒールホールドだからこそ、切れ味があったんですよ。クレイ・フレンチのときは変則ですけど、実はすごく深いところまでタックルで入り込んでいるんですよね。ああいうふうに懐に飛び込めているのも、ある種、抑えているのと同じ意味合いがあると思います。だからそういう技術的な部分が、はっきり言って欠けていたと思いますね」

北岡「僕、正直なので、言っちゃいますけど……」

11.7戦極で、開始早々、片足タックルでマスヴィダルをテイクダウンした北岡は、一気にアキレス腱固めで絞りあげたが…… 【(C)ゴング格闘技/舟橋賢】

──強引に取りに行ってしまうのは、自信があるからではなくて……

「むしろ逆だと思いますね。僕、正直なので、言っちゃいますけど(苦笑)」

──そういう意味でも、廣田戦と同じ?

「同じです。対戦相手が強いというのもあると思いますけど、自分自身が全体的に緩くて、甘くて、雑になっていたと思います。僕としては、もっとテイクダウンするのが大変な試合になると思っていたんですね。正直、簡単にトップを取れると思っていなかった。でも、向こうはタックルに対して完全にギロチンを合わせて来たせいで、かえって僕のほうが雑な試合をしてしまったところはあります。なかなかテイクダウンを取れない相手だからこそ、すぐ足に行くというイメージだったのに、あっさりテイクダウンを取れるのであれば、しっかり上攻めをやるべきだと思うし、そういう意味ではちょっとお粗末な試合だったと思います」

──取材前の雑談で、『あれはワーストバウトだった』と言っていましたね

「あんなに早い段階でやられたこともないし、試合が雑でしたし、あと僕自身、リング上で“折れてしまった”部分がある。そこがすごく恥ずかしいし、悔しいです」

──折れた部分というのは、最後のパウンドを浴びた部分?

「最後もそうですし、途中でもありましたよ、正直」

──1Rが終わったとき、セコンドに抱えられるようにしてコーナーに戻りました。インターバルのときは、どうでしたか?

「きつかったですよ。しこたま殴られましたから。効くというより、ボーッとする感じですよね」

──ダメージだけでなく、ガス欠っぽいところも大きかったのかと感じました

「ガス欠っぽいところもあると思いますね。コンディショニングに問題があるんだと思います。70キロに落とすのに、今までとは違うやり方でやったんですけど、やっぱり消耗がある。何とかしないと」

──それはけっこう根本的な話ですね

(文=藁谷浩一、写真=杉 博文)

※この後も、北岡が吐露する連敗の原因、横田評、大晦日に向け激動する戦極マットについて……など、格闘技に正直な北岡悟のインタビューは、発売中の『ゴング格闘技』にて、ご覧ください!

『ゴング格闘技』1月号(11月21日、土曜日発売)

『ゴング格闘技』1月号は11月21日(土)発売。表紙は、大晦日大同団結の中、「主役は渡さない」魔裟斗 【(C)ゴング格闘技/和智正夫】

『ゴング格闘技』1月号はいつもより2日早い、11月21日(土)発売です。表紙は、DREAM×戦極 対抗戦が行なわれる予定の大晦日に、引退試合を行なう魔裟斗。主役は譲れない男の現役最後の独占インタビューです!

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 今月はさらに、レフェリー、ジャッジ問題を徹底検証。識者・関係者取材&座談会で格闘技界の問題を掘り下げます。

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DREAM×戦極@大晦日、世紀の大連立へ──
夢の対抗戦なるか!? ゴン格オススメ、夢カード

☆12・31 Dynamite!! FINALインタビュー
最強最後の魔裟斗──MASATO, the Last and Greatest Fight

☆テクニック検証◎魔裟斗vsアンディ・サワー
吉鷹弘の技術的予想!
「3分5Rルールはサワーに有利」説 その根拠とは!?

☆10・26K-1 WORLD MAX FINAL
現役日本最強のサウスポー・藤原あらしが
“ドクター”ペトロシアンのカルテを逆に作っちゃいました。
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☆09年最大の発見! 23歳でK−1 MAXを制覇
ジョルジォ・ペトロシアン「一度として同じ戦いをしたことはない」

☆11・7 Strikeforce M-1 Global Fedor vs Rogers
エメリヤーエンコ・ヒョードル、インタビュー
「日本で近々、再び試合ができる事を望んでいます」

☆青木真也、アメリカに行って確信しました。
「僕がやっていることはアメリカに負けてない」

☆中井祐樹、高阪剛、吉鷹弘
ゴンカクMMA委員会が選ぶ「この瞬間!」Part1
11.7 STRIKEFORCE
皇帝が強いられた苦戦の理由とフィニッシュに隠された布石とは?

☆Road to UFC
アメリカは五味隆典に火を点けるのか!?
「パッキャオとUFCを見て、自分の中に燃えるものがあるかどうかを確認したい」

☆ゴンカクMMA委員会が選ぶ「この瞬間!」Part2
10.30 VALE TUDO JAPAN 09
五味はなぜ苦戦したのか? 新旧王者対決に“マウント”の終わりを見た

★特集「敗者よ、明日を語れ」

☆11.7戦極〜第十一陣〜
連続TKO負け、そして無期限の休養宣言──
北岡悟「負けて変に人気が上がったのは、僕の求めていたものではなかった」

☆ゴンカクMMA委員会が選ぶ「この瞬間!」Part3
11.7 SENGOKU 11
“北岡ガス欠問題”をどう見る? 小見川vs日沖戦の判定の是非を問う

☆10.25 DREAM.12
プロ初黒星を喫したアルバレス戦を振り返る
菊野克紀「もっと強くなるためにあの負けが必要だった」

☆ゴンカクMMA委員会が選ぶ「この瞬間!」Part4
10.25 DREAM.12
“桜庭ストップ問題”のミカタ 菊野の蹴りはなぜ殺されたのか?

☆10.24 UFC104
曇り空の明日に向かって、渡米の決意
10月24日、チェール・ソネンに敗れた岡見勇信

☆北米最新MMAテクニック徹底解明!
Easy Understanding Secret of MMA
ジェイク・シールズのアメリカン柔術とは?
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リョート・マチダ×マウリシオ・ショーグン戦の真実
「虚をつかれ、実をつこうとしていたリョート」

☆石井慧を鍛えた関西の“伝説の寝業師”
元谷金次郎「石井慧と吉田秀彦の試合は、すべての柔道家の想いを背負っている」
本家・元谷返し技術実演

☆連載再開! いよいよ怒涛の海外篇
「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」増田俊也・著
第二十三回:激動のハワイ篇

■徹底検証・レフェリング問題を考える。

☆元K−1チーフレフェリーが賛否両論の“武田引退試合”を語る
猪狩元秀「あれはミスジャッジです」

☆修斗コミッション・鈴木利治&ユニバーサルジャッジ・磯野元
「総合格闘技界、法の番人の出会い」
格闘技審判団誕生秘話と、悲悲こもごも

☆緊急記者座談会
K−1とDREAMで紛糾した2試合から見えてくるもの──
「レフェリング問題は日本の格闘技界の構造的問題だ」

☆当事者に聞く
☆綱川慎一郎ドクター「レフェリーはダウンした選手に歩かせてほしい」

☆大城盛敬レフェリー「桜庭選手は“タップしない人”だから……」

☆格闘技を競技にするために──
原功「ボクシングにおけるレフェリング、ジャッジ問題を考える」
ボクシングのレフェリー&ジャッジ事件史

☆『世紀の誤審』『スポーツルールはなぜ不公平か』著者
生島淳が見た「世紀の誤審」のメカニズム
「“レフェリー”という言葉の語源は“ルールを参照する人”という意味です」

☆松原隆一郎が格闘技界の問題を斬る。教えて、教授! 第32回
「レフェリング問題は地上波で1千万人が見るからこそ起きた?」

☆「月刊・谷川貞治」インタビュー
格闘技大好きサダハルンバ
「DREAM+戦極」大連立と、「角田レフェリー問題」を熱く語る

☆引退ラストインタビュー
お帰りなさい 武田幸三、戦場から家族の元へ

■特集「ライト級、主役を狙う男たち」

☆12.12UFC107でBJ.ペンと対戦!
神に選ばれしチャレンジヤー ディエゴ・サンチェス

☆渡米した五味とスパー!
UFC、DREAMおそるるにたりず
ストライクフォース世界ライト級王者 ジョシュ・トムソン

☆菊野に一本勝ち
帰ってきた熱風 ベラトールFC世界ライト級王座 エディ・アルバレス

☆GUTSMANから独立。戦極ライト級王者よ、何処へ行く
廣田瑞人「もしSRCとDynamite!!が大晦日に一緒に大会をやるなら、俺がエディ・アルバレスに打ち勝ってKOしたい」

その他、今月も『ゴング格闘技』は、ダイナマイッな内容です!
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