セリーナが優勝、年間世界1位に自ら花を添える=女子テニス

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今年のウィンブルドン決勝と同じく、ウィリアムズ姉妹対決となったソニー・エリクソン・チャンピオンシップ決勝。妹のセリーナ(右)が姉ビーナスを破り優勝 【Getty Images】

 女子テニスのシーズン成績トップ選手8人によるソニー・エリクソン・チャンピオンシップの決勝は1日、ドーハで行われ、シングルス決勝は第2シードのセリーナ・ウィリアムズが第7シードのビーナス・ウィリアムズ(ともに米国)を6−2、7−6で下し、今年の全豪オープン、ウィンブルドンに続くビッグタイトルを獲得した。セリーナはすでに、7年ぶり2度目となる女子テニス協会(WTA)の年間世界ランキング1位を確定していた。

経験値で他選手より上回ったウィリアムズ姉妹

 この大会は今シーズン目覚ましい成績を残した上位選手のみによるハイレベルな大会であると同時に、シーズンを戦い抜いたトップ選手にとっては蓄積した疲労とけがが残る中での、タフな戦いの場でもあった。そういう意味では、決勝に勝ち進んだウィリアムズ姉妹は実力はもとより、大きな舞台での集中力とけがに対する経験値という意味で、ほかの選手より一日の長があったと言えるだろう。

 大会前の大きな目玉は、セリーナとディナラ・サフィナ(ロシア)のイヤーエンド・ナンバーワン(年間世界ランキング1位)争いだった。開催前の26日に発表されたWTAランキングで、サフィナはセリーナを抜いてナンバーワンに返り咲いていた。しかしその差はごくわずかであり、このドーハで同成績ならサフィナがナンバーワンのまま、1勝でも多くセリーナが勝つなら逆転でセリーナがイヤーエンド・ナンバーワンとなる状況だった。

 しかし、この目玉は大会2日目で消え失せてしまった。サフィナは腰のけがで早々にリタイア。1日目で1勝を上げていたセリーナが、この時点でイヤーエンド・ナンバーワンを決めたのだ。セリーナは大会3日目で3連勝し、準決勝に一番乗り。その後、準決勝でウォズニアッキを、決勝で姉のビーナスを下して優勝し、自らのイヤーエンド・ナンバーワンに花を添えた。

大会を盛り上げた19歳のウォズニアキ

 ウィリアムズ姉妹が入ったグループとは対照的に、4日目まで準決勝進出者が決まらなかったもう一つのグループの主役は、19歳のキャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)だった。

 ウォズニアッキは、1日目にエレナ・ヤンコビッチ(セルビア)をストレートで下して波に乗るビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)に対し、1セットダウンから逆転勝利。さらに、サフィナの代わりに出場したベラ・ズボナレワ(ロシア)には第2セットのマッチポイントから追いつかれたが、ファイナルセットの5−4からけいれんでコートに倒れ込みながらもサービスをキープ。連日3時間近くの大熱戦を勝ち抜き、準決勝進出を決めた。準決勝では腹筋を痛め棄権したものの、結果的に今大会を盛り上げたのは、間違いなくこのウォズニアキだった。

 今年初めてグランドスラム決勝の舞台に立った美形のデンマーク娘は、ハードヒットとクレバーな戦術を持ち合わせた素晴らしいファイターであることをドーハで証明した。現在のWTAツアーで最も人気のある選手となった彼女が準決勝で見せた笑顔と試合への執念は、対戦相手のセリーナをも感服させるものだった。
「彼女は今週ずっとけがと戦ってきて、今日もコートに出てきて観客の前で戦おうとしたわ。彼女のような選手をWTAツアーで見ることができるのは素晴らしいことよ。彼女は信じられないファイターよ」(セリーナ)

 当のウォズニアキは試合後にこう述べている。
「あのままプレーすることは私の限度を超えていた。私は笑うことも泣くこともできたわ。でも笑うことを選んだの。私は自分のすべてを出し切ったし、今は何も残っていない。この大会で自分がすごいファイターであることが分かったし、不可能なことなんて無いことを学んだわ」

 来年のWTAツアーには、今年復帰直後の全米オープンを制したキム・クライシュテルス(ベルギー)に加え、世界ランクナンバーワンのまま引退したジュスティーヌ・エナン(ベルギー)も帰ってくる。
 さらに、大舞台で実力を発揮するウィリアムズ姉妹は健在で、新鋭のウォズニアキやアザレンカが新風を巻き起こすかもしれない。そうなったら強豪ぞろいのロシアやセルビア勢も黙ってはいないはずだ。来年のWTAツアーが今から待ち遠しくなってきた――。

<了>

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