主役不在のトーナメントを制したツォンガ=ジャパンオープンテニス

テニスネットPro

男子シングルス決勝でミハイル・ユージニーを破り優勝、トロフィーを手にするジョーウィルフリード・ツォンガ=有明コロシアム 【共同】

 今月5日から11日にかけて、東京・有明コロシアムで行われたテニスの楽天ジャパン・オープン。今年は、大会直前になって世界ランキング1位のロジャー・フェデラー(スイス)、同3位のアンディ・マリー(英国)、そして日本期待の錦織圭(ソニー)の欠場が発表された。しかしそれでも、世界ランクトップ10に名を連ねる3人、全米オープン優勝のファンマルティン・デルポトロ(アルゼンチン)、ジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)、ジル・シモン(フランス)に加え、日本にもファンの多いレイトン・ヒューイット(オーストラリア)やファブリス・サントロ(フランス)など多くのトップ選手が来日し、世界最高峰の技を惜しみなく見せてくれた。

 最終的に優勝を飾ったツォンガは試合後のインタビューで、「試合が進むたびに調子が良くなった」とコメントしていたように、一戦ごとにその強さを増していった。ツォンガの対戦相手を振り返ってみると、2回戦では元トップ10選手であるリシャール・ガスケ(フランス)、3回戦では強打が売りのエルネスツ・ガルビス(ラトビア)、準決勝では抜群の運動能力を誇るガエル・モンフィス(フランス)と、注目選手たちを倒して決勝まで進んでいる。特に準決勝、決勝でのそのプレーぶりはまさに圧巻。モンフィスを6−3、6−3で退けた翌日、決勝戦では今大会絶好調のミハイル・ユージニー(ロシア)に自分のテニスをさせず、こちらも6−3、6−3で下して初優勝を果たし、今季3勝目を飾った。

気まぐれにも見えるツォンガの魅力とは?

 おおよそテニス選手とは思えないツォンガの体格と風ぼうは、ほかの選手とは一線を画しているようにも見える。そのプレースタイルは豪快さに溢れ、強力なサーブとパワフルなフォアハンドストロークは圧巻。それだけでなくネットプレーも器用にこなすなど、現在のトップ選手に必要な要素をすべて兼ね備えている。

 決勝戦でもそのサーブは、観客だけでなく対戦相手のユージニーをも驚かせた。2セット目の序盤、ジュースからのセカンドサーブで200キロ近いサーブを打ち込み、エースを奪ったのである。
「サーブが決まらなくて頭に来ていた。もうセカンドサーブなんて打ちたくないから、ファーストサーブのつもりで打った。作戦でも何でもなくて感覚的なもの」というコメントがツォンガの性格を物語っていると言えるだろう。

 時には集中力が切れたようなプレーをすることもあるが、と思えば200キロを超えるサービスエースを連発する――ツォンガはそんな選手だ。こうした部分も見ていて微笑ましい貴重なキャラクターではないだろうか。

サントロ、ヒューイットにユージニー、魅せてくれたベテラン選手たち

 日本にもファンの多いサントロ、ヒューイットらのプレーは多くのファンを喜ばせた。今シーズン限りでの引退を発表しているサントロは初来日。日本のファンにその変幻自在なプレーぶりを見せてくれた。
 ヒューイットはその熱い雄叫びを日本のファンの前でも披露してくれたし、今大会台風の目となったユージニーの試合の組み立ては、見る者をうならせるクオリティーの高さを持っていた。

 欲を言えば、このメンバーの中で日本の選手が勝ち上がる姿を見たかったものだが、それは近くけがから復帰するであろう錦織を含めて、来年以降に期待したい。

<了>

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