ウッズとの直接対決を制し、韓国のヤンが逆転優勝!=第91回全米プロゴルフ選手権

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全米プロ選手権で初優勝し、笑顔でトロフィーを掲げるY・E・ヤン=ヘーゼルティン・ナショナルGC 【共同】

 メジャー15勝目に王手をかけたタイガー・ウッズ(米国)が、まさかの逆転負けを喫し、Y.E.ヤン(韓国)が、アジア勢初のメジャータイトルを手にした。

ピンチをしのいだヤン 自ら崩れたウッズ

 第91回全米プロゴルフ選手権(ミネソタ州チャスカ、へーゼルティン・ナショナルGC)の最終日は、3日目まで2位に2打差をつけて単独首位に立つウッズを、連覇を狙うパドレイグ・ハリントン(アイルランド)とヤンが追う形でスタートした。しかし、ヤンの追い上げで、最終ホールの18番まで熾烈(しれつ)なデッドヒートが繰り広げられる展開となった。

 今大会、ウッズは決して盤石のゴルフをしていたとは言えなかった。1日目こそ67とほぼ完ぺきなゴルフをしていたが、2日目、3日目は自分でも「今日は守りに徹するプレーを貫いた」と語ったように、スコアを伸ばせず、逆に後続が崩れたことで首位を守れたという感じがあった。
 そして迎えた最終日。同組のヤンは、2006年HSBCチャンピオンズでの直接対決で敗れた相手であり、例え「首位で最終日を迎えた時の勝率が100%」であったウッズにも、何かよぎるものがあっただろう。
 案の定、最終ラウンドではヤンに先手を取られ、自分が崩れるという展開で早々と首位に並ばれてしまった。お互いに6アンダーで迎えた13番でも、ヤンがバンカーに打ち込むピンチをきっちりパーで沈めてしのいだのに対し、ウッズはこのホールでバーディを奪えず、逆にチャンスを生かすことができず。すると続く14番の2打目のアプローチショットをヤンが直接沈めてイーグルを奪い、一気にリードを奪った。「とにかくパットが入らなかった」とウッズが語ったように、ことごとくカップに嫌われ、1打差で迎えた最終18番でもヤンにバーディを奪われ、万事休す。
 メジャー15勝目に王手をかけたウッズだったが、予期せぬ伏兵に逆転負けを喫し、ラウンド後のインタビューでも「自分もいいプレーをしたが、ヤンがそれ以上のプレーをした」と、相手をたたえるしかなかった。

 優勝したヤンは、韓国人としてはもちろん、アジア出身の選手としては初のメジャータイトルという名誉も手に入れた。ウッズの敗退が注目されがちだが、この重圧の中で最終ラウンドを70という素晴らしいスコアでプレーしたヤンの安定したショット、大勢のギャラリーが囲む中での、プレッシャーを物ともしない精神力の強さは大きな称賛に値する。
大会前の世界ランキングは110位だったヤンだが、今後は一気にランキングを駆け上がるに違いない。

石川遼が予選突破 20歳のマキロイは才能を証明

 今大会を振り返ると、やはり日本では石川遼のメジャー初の予選突破ということが日本では大きな話題となった。ここまで今シーズンは3回メジャーに挑戦し、3度目の正直となる今大会でギリギリではあるが予選を突破し、4日間を戦えたことは石川にとっても素晴らしい経験となったはずである。特に最終日のラウンドは世界ランク2位であるフィル・ミケルソン(米国)と同じ組でのラウンドとなり、その技術面だけでなく、メジャータイトルを取ったことのある選手の立ち振る舞い、精神的な強さなどを身をもって経験することができたであろう。

 若手ではほかに、3位タイという成績を収めた20歳のロリー・マキロイにも大きな注目が集まった。欧州PGAツアーでも優勝経験を持つマキロイは、最後まで観客を魅了するプレーを続け、その大胆な攻め、20歳とは思えない確実なアプローチショットは、今後のゴルフ界をリードできる才能を持つ選手であることを証明した。

 今年のメジャー大会は、これで4大会すべてを終えた。各選手たちの素晴らしいプレーに感謝しつつ、来年こそは日本人選手がトロフィーを掲げる姿に期待したい。

<了>
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