ウッズとの直接対決を制し、韓国のヤンが逆転優勝!=第91回全米プロゴルフ選手権
全米プロ選手権で初優勝し、笑顔でトロフィーを掲げるY・E・ヤン=ヘーゼルティン・ナショナルGC 【共同】
ピンチをしのいだヤン 自ら崩れたウッズ
今大会、ウッズは決して盤石のゴルフをしていたとは言えなかった。1日目こそ67とほぼ完ぺきなゴルフをしていたが、2日目、3日目は自分でも「今日は守りに徹するプレーを貫いた」と語ったように、スコアを伸ばせず、逆に後続が崩れたことで首位を守れたという感じがあった。
そして迎えた最終日。同組のヤンは、2006年HSBCチャンピオンズでの直接対決で敗れた相手であり、例え「首位で最終日を迎えた時の勝率が100%」であったウッズにも、何かよぎるものがあっただろう。
案の定、最終ラウンドではヤンに先手を取られ、自分が崩れるという展開で早々と首位に並ばれてしまった。お互いに6アンダーで迎えた13番でも、ヤンがバンカーに打ち込むピンチをきっちりパーで沈めてしのいだのに対し、ウッズはこのホールでバーディを奪えず、逆にチャンスを生かすことができず。すると続く14番の2打目のアプローチショットをヤンが直接沈めてイーグルを奪い、一気にリードを奪った。「とにかくパットが入らなかった」とウッズが語ったように、ことごとくカップに嫌われ、1打差で迎えた最終18番でもヤンにバーディを奪われ、万事休す。
メジャー15勝目に王手をかけたウッズだったが、予期せぬ伏兵に逆転負けを喫し、ラウンド後のインタビューでも「自分もいいプレーをしたが、ヤンがそれ以上のプレーをした」と、相手をたたえるしかなかった。
優勝したヤンは、韓国人としてはもちろん、アジア出身の選手としては初のメジャータイトルという名誉も手に入れた。ウッズの敗退が注目されがちだが、この重圧の中で最終ラウンドを70という素晴らしいスコアでプレーしたヤンの安定したショット、大勢のギャラリーが囲む中での、プレッシャーを物ともしない精神力の強さは大きな称賛に値する。
大会前の世界ランキングは110位だったヤンだが、今後は一気にランキングを駆け上がるに違いない。
石川遼が予選突破 20歳のマキロイは才能を証明
若手ではほかに、3位タイという成績を収めた20歳のロリー・マキロイにも大きな注目が集まった。欧州PGAツアーでも優勝経験を持つマキロイは、最後まで観客を魅了するプレーを続け、その大胆な攻め、20歳とは思えない確実なアプローチショットは、今後のゴルフ界をリードできる才能を持つ選手であることを証明した。
今年のメジャー大会は、これで4大会すべてを終えた。各選手たちの素晴らしいプレーに感謝しつつ、来年こそは日本人選手がトロフィーを掲げる姿に期待したい。
<了>
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