山本KID、4年2カ月ぶりのK-1挑戦を語る!=ゴング格闘技

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「復帰戦はけが再発の恐怖との戦いだった」と振り返るKID。その不安を払拭し、7.13K-1 MAXでは4年2カ月ぶりのK-1ルールに挑戦する。写真=田嶋真次 【ゴング格闘技】

 5月DREAM.9で、512日ぶりの復帰を果たすも、MMA2戦目のトップレスラー、ジョー・ウォーレンにまさかの黒星を喫したKID。しかし、2週間後に訪ねた彼は、冷静に敗因を分析し、すでに次戦へと目を向けていた。
 ムエタイを取り入れた新たなスタイルと、レオジーニョに手ほどきを受けた寝技。
 そして、7.13K-1 MAX緊急参戦──。
 今、KIDは“実戦”に飢えている。


 これまでにないKIDが随所に見られた試合だった。
 開始直後から明らかにしたムエタイ式アップライトでの新スタイル、テイクダウンを複数回に渡って許し、下からの展開を強いられた寝技、そして総合では02年5月のステファン・パーリング戦(ヒザ蹴りで額をカットされTKO)以来となる黒星――。
 512日のブランクは“神の子”をしても埋め難い“何か”を生じさせていたのか。
 しかし、試合から2週間を経て行なわれたインタビューにKIDはスッキリした表情で現れた。半月という時間が気持ちの切り替えを生んだのか。だが、風化により敗戦のショックを和らげたのではなく、明確な敗因の分析と認識がKIDに前向きな視線を与えていた。

KID「俺がレスリングの練習不足だった」

512日ぶりの復帰戦で、グレコ元世界王者のウォーレンに判定で敗れたKID。自ら明かすその敗因とK-1挑戦の理由とは? 【ゴング格闘技】

――残念な結果になってしまいましたが、まずは戦線復帰おめでとうございます。

「ありがとうございます」

――試合での怪我だったり負傷していたヒザの具合はいかがですか?

「いや、怪我とかは全くないです」

――時間が経ち冷静に振り返れるかと思うのですが、試合の感想をお願いします。

「率直な感想は、ただ単にレスリング負け、あの差し合いでグレコ負けしたなと。それだけです」

――「組みが予想以上に強かった」という試合後のコメントがありました。

「っていうか今回は俺がレスリングの練習不足だったんです。打撃なんかは全然ヒザに問題ないんだけど、レスリングが一番ヒザをやっちゃう時が多いじゃないですか。それで怪我の心配をして、ちょっとレスリングを避けてる自分がいた。それが原因ですね。ただ単に練習不足、総合の」

――やはり練習の時点でヒザへの不安が拭い去れなかったと。

「だからその気持ちがあったのがダメだった。ヒザに対する恐怖心を持ってたから。それが一番敗因。でも、今回フルラウンド組み合いやって、ほとんど8割方レスリングだったから、それで終わってもヒザは全く問題なかったから“あ、レスリングやっても大丈夫だな”って、そういう不安感はなくなった。まぁ、レスリングはやっぱ総合の基本だなって改めて感じたんで、ちゃんとまたやっていこうって思いました」

――では試合前にあった恐怖心が……

「試合が終わって消えた。全然大丈夫だなと思って」

――以前は母校の山梨学院大でレスリング合宿を張ったりしていましたが、再びそういった練習も?

「そうですね、やっていこうかなって。やっぱ“総合”。レスリングは基本だし、重要だなって」

――ウォーレンは06年のグレコ世界選手権王者ですが、実際に組んでの感触はいかがでした? レスリングの練習ができていれば対応できる感じでした?

「うん、全然できる。だって今回はそういうのを全くやらないで臨んじゃったから。それで3、4回倒されちゃったから、そこを押さえられれば」

――レスリングの局面で後れを取らなければ、ああいった展開にはならなかったと。

「あそこからまた離して。後半はさばけるようになったけど、やっぱり思いっきり行けないところがあった」

――それでもパンチでとらえる場面があり、タイミングも悪くなかったと思うのですが、ウォーレンを倒すことはできませんでした。

「やっぱ差し合いで腕がいつもより疲れて、パンチ力も減っちゃってたと思う。上での差し合いでもう腕がパンパンになっちゃって。でも力は強かったけど、ちゃんと練習やってれば別に組み負けないなと思った」

煽りVは「あんまエグいの見せないでよ(苦笑)」

 体調は「バッチリです」と直前の会見で答えていたKIDだが、コンディションとは別に、ヒザに対する不安は拭い去れていなかった。「レスリングの練習不足」「やらなかった」と言葉が出たが、これは“できなかった”と読み解くこともできる。初出場を予定していた昨年7月のDREAM5を直前に左ヒザ前十字靭帯完全断裂で欠場、復帰までの時間とリハビリも当初予定した以上のものを要していた。インタビュー中に漏らした「もう1回やったら……」という言葉が、KIDの偽らざる本心だっただろう。怪我の再発、そして欠場を防止せんとする本能が、結果としてレスリングを避ける気持ちを呼んだのかもしれない。だが、試合という何よりの最終チェックでヒザの完治を確認したKIDは、

「今日一番上のチビに『パパ、レスリングの練習足りないんじゃない。』なんてこと言われ。『だよな。。』みたいな。そう言ってレスリングの練習にチビは行きました。ヤツが一番悔しがってたな目を真っ赤にして。リベンジ出来たら逆に組み合って倒す事を誓った」と、試合3日後のブログに綴っている。

――事前のテレビ番組や煽りVでは手術の様子が流されていましたが、あれはどんな気持ちでした?


「いや、あんま見たくなかった(苦笑)。あんまエグいの見せないでよ、みたいに思ったっす(苦笑)」

――今回はフットワークを使って相手が入ってきたところをカウンターで仕留めるというこれまでのスタイルから、アップライトの構えで蹴りを多用する、よりムエタイを取り入れたスタイルに変えましたね。(文=長谷川 亮)

※以降も、KIDのムエタイ+レスリングの新スタイルの是非、柔術界のレジェンド・レオジーニョとの極秘練習、WECユライヤvsブラウン戦の感想、7.13 K-1 MAX緊急参戦の理由など、KIDの本音爆発のインタビューは、現在発売中の「ゴング格闘技」8月号に掲載中!

『ゴング格闘技』8月号

【ゴング格闘技】

6月23日発売 イーストプレス発行

表紙は、戦極参戦を決めた石井慧と、なぜかヒグマが目印!

<主な目次>

●特集
[7.13 K-1 WORLD MAX FINAL8]
本当に打ち合えんのか!
魔裟斗vs川尻達也 大予想
K-1 vs MMA 他流試合の行方は?

☆魔裟斗
「打ち合うなら打ち合うし、
川尻が何をしてきてくれても構わない」

☆川尻達也
驚異の秘密特訓を独占潜入取材!
「魔裟斗選手にMMAファイターの怖さを味わってもらいます」

☆黒船、T-BLOODの仲間が語る川尻の打撃
石田光洋、岩瀬茂俊、大沢ケンジ

☆“参謀”山田武士トレーナー
「フィジカルで魔裟斗をぶっ飛ばします!!」

☆吉鷹弘が大胆予想! 川尻が勝率30%を高める方法
「総合のテクニックを駆使すれば
魔裟斗の戦術を狂わすことも可能 !?」

☆五味隆典 独占インタビュー
魔裟斗戦から遠く離れて──
次の舞台はアメリカ、そして“バリジャパ”へ!

☆『月刊・谷川貞治』インタビュー
魔裟斗vs川尻達也、決定に思う。
「本当はK-1ファイターの中から
総合ルール挑戦に名乗りを挙げてほしい」


●DREAMは何を変えたのか?
5.26 DREAM.9から、7.13 K-1 MAXへ

☆山本“KID”徳郁
まさかの敗戦、ムエタイ+レスリング+柔術
そして4年2カ月ぶりのK-1挑戦を語る!

☆前田日明×所英男
“逆境ファイター”どん底からの復活に前田の教えあり
「お前ならウォーレンに勝てる!」

☆人気企画! ゴンカクMMA委員会・第12回会合
DREAM.9 フェザー級GP4試合+ライト級1試合を徹底分析
「やっぱり優勝するのは……」


●特集
柔に生きる。柔道、七帝柔道、ブラジリアン柔術……
それぞれの“柔”を大特集!

◎特別対談◎
戦極参戦を決めた柔道王に、『シャトゥーン』
『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』著者が訊く!

☆石井 慧×増田俊也
「三倍努力」の心とは?

☆町田嘉三
UFCライトヘビー級新王者リョートの父
石井慧が秘密特訓する町田道場師範が明かす
「石井君には“気”を伝えた」

☆青木真也×中井祐樹
7.20 DREAM.10、
師弟の「10年目のシャオリン戦」への思い

☆板垣恵介×夢枕獏×松原隆一郎×増田俊也
講道館×七帝柔道の歴史的邂逅が実現!
現場に居合わせた識者4名による豪華初顔合わせ鼎談

☆6.4-7 柔術世界選手権 ムンジアル2009 現地詳報!
取材・文=高島 学

☆日本最北の弱小動物園が起こした奇跡と七帝柔道の教え[前編]
旭山動物園名誉園長・小菅正夫氏に聞く、格闘技復興論。


●いざ、戦極へ 8.2 戦極〜第九陣〜

☆UFCから戦極参戦へ
郷野聡寛
「総合格闘技界初の“ジャバー”になる!」
with 野木丈二+和田良覚

☆北岡悟×金原正徳
対廣田戦、対日沖戦直前
戦極を盛り上げる“練習仲間”対談!

☆日沖、ケンフロと夢スパー!
日沖発×ケニー・フロリアン(8.8 UFC101でBJペンと対戦)
「八月決戦、ともに悲願のベルト奪取へ」


●7.11 UFC100 直前プレビュー!

フランク・ミアとUFC世界ヘビー級王座統一戦へ
ブロック・レスナー
「“文句なし”のチャンピオンになる」

MMA4カ月でUFCデビュー! 21歳、8戦無敗の超新星
ジョン・ジョーンズ
「僕には20のスープレックスがある」


●特集
オランダ・キック王国からの息吹
7.13 K-1 MAX直前・現地独占インタビュー

キシェンコと対戦
穏やかな闘志 アンディ・サワー

ブアカーオと対戦
アザロを見に纏う色男と、その自負 ニキー・ホルツケン

山本優弥と対戦
勝ち犬の遠吠え ドラゴ

リザーブファイトで佐藤嘉洋と対戦
遅れてきた最強の男 ユーリ・メス

ほか、今月も世界中から「格闘技一直線」な取材でお届けします!
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