パオロ・マルディーニであるということ=ACミラン公式サイト・インタビュー

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小さいころは「マルディーニ」の名で傷ついた

父も偉大なサッカー選手だったことから、マルディーニはつらい思いをしたようだ 【Getty Images】

 サンシーロで起きたローマ戦での出来事(一部のサポーターからブーイングを受けた)はショックだった。あの(批判が書かれた)横断幕について? 最初は嫌な気分だったけど、家に帰って、200人もの人たちが祝福に来てくれた後は、僕のためにマフラーを空に向けて振りかざす満員のスタジアムという記憶の方がより多く僕の頭を占めるようになった。あれは僕がピッチ上でやってきたこと。また特別な名字(父親のチェーザレ・マルディーニも有名なサッカー選手だった)を持ちながらも、それを決して武器にしたりはしなかったことが報いられたという証しだと。

 ローマ戦のあとに(ミランのオーナー)ベルルスコーニが言ったことに僕は賛成だ(マルディーニにブーイングをしたサポーターにベルルスコーニが反論した)。クラブはたった1人の人間によってそのカラーが決まるものではなく、ミランとはティフォージであり、選手であり、経営陣だ。彼の言葉で僕は落ち着いた。彼はあのローマ戦後に、僕が聞きたいと思っていたことを言ってくれた。

 ローマでのCL決勝後のグアルディオラのふるまい(「優勝カップをマルディーニにささげたい」と発言した)は、すごくうれしかったね。彼はCLを制して、そのすぐ後に僕のことを考えてくれた……。いや、すごくうれしかったけど、バルセロナには行かないよ。あの試合以前、僕とグアルディオラは互いに会話を交わしただけで、特に友達というわけでもないのに、あの試合を僕にささげてくれた。つまりは、彼が心からそうしたいと思ってくれたということだろう。

 小さいころは「マルディーニ」の名を持ち出されて傷ついたこともあったけど、おかげで僕は成長した。ベルルスコーニが(ミランを)売却するなんてことはないだろう。彼はオーナーを続けるはずだ。過去にも、多くの選手が辞めて再建を迫られ、目標もより小さくなった時期もあったけれど、ミランは常に復活を遂げてきた。

 僕の今後? まずは家族と過ごすこと。いくつかなじみのスポンサーからオファーはあったけど、どこにも「イエス」とは言っていない。偉大な選手が偉大な経営者になるとは限らない。オファーのあったユースチーム(指導者)の件も僕の望みとは違う。そのポストには経験のある人が必要で、僕にはそれがないから。

本当に素晴らしい最後の1年間だった

 自分が大好きな分野をまっとうできたことを人として幸せに思う。現時点で小さな疑問もいくつかあるけど、自分の将来に関しては慎重に考えたい。僕の経歴は、それを僕がどう築いてきたか、またほかのチームに移ることなど決して考えずに、ひたすらこのチームに信頼を置いてきたという点で、(インテル育ちの)サントンのような若手にとっては素晴らしい歴史になるだろう。ただ、選手というのは意に添わずチームを離れなきゃいけなこともある。

 僕がもし自分の息子たちの意見を聞いていたら、僕はあと5〜6年は現役を続けなきゃいけなかっただろう。彼らは、リッキー(カカの愛称)のあのテクニックに魅せられていた。リッキーはなぜか子供たちの心をひきつけるんだ。彼らも、今後もずっとミラニスタ(ミランサポーター)を続けていくだろう。

 本当に素晴らしい最後の1年間だった。僕は最高の環境で自分が愛するスポーツができた。僕がこれまでやったことは、何ものも傷つけられないし触れられない。タイトルのない1年間があったとしても、僕のキャリアには響かないよ。最高の時期は1つに決められない、2〜3度はあるかな。カペッロの初年度とその翌年、ザッケローニが監督をしたあの1年、そしてカルロ・アンチェロッティ監督下での2003年と04年。

 あとサッキの時代もそうだ。あそこで成長して代表入りを果たしたから。すべてのベースになっていたのは情熱だ。常に、さらに上を目指し、最後は自分自身との戦いだった。サッカーをしていると人間的にも成長するし、他人を尊重する気持ちが養われる。僕は16歳ですでに大人の世界で働いていて、そこでの成長のおかげで、やがて自分も人から尊敬される人間となった。そのきっかけとなるのがスポーツへの情熱だ。

 僕はたくさんのいいお手本を得て、彼らから学ぼうと努力した。あと大事なのは家族、僕を導き、しつけてくれる人が僕の近くにはいた。僕には後悔はまったくない。負けるのはすごくつらいことだけど、それもまたサッカーの一部だ。4回のワールドカップ出場を経験して何かタイトルは欲しかったけど、それでも素晴らしい(代表での)15年間だったことに変わりはない。あとちょっとの幸運があれば、僕が辞めてからイタリア代表が取ったタイトルを、僕も経験できたのかもしれないけどね。

(チェルシーの新監督に就任した)アンチェロッティについては、イングランドのサッカーに慣れていかなきゃいけないし、英語もちゃんと習得しなきゃね。レオナルドはひとつの賭け、そして会長は常にこの賭けに勝ってきた。革新的な戦力や若い力を注ぎ込むのは悪くない。思い切った選択ではあるけど悪くないよ。監督は大事で、グループをうまく回していかなきゃいけないし、タイトルを取りにいくなら年間を通じてロッカールーム内を取りまとめることも欠かせない。自分が指揮するチームに、うまく自分のカラーを浸透させる監督は数多くいる。

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