中村俊輔がセルティックに残した足跡=背番号25が輝いた4年間の日々
ファンの記憶に刻まれた中村のFK
中村俊輔は、セルティックパークのサポーターから愛され続けた 【Getty Images】
現在チームのコーチを務めるレノンは言う。
「ナカは自分が一緒にプレーした中でも最高の選手だった。手本となるようなプロ選手だ。もうセルティックを去ることになるのだろうが、ヤツのプレーは忘れられないね。(06−07年シーズンの)チャンピオンズリーグ、マンチェスター・ユナイテッド(マンU)戦のFKに、リーグ優勝を決めたキルマーノック戦のFK。セルティックというクラブの歴史において欠かせない選手だった」
セルティックパークの一室には、マンU戦で決めた中村のFKの写真が飾られてある。昨季終了間際、市内でつかまえたあるタクシー運転手は、後部座席に身を乗り出すと、そのFKの動画を誇らしげに見せてきた。4年間でピッチに残したものは、今もファンの記憶にしっかりと刻み込まれている。
セルティックサポーターも中村のスペインへの思いは分かっている
セルティックパークが沸く瞬間がある。相手ゴールのネットが揺れたとき。中盤での激しいタックル。相手が永遠の宿敵であるレンジャーズともなれば、何気ないたった一つのプレーにさえ、地響きのような声がかけられる。そんな瞬間の一つにCKが加わったのは、中村がセルティックにやってきてからだ。中村がボールを転がしながらゆっくりとコーナーフラッグへと向かうとき、ゴール裏のファンは両手を掲げ、仰ぐようにゆっくりと下ろしていく。中村がスコットランドの地を踏んでからというもの、そんな光景がよく見られるようになった。
迎える新シーズン、セルティックパークに中村の姿はない。コーナーフラッグの下、新たなキッカーがボールをセットするとき、ピッチを見つめるファンたちは中村に両手を掲げた4年間の日々と、スペインにいる中村の姿を思い出すことだろう。
<了>