青木真也×ジョシュ・バーネット=kamipro発

kamipro

【(C)吉場正和】

 DREAMと『戦極』のトップ選手同士であり、プロ選手でありながら格闘技オタクでもある二人の越境対談が唐突に実現! 先日、皇帝ヒョードルとエキシビションマッチを闘った青木と、この対談から数日後、アフリクションでのヒョードル戦が正式発表されたジョシュがはたして何をしゃべったのか!?

ジョシュ「オファーを待ってるんだけど、ボクは“タカイ”」

【(C)吉場正和】

――今日はDREAMと『戦極』のトップファイター同士による夢の対談を行なわせていただきます!

青木(ジョシュは)まだ『戦極』なんですか?

ジョシュ う〜ん、ちょっとブランクが空いちゃってるけど……たぶんセンゴクかな(笑)。

――たぶんですか(笑)。

ジョシュ センゴクでも『アフリクション』でもDREAMでもパンクラスでも、とにかくオファーを待ってるんだけど、ボクは“タカイ”からね。

――高い! ギャラの高さを自己申告しますか(笑)。

青木 「俺は高いぞ」ってカッコいいですね〜。僕も言ってみたいなあ。

――ところで、お二人は面識はあるんですか?

青木 一回、ここ(DEEPジム)に練習に来てくれたんですよ。

ジョシュ ソウネ。マイフレンドのナメカワサン(滑川康仁)のトレーニングを助けるために来て、ナメカワサン、アオキサン、イマナリサン(今成正和)とスパーリングしたよ。

――へえ、青木選手とジョシュ選手のスパーリングが実現してましたか。

青木 エライ目に遭わされましたよ!

ジョシュ とっても楽しかったね。

青木 そりゃ、やってるほうは楽しいでしょう。こっちは楽しいどころじゃないから。

――楽しいどころじゃない(笑)。そのときのお互いの印象は?

青木 ヘビー級でデカいのに、技術は細かいんですよ。そして、細かいくせに、関節を単品でひねるエッセンスが入ってたりして、柔術とはまた違った寝技だから、やりづらいですね。

ジョシュ まあ、アオキサンとスパーリングすると、ボクのほうがずっと身体が大きいからね。体重を乗せてケガをさせてもいけないという思いと、アオキサンの技を勉強するという意味で、軽量級のように動き回ってスパーリングしたんだ。どんな人とスパーしても、その人から学べるものはみんな違うし、その一瞬しかないので、いつもそういうことは心がけているよ。

青木「ジョシュって、要は柔術嫌いなんだよね?」

【(C)吉場正和】

――青木選手から見て、ジョシュさんのサブミッションはどんなところが優れていると思いますか?

青木 単純にタイトですよね。べつにビックリするようなことはやってないし、いまの総合の中では少ない決着というか、トライが多い。ヒザ十字だったり、ヒールフックだったり。

ジョシュ 確かに足関節にいく選手は少なくなっているけど、ボクは極めと同時に、その過程も重視しているから、最後のフィニッシュもうまくいくんだ。やはり試合で勝つためには、そんなスペシャルなテクニックは必要なくて、ベーシックなテクニックで充分だと思う。そのベーシックな技を仕掛けることができる局面を、いかにして作るかが大事なんだ。あとボクは身体が柔らかくないので、アオキサンのように足を頭の後ろに入れたりできないからね(笑)。

青木(ジョシュは)柔術家じゃないので、バックチョークとかあんまりいかないですよね。サブミッションが強い。

ジョシュ チョークは一瞬で極まらない限り、トップの選手ならディフェンスが比較的簡単な技だと思う。そういった意味で、ボクはチョークよりもサブミッションのほうがしかけやすい部分はあるね。

――確かに、試合中に手を振って「ハロージャパン」の挨拶をする人はなかなかいないでしょうからね(笑)。

ジョシュ ハハハハハ! そうだね(笑)。

青木 あとジョシュって、要は柔術嫌いなんだよね?

ジョシュ 柔術が嫌いというより、総合格闘技をやるうえで、柔術をやらないことがおかしい、みたいに思われる風潮が嫌いなんだ。昔はよくいたんだよね。柔術をやらない選手に対して「なぜ柔術をやらないんだ?」っていう態度を取る柔術系の選手が。でも、ダブルリストロックとキムラロックが同じ技なように、柔術もグラップリングも技は一緒だと思う。だからボクは、パンクレイションとマット・ヒュームらとともに、キャッチレスラーとしてサブミッションを極めていこうと思ったんだ。

――あまりに柔術偏重だった風潮が嫌だった、と。

ジョシュ MMAの黎明期は、柔術家こそが本物でプロレスラーはニセモノだ、という風潮があまりにも強かった。しかも、当時は足関節技が邪道視されていて、ボクのセンセイであるエリック・パーソンが95年のパンナムでトーホールドで優勝したとき、会場中が大ブーイングに包まれたんだ。

――へえ、そんなことがあったんですか。

ジョシュ 昔はなぜか足関節で勝つことが軽視され、価値が低かったんだよ。そういった他流派を認めない柔術家の態度があまり好きじゃなかったね。でも、いまは足関節技で勝ってもブーイングは起こらないし、シャンジ・ヒベイロやマルセロ・ガルシアといった素晴らしい柔術家たちは、足関節も含めたいろんな技術をたくさん持っているし、アメリカン・トップチームのヒカルド・リボーリオはコンプリートファイターをたくさん育てている。みんなオープンマインドになってきて、「柔術家だから」という考えの人が少なくなっているのはいいことだよね。

ジョシュと青木の柔術観

【kamipro】

――青木さんは柔術に対してどう思いますか?

青木 僕は柔術家じゃないからね。

ジョシュ ジュードーだよね?

青木 柔道出身だけど、サブミッションレスリングですよね。柔術のアドバンテージとか、へんなポイントみたいなの嫌いなんだよね!

ジョシュ ヤッパリ(笑)。

青木 それで下になってるヤツが「俺勝ってるよ」みたいな、したり顔してるの見ると殴りたくなっちゃうんですよ。

ジョシュ 下になってるだけなのに、ポイントで勝つのは、ボクもおかしいと思う。以前、ムンジアルで女子ファイターのサヤカ(塩田さやか)が、決勝戦でフランス人の女の子と試合したんだけど、最初に引き込まれて、相手は下になって何もしないのに勝ってしまった。「なんで?」って思ったよ。

青木 柔術は格闘技じゃないよね。

ジョシュ うん、スポーツだね。

青木 一本取らないんだよ? なんか女々しいんだよな〜。

――また、そういうことを言う!(笑)。

ジョシュ 柔術家の中には、ホジャー・グレイシーのようにサブミッションが強い選手ももちろんいるけれど、多くの試合はポイントだけで、一本を狙いもせずに勝敗が決まってしまうことが多すぎるよ。

青木 だいたい、こんだけ格闘技が好きな僕ですら、柔術観てると苦しいんだから! 

ジョシュ ボクも(笑)。

――ダハハハ! でも、アマチュアの柔術でそうなんですから、プロの総合だったら、一本取りにいかなきゃ意味がないですよね。

青木 判定? ダメだよ。一本じゃなきゃ!

――また、そういうモノマネをしない!(笑)。まあ、こうした一本にこだわるというのは、お二人に共通する考えですよね。

青木 そうですね。

ジョシュ 判定になったら、ジャッジ次第でどんな結果になっても仕方がないと思う。だから一本、それからKO。そういった明確な勝ち方じゃないと、本当の勝ちじゃないね。

青木 やっぱり男の子ですからね。決着つけなきゃ。チンチンついてますから。

――また「チンチン」とか言わない!

青木 じゃあ、ティンティン(笑)。

――一緒ですよ!(笑)。

青木 男らしく闘わないとね。

※このあとも、青木とジョシュは格闘オタクトークで大盛り上がり。対談後に正式発表されたジョシュvs.ヒョードル戦決定前のジョシュの心境から、二人とも親しい“キモ強王者”北岡悟についてなど注目発言を連発! 詳細は『kamipro Special 2009 JULY』を要チェック!!

【09年5月15日/都内某所にて収録】
(聞き手/堀江ガンツ 撮影/吉場正和 通訳/V一)

「kamipro Special 2009 JULY」

6月6日(土)発売 定価880円(本体838円+税)発行/エンターブレイン

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ほか、今月もネコもビックリな企画満載だニャン!
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