打倒・阪神へ不敵に笑う埼玉西武の扇の要 

埼玉西武ライオンズ

4年目のビッグチャンスに感じるやりがい

銀仁朗は見事な配球で野上をリードし、小笠原から三振を奪った 【写真は共同】

 昨年の日本シリーズをほうふつとさせるような巨人との2連戦を1勝1分で終えた埼玉西武。昨シーズンの破竹の勢いを取り戻したのか、ベンチの雰囲気もぐんと良くなり、交流戦での勝率を5割以上に戻した。そんな中、埼玉西武の扇の要としてめきめきと頭角を現してきたのが、負傷の細川亨に代わりマスクを被る銀仁朗。横浜大洋(現・横浜)の谷繁元信(現・中日)以来17年ぶりとなる高卒新人開幕スタメンキャッチャーや涌井との10代バッテリーなど華々しいデビューを飾ったが、その後は細川に正妻の座を奪い返され、ベンチから試合を見ることが多くなった。
 4年目にして巡って来たビッグチャンスだったが、これまでは3連戦すべての試合においてマスクを被ることがなかったため、配球の違いなどに戸惑ったこともあった。
「実際にかぶって試合に入ってるのと見てるだけじゃ、経験値がまったく違いますからね」
 4月29日に細川が登録を抹消されてから1カ月。ローテーション投手たちのゲームのつくり方にも慣れてきて、より冷静に周りを見られるようにもなってきた。
「ずっと出るのは難しい。でも、その分、めっちゃやりがいも感じてる。挑戦のしがいはありますね」

勝負どころで見せた好リードとブロック

 そして、5月30日の巨人戦では9回表2死、一、二塁で強打者・小笠原道大との対戦。一本出れば勝ち越され、チームの勢いにも大きく影響を及ぼしかねない場面だった。マウンドに駆け寄り、同じ年の野上亮磨に「追い込まれたらカーブでいこう」と声をかけた。結果は見事に三振を奪う。ベンチに戻る2人は、がっちりとグラブタッチを交わした。「カーブしかないと思ってました。その前のボール球二つは高めのまっすぐだったでしょ? あれで小笠原さんの目線が上がった。だからあの低めのカーブが生きたんですよ」と若きキャッチャーは目を輝かせた。
 
 そして31日の試合ではラミレスの本塁突進を見事にブロック。102キロの巨体とのガチンコ勝負にさすがに一瞬気を失いかけたが、ライトのG.G.佐藤のレーザー返球を無駄にはできないとしっかりキャッチしたままだった。「起きたときには、記憶が抜けてましたね」と話した銀仁郎は、心配された翌日のアーリーワークも欠かさずに参加。「ムチウチなりそう。でも、そんなにやわじゃないからね」と笑顔を見せていた。

「阪神ファンのヤジは逆に楽しみ」

 京都出身の銀仁朗が楽しみにしている6月10,11日に西武ドームで行われる阪神戦。
「金本(知憲)さんは僕が(マスクを)被った試合では3三振やったし、その前にランナーをためへんかったら大丈夫でしょ? ブラゼルも弱点は分かってるしね。大丈夫ですよ」と強気の発言。前回の甲子園でもその雰囲気を十分に味わったようで、「阪神ファンのヤジは逆に僕は楽しみやね。どんだけのすごいこと言ってくるんやろって感じです」と不敵な笑みを見せた。「西武ドームでもめっちゃ野次は飛んでくるし、阪神ファンはすごいですよ。それに負けんと西武ファンも応援してほしいですね」
 肝っ玉の据わった負けず嫌いが、どんな配球で阪神打線を翻弄(ほんろう)するのかこうご期待!!!

<text by 稲葉真由美>

<了>
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