船木誠勝“監督”が語った幻の自主映画の全真相!!=kamipro

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“映画監督”船木に直撃インタビュー 【kamipro】

 あの菊地成孔氏の語った「船木の自主映画、観たことありますよ」という一言から始まった『kamipro』独占企画、衝撃の映画『THE PROPHECY』を巡る旅……。今回は、謎に満ちたこの幻の怪作について、なんと船木本人のインタビューが実現! インタビュアーに映画ライターでもある高橋ターヤン氏を迎え、全真相を徹底追及!!

俳優活動は監督になるステップだった

船木誠勝監督作品『THE PROPHECY』より 【映画『THE PROPHECY』】

――今回は“映画監督”船木誠勝としてインタビューをお願いします。

 ハハハハハ! ちょっと恥ずかしいですね。

――船木さんの自主映画ってウワサには聞くけど誰も観たことがない“幻”の存在だったんですが、最近、菊地成孔さんという音楽家の方経由で『THE PROPHECY』という作品を観せてもらったら、「これは凄い!」となりまして。

 そうですか(笑)。あれは03年に撮影したんですが、企画や脚本を書いたのは98年くらいなんです。その頃は遊びで一年に一回映画を撮ってまして、99年のノストラダムスの大予言の年を翌年に控えてので、それをネタに脚本を考えたんです。

――劇中に「恐怖の大王」というキーワードが出てきますね。

 でも、99年になるとリング上の活動が忙しくなって映画どころじゃなくなってしまって、オクラ入りになってしまったんですが、00年に引退して俳優活動を始めて、比較的空いた時間ができるようになったので、また撮り始めたんです。

――世紀末をまたいじゃった、と(笑)。この映画を撮りはじめるまでに『五条霊戦記』のような大作映画や『シャドー・フューリー』のような主演映画も経験されましたね。

 ええ。プロとして俳優をやってる中で、映画の作り方がわかってきた頃ですね。スケジューリングとかプロデューサー的な役割の大事さも分かりましたし、そういう部分は反映させているというか。

――やっぱりそうでしたか。

 この映画はカメラマンも本職の方を使ってますし、音楽も本職、編集もプロの使う編集室を使ってやりましたから。自分の映画ができてく過程は嬉しくてしょうがなかったですね。「どこに出す」とかは考えなかったんですけど、みんなが自分のために動いてくれてホントの映画監督になった気分で。

――贅沢な監督ごっこというか。

 ホントそうですね(笑)。でも、とにかくお金をかけないで作ったので素人っぽいところもけっこうあるんです。たとえば映画の中盤の銀行強盗のシーンなんかは完全にゲリラ(撮影)で……。

――ロケはゲリラでしたか(笑)。

 自分が反対車線に車を停めて車内から隠し撮りして(笑)。逆に前半の事務所のシーンは前日に丸々通しでリハーサルをしてます。当日は朝イチから夕方までズーッと撮りっぱなしで、100カットくらい撮ると決めてまして。

――一日100カット!? 映画の撮り方としてはかなりムチャですね。

 そうかもしれません(笑)。でも前日のリハーサルが功を奏して、予想よりも3時間くらい早く撮り終わったんですよ。

――当時、俳優としてもバリバリだったと思うんですが、ご自身が出演しなかったのは?

 自分は監督をやるなら常に全体を観ていたいから、監督しながら出るのは難しいと思いましたし、自分はどちらかというと作りたいほうなんです。……じつは俳優を始めたのも知人に「監督をやりたいんですけど」って相談したら「じゃあ俳優をやらなきゃね」と言われたのがきっかけですし。

――えっ! じゃあ俳優活動は監督になるステップだったんですか?

 じつはそうなんです(キッパリ)。でも、俳優のキャリアを積めば積むほど「映画作りは中途半端ではできないな」って気持ちが大きくなって。ホントは自主映画だからもっと自由に作るのが正しいんですが、プロの現場を知るとどうしても欲が出てきますし。

――この映画は密室劇的な作品ですけど、船木さんが好きなブルース・リー作品のようなアクション映画にしなかったのはなぜですか?

 いや、撮り始めの頃は毎回アクションばかりですよ(笑)。でも当時はアクションの撮り方もよくわからないから、単純に闘わせてそれを撮ってるだけで。当然ですけどあとで観てもホントにつまらない(笑)。それで趣向を変えて「練習生とレフェリーをガチンコで闘わせてどっちが強いんだろう」という実験映画を作ったんですよ。

――それまたムチャですね(笑)。

 レフェリーを一週間鍛え上げて、当時入門したばかりの練習生と闘わせたことがあったんです(笑)。当時は藤原組に所属してましたから藤原組ルールで、さらに掌底で顔面ありの三本勝負をやらせたんです。

――ガチンコの三本勝負を(笑)。

 最初はみんな「レフェリーが負けるだろう」と思ってたんですよ。だけど一本目は首を取って、二本目は時間切れ判定まで粘って、レフェリーが勝っちゃって。全然狙ってなかったんですけど、逆に感動モノになっちゃって。最後はみんな感動して泣いてるんですよ(笑)。

――ダハハハハ! そこまで撮っても「外に出そう」と思わなかったんですか?

 作ってみんなで観て、それだけで満足してましたね。作ること自体が楽しいというか。

――そもそも「映画を作りたい」っていう衝動はいつ頃から?

 22歳のときに8ミリビデオを買ってからですね。最初はトレーニングを撮影して研究するためだったんですよ。でもあるときに「映画っぽく撮ってみたらどうかな?」と思ったのがきっかけで。

――この『THE PROPHECY』に至るまでには何本くらい作られていたんですか?

 6本くらい撮ってますね。

――6本も! それって全部発表してないんですよね。

 そうですね。しかも全部どこにあるかわかりません(笑)。

――それはもったいない!

 自分の中では作っちゃうとそれで終わりになって、もう次の作品のことを考え始めているんですね。「次はこういうところをレベルアップして……」みたいな感じで。


※これ以降も、謎に包まれてきた船木監督制作の自主映画の秘密が本人の口から続々と明かされた。未公開作品の中には菊田早苗の殺人犯役、近藤有己のオカマ役の映画もあるんだとか。ス、スゲェ……。詳しくは『kamipro』No.135をチェック!! さらに、こちらの映画も上映する公開イベントを6月20日(土)に開催決定! 詳細はウェブサイト『kamipro.com』を要チェック!!

【09年4月16日/都内・某喫茶店にて収録】
(聞き手/高橋ターヤン 構成/真下義之)

『kamipro』No.135

5月22日発売 特別定価940円(本体895円+税) 発行/エンターブレイン

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