20歳藤岡康&ジョーカプチーノ金星V! ダービーも視野に=NHKマイルC

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またまた大波乱! 10番人気ジョーカプチーノがレコードV 【スポーツナビ】

 JRA3歳マイル王決定戦・第14回GINHKマイルカップ(1600メートル芝)が10日、東京競馬場で開催され、藤岡康太騎乗の10番人気ジョーカプチーノ(牡3=中竹厩舎)が先行2番手から押し切り、2着馬に2馬身差をつけ優勝。2004年キングカメハメハがマークした時計を0秒1上回る1分32秒4のレースレコードで3歳マイル王の座に就いた。騎乗したデビュー3年目、20歳の藤岡康はこれが2度目のGI騎乗でうれしい初勝利。同馬を管理する中竹和也調教師も厩舎開業11年目にしてGI初勝利を達成した。

 一方、2馬身差の2着には横山典弘騎乗の5番人気レッドスパーダ(牡3=藤沢和厩舎)、さらに2馬身差の3着は内田博幸騎乗の13番人気グランプリエンゼル(牝3=矢作厩舎)が入り、3連単は、238万1660円の大波乱。

 なお、人気を集めたGIII共同通信杯の勝ち馬で武豊騎乗の1番人気ブレイクランアウト(牡3=戸田厩舎)は末脚不発で9着、GIII毎日杯の勝ち馬で小牧太騎乗の2番人気アイアンルック(牡3=橋口厩舎)は4コーナーでの不利が響き8着と、それぞれ敗れた。

ハタチの若武者が殊勲の騎乗「冷静に競馬ができた」

GI初制覇を達成した20歳の藤岡康が笑顔のウイニングラン 【スポーツナビ】

 またまた大波乱だ。しかも、前週の天皇賞・春と同じく若手ジョッキーが騎乗する2ケタ人気馬による大金星。ターフビジョンに3連単238万1660円の文字が映し出されると、驚きとどよめき、歓声と落胆の声が入り混じり、東京競馬場は一種異様な雰囲気に包まれた。
 だが、“信じられない……”といった競馬場の雰囲気をよそに、殊勲の手綱を握った20歳の藤岡康は相棒の馬上でニッコリのウイニングラン。淡々とレースを振り返ったコメントと同様、落ち着いた騎乗が光った一戦だった。

 「前の晩は緊張していたんですけど、GIに乗るのが2回目だったので思ったよりも冷静に競馬ができましたね。先生(中竹調教師)からも折り合い重視で、と言われていましたし、ゲートを出てそのまま2番手に行きました。これ以上抑えても、と思ったので」

レコード走破、2馬身差完勝――強さホンモノだ

展開利だけじゃない、強さはホンモノだ! 【スポーツナビ】

 ハナを主張した最内ゲットフルマークスから離れた2番手で、道中は懸念されていた折り合いもバッチリ。1000メートルの通過が57秒2という速いペースだっただけに、ブレイクランアウト、アイアンルックら中団から後方待機の人気勢が仕掛けずにジッと脚をタメていたのも幸い。そんな人気馬を尻目にジョーカプチーノは最後の直線でスイスイと先頭に立つと、このペースの中でも脚色が鈍ることなくまさか、まさかの2馬身差快勝のゴールに飛び込んだ。

 「抜け出してからは『後ろから来ないでくれ』って。それで、後ろからは脚音が聞こえてこなかったんですけど、それでも必死で追いましたね(笑)」
 今までの苦労も感じないくらいすごくうれしいです、と藤岡康。同じ騎手である2歳上の兄・佑介の先を越すGI初勝利に、大きな笑顔を浮かべた。

 まさしく人気馬を“KO”してビッグタイトルをつかんだジョーカプチーノ。追い込み各馬が不発に終わり、先行勢がなだれ込んだレースだっただけに展開利も確かにあっただろう。だが、それでも2番手から押し切ってのレースレコード走破、2着馬に2馬身差をつける完勝だった内容を考えれば、単なる“恵まれ勝利”とは済まされない。ジョーカプチーノが強かった、まずはそのひと言に尽きる。

デビュー以来一番の落ち着き、「これはいいな」と手応え

(左から)中竹調教師、オーナーの上田さん、藤岡康 【スポーツナビ】

 「折り合いに不安のある馬だったので、どうしても1200メートル戦を選ばざるを得ない馬だったんですが、前走のニュージーランドトロフィーでは控えてもうまく折り合っていましたし、今日は今まで一番落ち着いてパドックを歩いていましたね。これはいいな、と思っていました」
 ジョッキーと同じくこれがGI初勝利となった中竹調教師。GIだけでなく、初めての重賞タイトルもジョーカプチーノがもたらしてくれた今年3月のGIIIファルコンS。この時はまだ一介のスプリンターとしてしか見られていなかった馬が、今や3歳マイル王の座にまで上り詰めた。

 「厩舎スタッフが普段から落ち着いて走れるようにと、よくやってくれたと思います。今日も折り合いがついて、すごくリラックスして走ってくれた。これなら距離を伸ばしていくのも一つの選択肢ですね」

 千二〜マイル路線にこだわらず、距離延長も示唆したトレーナー。と言うことは、当然、3歳の頂点を決める競馬の祭典・GI日本ダービー(5月31日、東京競馬場2400メートル)も視野に入ってくる。

ダービーも選択肢、快速先行で波乱を起こすか

ダービーも視野に、次走には注目だ 【スポーツナビ】

 「今後1週間くらい馬の様子を見ないと何とも言えませんが、オーナーの意見はもちろん、GI馬になりましたのでファンのみなさんの期待もあると思います。その辺りを考えながら、次走に関して今後オーナーと話し合っていきたいと思います。ダービーも含めて考えたい」
 父は天皇賞・春、菊花賞と2つの長距離GIを制したマンハッタンカフェ。母の父は1996年の日本ダービー馬フサイチコンコルド。血統面からは距離に不安はない。
 「千六でも折り合いはついていましたし、今日の競馬も強かったですからね。距離が延びても大丈夫だと思います」
 この距離延長プランに藤岡康も太鼓判だ。

 「たまたま空いていた」(中竹調教師)ことから、2月小倉でコンビを結成した藤岡康&ジョーカプチーノ。あれよあれよと言う間に人馬ともに初の重賞勝利、そしてGI初勝利まで一気に駆け上がった。この勢い、そして、この快速は舞台が府中2400メートルに替わっても無視できない。勇躍、3週後のダービーにも殴りこみをかけるか。

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