三沢光晴が振り返るUFOとの対抗戦=Gスピリッツ発

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 団体対抗戦を語るとなると、どうしても新日本プロレスの選手が中心となってしまうが、忘れてはいけない存在が三沢光晴である。対抗戦には消極的なイメージがあるが、実は意外なほど数多くの夢の戦いを実現させてきた。これまでに長州力&藤波辰爾の俺たちの時代、闘魂三銃士、第三世代、さらには棚橋弘至や中邑真輔といった新世代とも対峙してきたが、その中で最も刺激的だったのは、アントニオ猪木率いるUFOの小川直也&村上和成との対戦だろう。まったく異なるイデオロギーを持った小川たちと戦い、三沢は何を感じたのだろうか? 

「“何かウザイな”っていうのがあったんじゃない(苦笑)」

三沢はタイガーマスクとして新日本東京ドーム大会にも参戦。天龍源一郎と組み、長州力&ジョージ高野と対戦した 【(C)Gスピリッツ】

――2001年4月18日のZERO−ONE日本武道館大会で、三沢&力皇vs.小川&村上という形でノアとUFOの対抗戦が実現しました。ZERO−ONEサイドはカード発表の時に“ノア枠です”として選手名を空白にしていましたが、三沢さん自ら出陣した理由というのは?

「それは望んでいるファンがいるならっていう。あとは“逃げたと思われるのもシャクだし”みたいな」

――小川直也にしても村上和成にしても、いわゆるプロレスの素養を持っていない選手じゃないですか。三沢さんはどういうことを考えながら、戦ったんですか?

「ぶっちゃけ、こっちも頭を使わなくていいから楽だよね。ヘンに試合のことを考えなくていいっていうか、“出たとこ勝負でいいんだ”みたいな。プロレスの難しいところってさ、結局、戦いながら頭を使わなきゃいけないわけで、それが疲れるわけよ。でも、あの試合ではそれがないわけだから。気分的には楽だったよ」

――パートナーに当時キャリア1年の力皇猛を選んだのは、相手が相手だけにという思いもあったんですか? 相撲出身でタフだからという。

「もちろん、あったよね。体もあるしパワーもあるし。あそこでヘンに気が優しい奴とか、気が小さい奴だとこっちも不安になるじゃん。まあリキは気は優しいけど、気が小さいわけじゃないから」

――あの試合の冒頭では小川選手の挑発をスカして出て行かなかったのに、小川選手が力皇選手にマウント状態になったところでコーナーから飛び出して行って、エルボーをガンガン打ってましたよね。意外なファーストコンタクトでした。

「別に意識はしてなかったけど、“何かウザイな”っていうのがあったんじゃない(苦笑)」

――正式な対戦ではスッと片足タックルに入ってグラウンドに持ち込むという、普段は使わない戦法に出ましたよね。

「体の動くままにみたいな感じだったし、言い方は悪いかもしんないけど、“倒しゃあ、いいんでしょ?”みたいな(笑)」

――逆に小川選手が片足タックルを仕掛けてきたら、サッと体を引いて、首根っこを押さえつけて潰し、フロント・ネックロックで完全に封じてしまいましたよね。

「別に俺にとっては、そんなに大したころじゃないから(苦笑)。俺の場合はアマレスのフリーの選手だったわけだから、向こうにとっては分が悪かったっていうのは確かにあるよね。柔道家の場合はジャケット着ててこそっていうのがあるじゃん。別に向こうをフォローするわけじゃないけどさ」

――最後は村上選手を強引なバックドロップ3連発で押さえましたね。しかも、かなり危険な角度で落としてます。

「だから、いかに受け身が大事かっていうのは、プロレスをやって初めてわかることだよね」

――試合後に小川選手が突っかかってきたら、ノアのセコンドがワーッとリングに躍り込んできて、ボコボコにしちゃったのも見どころでしたよ(苦笑)。

「そういう試合でさ、意外と気持ちが一番盛り上がるのはそういう状況だよね(笑)。“やっちゃっていいんですか!?”みたいなさ。ぶっちゃけ、ほら……別に普段、顔を合わす相手でもないし、今度はいつ顔を合わすかわかんねぇしってことじゃん。“もう、やったもん勝ちだべ!”みたいなもんだからね(笑)」

※この文章は『Gスピリッツvol.11』(3月31日発売)に掲載されているインタビューの一部を再編集したものです。本誌ではUFOとの対抗戦の他、タイガーマスク時代に実現したジャパン・プロレス勢との激突や新日本プロレスの東京ドーム大会参戦、さらには、実際に肌を合わして感じた闘魂三銃士のスタイルの違いなどについても語っています。

プロレス専門誌『Gスピリッツ』vol.11

【(C)Gスピリッツ】

3月31日発売/発行・辰巳出版

【総力特集】禁断の対抗戦 その時、何が起きた!?

●三沢光晴 “猪木ゲノム”との遭遇を振り返る

●村上和成 当事者が語る“集団リンチ事件”の裏側

●坂口征二 新日本から見た「全日本」と「UFO」

●風間ルミ ビジネスを超えた“女の喧嘩”とは?

●大谷晋二郎 非プロレスだった新日本vsUインター

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