いまやパンクラスの代表選手といえば、この男しかいない！　昨年の『戦極』初登場から無敗の快進撃を続け、今年１月４日『戦極の乱』で五味隆典を下して戦極ライト級王者になった北岡悟だ。紆余曲折をい経てついにメジャーマットで花を咲かせ、ついでに強烈なキャラクターまで満開になってしまった北岡には、「パンクラス・イズム」の血がどのように流れているのか？　その発端から、根掘り葉掘り聞いてみた！

──北岡さん、今日はパンクラスについて存分に語っていただきたいんですが。

北岡　なんでいまさらパンクラスの特集なんですか？

──北岡さんが頑張ったからですよ！　北岡悟をここまでにしたパンクラスってなんなんだろう？　ということで。

北岡　いろんな意味でね（笑）。

──最初は「船木vsルッテン」戦を観て衝撃を受けたんですよね？

北岡　まあまあですね。

──まあまあ？　定説と違いますが。

北岡　いまとなっては……というところですね。きっかけをたどるとあのへんかなあっていうぐらいというか。あのへんから映像を観だして。格闘技を観だして。柔道でも関節技で勝ったりするようになりました。

──それが、「高校を卒業したら東京で格闘技を！」にまでなったんですか？

北岡　いや、大学に行くほど学力がなかったんですけど、親は大学に行ってほしくて、大学に行くんだったら柔道を続けたいと思ってたぐらいですね。親の手前、受けたんですけど、勉強してなかったから受かるわけもなく……。だから、浪人するぐらいだったら上京しようと思って。

──当時、パンクラスで好きだった選手は？

北岡　船木さんと鈴木さんと……日本人選手はみんな好きでしたよ。でも誰みたいになりたいじゃなくて、パンクラスに入りたかったんですよ。でも身長はいまと一緒ですけど、体重は軽かったし、現実味がなかったんですよね。

──いきなり入門テストを受けてもダメだろうから、しばらく修行しようと？

北岡　はい。柔道は続けてて、それだけで柔術の試合に出たんですよ。このルールで勝てるようになればたぶんいいだろうと思って、パラエストラに入ったって感じですね。

──当時、まだ柔術ってそんなに流行ってなかった頃ですよね。

北岡　そうですね。だけど、これやっとくと役に立つだろうと思ったんですよ。おぼろげながら、その選択は正しかったですよね（笑）。「ナイスチョイス！」って感じで。それで入会して、みっちりやって。かわいがってもらいましたねぇ（しみじみ）。

──それだけ食らいついていったから？

北岡　うーん……個性もあったし……勘違い具合が凄かったからじゃないですか。

──もうすでに（笑）。最初から、「パンクラスに入りたい」って言って入ったんですか？

北岡　言ってましたよ。ほかにもいろいろ言ってたし。いろいろ生意気なことを……あんまり言いたくないような（笑）。

──じゃあ、そっとしときましょう（笑）。パラエストラを選んだのは、中井祐樹さんがいたから？

北岡　そうですね。中井先生の実績というより、オープンマインドな考え方ですね。雑誌なんかで読んでましたから。当時は総合のジムなんかいまの１００分の１ぐらいしかなかったから、いろんなプロの選手が出稽古に来てたんですよ。だから本当にいろんな人とスパーリングしましたね。昼の柔術とかだったらパンクラスやグラバカの人も来てたし、修斗のトップの人……マッハさんとかもいたし。

──柔術をやるようになってあらためて見た、パンクラスの選手たちの技術はどう思いました？　柔術的なことへの対応の遅れが言われてましたが。

北岡　そりゃもちろん、いろいろ思いましたよ。でもそれは、高校で柔道やってる時点で気づいてましたからね。それでも、絶対強いと思ってました。

──ほかの格闘技と何が違ったんですか？

北岡　なんでしょうね。華やかさかな。「本当にこの人たちはこれで食ってるんだな」という感じがしましたから。

──パラエストラに２年いて、パンクラスに受かる自信が出てきた？

北岡　いや、違います。当時僕は、素行が悪かったんですよ。いろいろ注意された中で、「ダラダラここにいるよりはパンクラスに行きなさい」って感じになって。

──放流されるわけですね。

北岡　強さ的には問題なかったと思うんですよ。１年半ぐらいの時点で。でも、書類で落とされちゃって、それは凄く悲しかったですね。それでしょうがないから、アマチュアの実績を上げるかと思ってアマ修斗に出たりしたところで、逆に「入門テストを受けませんか」って言われたんですよ。

──パンクラスから？

北岡　そうです。たぶん、グローブ着用になって階級制になる頃だったから、小さい人も入れたかったんじゃないですか。それで、４月にテストを受けて。東京・横浜一緒にやったんですよね。船木さんも鈴木さんも来てました。でも当時、山田学さんとパラエストラの柔術で知り合いだったから、僕は山田さんのコネで入れたっていう噂があったんですけど、違ったみたいです。のちのち鈴木さんに聞いたら「違うよ」と。発端は、山田さんが中井先生に「入れといたよ」って言ったかららしいんですけど、鈴木さんは「山さんにそんな権限はない」って言ってました（笑）。

──裏口じゃあなかったんですね。

北岡　あとスパーリングをやったんですけど、僕は強いわけじゃないですか、あきらかに。

──あきらかに（笑）。

北岡　だから流したわけじゃないけど、押さえたところで休んだりしてたんですよ。そのとき、須藤元気さんとかが「あいつ、休んでますよ」って言ったりしてたんですよね。そういうのもあって、僕はコネで入ったんだと思ってたんですよ。

──でも、入りたかったパンクラスの入門テストで、いくら強くても休まないですよね？　普通。

北岡　休んでたんじゃなくて、圧倒してたから、へんに攻めてもアレじゃないですか。

──その感じを察知されたんじゃないですか？

北岡　でも、それぐらいの気持ちがないとダメですよ。プロになろうというんだから。いま、あの時点の自分を見ると恐れ多いとは思いますけどね。テストのあと、鈴木さんが「あいつの面倒を見るのはイヤだ」って言ってたらしいですけど（笑）。

──合格発表は？

北岡　その場で発表されたんですよ。船木さんに一番最初に呼ばれたんですよね。受験番号は最後のほうだったんですけど、最初に呼ばれて。うれしかったですね〜。でもうれしいっていうのをそんなに出せないから、「はあっ！（声にならない息）」って感じで。夢がかなった瞬間ですからね。１２人中４人が受かったんですよね。それから５月１日に入寮して、そこから練習生ですね（誇らしげに）。

──それ言うだけでうれしそうじゃないですか！

北岡　うれしいですね、思い出しただけで。

※このあとも、“自分大好きッ！”な北岡の知られざるパンクラスエピソードが盛りだくさん！　「僕自身がパンクラスなんです！」発言の真意とは？　自らの試合映像を狂ったように何度も観るという北岡悟の“どうかと思う”素顔がもっと知りたいという方は『ｋａｍｉｐｒｏ Ｓｐｅｃｉａｌ ２００９ ＭＡＹ』をチェックしてくださ〜い!!

【０９年３月１０日／『ｋａｍｉｐｒｏ』編集部にて収録】
（聞き手／高崎計三　撮影／タイコウ クニヨシ）

３月３１日（火）発売　定価８８０円（本体８３８円＋税）発行／エンターブレイン

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☆“キモ強”王者はなぜパンクラスに憧れたのか？
北岡悟　ロングインタビュー「俺がパンクラスなんです」

☆自分の試合大好き！ 北岡悟本人が語る北岡悟ＭＭＡ全試合レビュー

☆北岡悟が大紹介！　現役パンクラシスト名鑑

☆格闘ＭＡＤ　ＳＣＩＥＮＴＩＳＴの実験
船木誠勝　インタビュー「“研究結果”が得られれば負けてもいいと思ってた」

☆パンクラス１６年の理想と現実
鈴木みのる　インタビュー「自分たちで作った国を守りたかった」

☆“外敵”から見たパンクラス
郷野聡寛　インタビュー「パンクラス時代が一番楽しかった。青春でした」

☆“パンクラス誌上同窓会”を開催！
ミノワマンｗｉｔｈ柳澤龍志、窪田幸生

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廣戸聡一　一代記「僕は昔、猪木さんの浴びせ蹴りの実験台だった」

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パンクラス名勝負ベスト５０

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『コロシアム２０００』とはなんだったのか？

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「修斗・パンクラス問題」とは何か？

☆『週プロ』とパンクラス蜜月関係の秘密
ターザン山本！　インタビュー

☆“前田派”から見たパンクラス
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青木ｖｓマッハはＤＲＥＡＭウェルター級ＧＰを超えた闘いだ！！

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