ホンモノで勝負できる日が来ることを願って――

松浦俊秀
 まず始めに、ごあいさつから。2006年6月よりスタートさせてもらった当コラムが、今回で最終回ということになりました。2年7カ月もの長い間、お付き合いいただき誠にありがとうございました。今後も大会速報やニュース原稿でお目にかかることもあると思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
         
 さて今回、ラストの原稿を書くにあたり、連載スタート時の格闘技界を軽く振り返ってみた。懐かしいなと思いつつパラパラと資料をめくっていると、突如、衝撃的な見出しを発見。“フジテレビがPRIDEから撤退”。

「あぁ、あれから2年7カ月も経つのか…」

 コラム連載の話をいただいたのが5月29日。そして地上波を手がけていたフジテレビが重大な契約違反があったことを理由に、ドリームステージエンターテインメントとの契約を全面解除したのが6月5日。今にして思えば、格闘技界のターニングポイントとまったくの同時期に、このコラムはスタートしていたわけである。

 初期のころは基本的に関西ネタをリクエストされていたため、それほどPRIDEには触れていなかったと思うが、このころからPRIDEに限らず業界内で景気の良い話が徐々に少なくなっていったように思う。と同時に、海の向こうではUFCが大ブレイク。そこから現在に至るまでの経緯は割愛するが、格闘技界において2006年6月は、その後の歴史を大きく動かした悪夢のような月だったのかもしれない。
 あれから3年近くの時が過ぎ、格闘技界も大きく様変わりした。バブルの象徴だったPRIDEは消滅し、業界人気は下降線を描いていると言われる。だが、個人的には大みそかに格闘技番組が3局を独占していた当時が異常なだけで、今が特別落ち込んでいるとは思わない。むしろ、この世界的な大不況の中で地上波を持つプロモーションがあるのはすごいことだと思っているし、Dynamiye!!や戦極の観客動員を見ると、まだまだこの業界も捨てたもんじゃないと思う。

 一過性の視聴率稼ぎのためにイロモノを投入することもあるが、業界内が徐々にホンモノ志向になっているのも良い兆候だ。しょせん曙やボビー・オロゴンなどで興味を示した人たちはすぐに離れていくわけで、今後はホンモノが当たり前のように受け入れられる業界になってほしいと思っている。

 そうなるように筆者も微力ながら協力できれば――。そんなことを考えつつ、当コラムを終了させてもらいたいと思います。ありがとうございました。
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