新年明けまして、おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
――というわけで、格闘技界恒例のお祭り大会『Ｄｙｎａｍｉｔｅ！！』が終了した。結果はテレビや各方面で報じられている通り波乱の連続。一本、ＫＯ決着が多かったこともあり普段、格闘技を見ない人にとっては面白い大会だったのではないだろうか。

　しかし、日ごろから格闘技を追いかけているファンにとっては、なんとも言えない大会だっただろう。一本、ＫＯが多かった要因の中には、実力差のある試合、体格差、不慣れなルールなどさまざまな要因が隠されている。もちろんＫ−１ルールでのＫ−１勢の大敗、メルヴィン・マヌーフの番狂わせなど上記の要因には当てはまらない試合もあるが、視聴率を最優先したマッチメイクの結果、技術が交錯するようなハイレベルな試合は予想通り少なかった。

　新年ということもありネガティブな話題は避けたいところだが、キン肉万太郎がマスクを気にしている隙にパンチをもらった＆それがＴＫＯ負けにつながったシーンを目にしたら、そうも言っていられなくなる。マヌーフのＫＯ勝ちも結果オーライなだけで、事故が起こらなかったことを、まずは喜ぶべきだろう（喜ぶ、というと語弊があるか？）。今大会を見て、改めて青木真也の言う“ホンモノ”だけではビッグイベントが成立しない格闘技界のもろさを感じてしまった。

　業界のことを考えれば、地上波のついたイベントも必要だ。そして、そのために主催者が今回のようなカードを組まざるを得ないのも理解できる。魔裟斗、山本“ＫＩＤ”徳郁らが出場していれば、もう少しホンモノ寄りのカードも組めただろう。それらが分かるだけに余計に歯がゆいし、なんだか悔しい気持ちになってしまう。

　そんななかエディ・アルバレスを下し、ホンモノの実力を見せた青木は、やはり格闘技界の宝だ。過去の発言や行動により否定的な声もあるが、世界レベルの技術を地上波で見せてくれる稀有（けう）な存在であることは間違いない。短時間、しかもヒールホールド一発で決まったため、その魅力がどれだけ伝わったかは分からないが、少なくとも格闘技ファンにとっては大満足だったはず。これからも視聴率至上主義が変わることはないだろうが、今年こそは青木vs.アルバレスのようなカードが少しでも多くお茶の間に流れてほしいと思っている。