世界基準で見る柳本ジャパンの現在地=ヨーコ・ゼッターランドのバレーW杯女子総括
大会総括となる今回は、日本と上位チームを対比させながら、北京へつながる方向を探ってみることにする。
求められるセッターのバックアップ要員
主将兼セッターという、難しい役割に立つ竹下(右)。写真左は17歳で代表に選出された河合 【坂本清】
一方、日本を見てみると、今大会のスタメンは竹下佳江、そして控えには高校生の河合由貴。柳本監督が河合をセッターとして少しだけ起用したのがケニア戦。上位国と対戦した際に竹下の負担を軽減させたり、流れを変えたりするための起用は残念ながら見ることができなかった。河合の今後に期待する上で、「経験」が必要であることは間違いない。しかし彼女のための経験が、このW杯である必要が果たしてあったのだろうか。自らがセッターで、控えの経験もある柳本監督なら、チームが大きな大会で窮地に立たされた時に控えのセッターに求められる役割とその重責は誰よりもよく知っているはずだ。
来年行われる世界最終予選兼アジア予選に向け、セッター陣をどのように構成するのか。V・プレミアリーグの若手セッターから登用することも、検討の余地があるのではないだろうか。
チームの要として期待される荒木と杉山
大会序盤から、攻守に活躍した荒木(左) 【坂本清】
MVPのジョーリは185cm。現在の女子センタープレーヤーとしては、決して大きいとは言えない。対面した時の印象も、どちらかと言えばきゃしゃだ。しかしひとたびコートに立てば驚異の壁となる。個人成績でもベストブロッカーになるなど、攻撃の個人バリエーションとスピードはピカイチだ。特に横への移動は、ブロック面において荒木や杉山には手本にしてほしい。バレーボールは拾うだけでは勝てない。ベストディガー(最もスパイクレシーブを取った選手)になったリベロの佐野優子にも限界はある。だからこそ日本は両センターの動きが要となって、チーム全体を機能させていくことが重要だ。