桜庭vs田村 戦いの本音=ゴング格闘技発、桜庭和志「田村さんを“殴りたい”んじゃない、“叩きたい”んだ」
桜庭が「素手で殴りたい」という先輩・田村への「腹が立つところ」とは?『ゴング格闘技』だけに語った“田村戦の本音”に注目!(C)須田卓馬/ゴング格闘技 【(C)ゴング格闘技】
■桜庭にとって「ナイスな質問」
黒いスーツに赤いマフラー、真っ黒なサングラスという奇妙ないでたちで記者会見に出席した桜庭は、開口一番「せっかくの年末という試合なので、出来ればぼく、緊張感を持って試合をしたいので時間無制限、素手でやるというのはどうでしょうか」と過激ルールを要求した。明らかな挑発。これに対して田村は「僕の一存では決められないので…」とかわしたが、桜庭はすかさず「田村さんの一存で決まると思います」と応戦した。
どっと笑いに包まれる館内。さらに「素手って顔面もありってこと?」(田村)「そうです。最近の総合格闘技は緊張感がないので、緊張感をもった試合がしたいなって意味ですね」(桜庭)「顔面もありで?」(田村)「はい、顔面もありで」(桜庭)といったやりとりがされるにつれ、笑いはさらに大きくなっていった。
ほとんどの人が桜庭のいつものジョークと捉えていたのだろう。しかし、この発言がジョークと捉えられてしまうところに、時の流れを感じる。なぜ桜庭が元先輩に対して失礼ともとれるこのような挑発をしたのか。かつてホイスに対して「勝者がファイトマネーを全部もらうようにしよう」と挑発し、ホイスを怒らせた時の心理戦とはまた違った真意があるように思えた。
純粋な怒り、憎しみ、苛立ち。その全てが言葉に秘められているように感じられる。
そして僕は田村にひとつの質問を投げかけた。「今まで田村選手がこの対戦を避けていた印象があるんですが、今回このタイミングで受けたのはなぜでしょうか?」
田村は言葉を選び、考えながら「PRIDEは独自のブランド感を持っていたので、僕が出る出ないでは関係ないところにいましたので……総合格闘技界を見て、僕はこういう時に“流れ”という言葉をよく使うんですけれど、ひとことで言うと流れで参戦することを決めました。このタイミングがベストかどうかは分からないですけれど、1年後3年後10年後に結果が出ますから、今は分かりません」と答えた。
このやりとりの最中、桜庭はなぜかサングラスを目の上まで上げて記者たちの方をきょろきょろと見回していた。この後のインタビューでその行動の意味が分かったのだが、僕を探していたのだという。その理由は「ナイスな質問だった」からだそうだ。その時、桜庭は“こういう理由でしょ”と言いたいこともあったらしい。この対決、やはり根深い。
「先輩や上司を素手で殴ってみたいと思うことありますよね?」(桜庭)
07年4月8日のPRIDE.34で、「桜庭と僕にしかできない“夢の掛け橋”が実現できたらなと思います」とリング上で語った田村と握手する桜庭。それぞれにとっての「2人にしかできない戦い」とは? 【(C)ゴング格闘技】
「FEGの人に口説かれました。しょうが焼き定食の大盛りを奢ってもらったので断れなかったんです」
──随分と簡単ですねぇ。相手が田村選手だったことも影響しているのでしょうか。
「ぼくは誰でもよかったんですよ」
──相手が田村選手と聞いた時は?
「何で急にやる気になったんだろうなって思いました。皆さんも不思議に思っているんじゃないですか? ぼくの方はずっとやってもいいし、やらなくてもいい、どっちでもいいって言ってましたから」
──田村選手がリングスに移籍したことを怒っている元Uインターの選手が何人かいますが、桜庭選手はどうなんですか?
「ぼくは怒ってないですよ。別にリングスへ行ってもいいんじゃないですか」
──その当時、田村選手は強いって意識はありました?
「いやぁ……当時は強いとか弱いとかはよく分からなかったので。この人はレスリング系の練習をやってるから、ぼくもやりたいので一緒に練習したいなっていうのはありましたけれど」
──田村選手に対して、他の選手のように特別な感情はないんですか?
「Uインターの時はなかったですよ。別にUインターをやめた時も何とも思わなかったし。特別な感情と言うのなら、PRIDEに入ってからですかね。この人は何でおいしいとこだけ出て来るんだろうっていうのがありました」
──そこが嫌いな所?
「おいしいとこ取りする人を好きだっていう人はいないでしょう」
──逆に好きな所はありますか?
「別にないです。性格が全く合わないんだと思いますよ」
──素手で顔面パンチあり、時間無制限ルールを要求したのは積年の怨みがあるからだと思っていました。
「それは……皆さんもそうだと思いますが、一度くらい先輩や上司でも素手で殴ってみたいと思うことありますよね?」
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(聞き手/熊久保英幸(GBR)写真/須田卓馬)
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