フィギュアスケート、中国杯見どころ

辛仁夏

安藤は完ぺきなジャンプが必要

初戦のスケートアメリカでは2位に大差を付け優勝した金妍兒が中国杯でも優勝候補の筆頭 【坂本清】

 スケートアメリカに続き、金妍兒(キム・ヨナ)と安藤美姫が激突する。GP第1戦のスケートアメリカで圧倒的な強さを見せて優勝した金妍児の優位は揺るがないだろう。そこに、安藤がどこまで食い下がれるか。武器の4回転サルコーを成功させ、3回転ルッツ+3回転ループを完ぺきに跳ぶことが、2年ぶりのGP優勝につながるはず。持っている力を存分に発揮しなければ、勝負にならないことは安藤本人が十分に分かっているのではないか。

 今回の中国杯に出場する顔ぶれは充実している。昨季の欧州選手権銀メダルのサラ・マイヤー(スイス)、同3位のローラ・レピスト(フィンランド)、シニアデビューだった昨季のGP大会、フランス杯で3位と健闘したアシュレイ・ワグナー(米国)が、2強に肉薄でれば、面白い大会になりそうだ。
 マイヤーの武器は、正確な軸を持つスピン。今季直前に引退を表明した同国男子のステファン・ランビール同様に、ポジションの美しさと多彩なスピンで観客を魅了することができるスケーターだ。正統派の演技で上位進出を目指してくるのか。今季のプログラムに注目したい。また、安定感のあるジャンプと滑りの美しさを持つレピストと、3回転の連続ジャンプを跳ぶなどしっかりしたジャンプの技術を持ち、勢いのある演技を見せるワグナーの若手2人が、どんな演技を見せて表彰台の一角に上れるのかも興味が尽きない。

ペアは中国の2組に注目

 優勝争いは、中国のトップペア2組に絞られるだろう。ホウ清/トウ健と張丹/張昊の同門対決だ。昨季のホウ清/トウ健は、中国杯を制した後、フランス杯で2位、GPファイナルで3位となり、四大陸選手権では優勝したものの、世界選手権では5位だった。なかなか調子を維持できないシーズンだったが、今季はどこまでタイトル争いに絡んでくるのか注目だ。けがや病気を乗り越えてきた精神的な強さを発揮できれば、今季も活躍を期待できるペアと言える。
 豪快な4回転サルコーのスロージャンプを武器に持つなど、ダイナミックな演技を披露する張丹/張昊の昨季は、GP2大会で優勝、続くGPファイナルでも2位に入り、四大陸選手権と世界選手権でも銀メダルを獲得するなど、出場した大会すべて表彰台に上る目を見張る活躍だった。23歳と24歳のまだまだ若いペアだけに、期待が持てる今季の活躍によっては、バンクーバー五輪の金メダル候補ナンバーワンに挙げてもいいペアとして目が離せない。

アイスダンスは同門対決が実現

 熾烈(しれつ)な戦いが繰り広げられそうな予感がする。

 バンクーバー五輪で金メダル候補に挙げられるタニス・ベルビン/ベンジャミン・アゴスト(米国)とオクサナ・ドムニナ/マキシム・シャバリン(ロシア)が、今季から同じコーチに師事することになった。ナタリア・リニチュクとゲンナジー・カルポノソフの門下に同時移籍することになったわけだ。
 満を持して臨んだ今年の世界選手権でメダルを逃して4位に終わったベルビン/アゴストは、心機一転することで失ったモチベーションを再び得ようとコーチを変えたとか。また、ドムニナ/シャリバンは6月に新コーチの指導を仰ぐために練習拠点を米国に移した。昨季はGPファイナルと欧州選手権で優勝したが、狙っていた世界選手権をシャバリンのひざ負傷で棄権する羽目に。こちらも、新たな力を得るためにコーチを変えたという。2組とも新たな環境の下で、開拓した新境地をどこまで発揮し、いずれのペアが同門対決を制するのか、興味深いところだ。

 ロシア国内選手権覇者で世界選手権銅メダリストのヤナ・ホフロワ/セルゲイ・ノビツキー(ロシア)の実力も侮れないだろう。武器にもなっている柔軟性をアピールした独特のリフトは見もの。上位進出の可能性を持つ面白い存在としては、アレクサンドラ・ザレツキー/ローマン・ザレツキー(イスラエル)の兄妹ペアを挙げておきたい。

<了>

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著者プロフィール

 東京生まれの横浜育ち。1991年大学卒業後、東京新聞運動部に所属。スポーツ記者として取材活動を始める。テニス、フィギュアスケート、サッカーなどのオリンピック種目からニュースポーツまで幅広く取材。大学時代は初心者ながら体育会テニス部でプレー。2000年秋から1年間、韓国に語学留学。帰国後、フリーランス記者として活動の場を開拓中も、営業力がいまひとつ? 韓国語を使う仕事も始めようと思案の今日この頃。各競技の世界選手権、アジア大会など海外にも足を運ぶ。

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