当然!? ついにK-1が試合用具にメス

松浦俊秀
「公平を期するため」という理由で、K−1 WORLD MAX決勝大会を機に、選手の試合用コスチュームの統一が図られた。シュートボクシングの象徴ともいえるロングスパッツは禁止となり、日本武道館大会では全選手ともにキックパンツを着用。各競技でいくつかの注意事項はあるものの、“素材”の面からここまで大きな禁止事項が設けられるのは異例のことである。

 ウエア関連でいえば、最近では競泳界を騒がせたSPEEDO社のウエア問題が記憶に新しい。同社のレーザー・レーサーを着用したところ、選手の記録が軒並みアップ。競技におけるウエアの製法や素材の重要性が、あらためてクローズアップされる結果となった。
 ただ世間を騒がせたとはいえ、SPEEDO社の企業努力はスポーツ界では当然のことだろう。競泳界に限らずギアメーカー側が競技用具の改良を日々、模索しているのは周知の事実。ルールに則った範囲内で、選手の能力を最大限に引き出す製品の開発に、それこそ各メーカーが躍起になっている。

 ウエアやシューズなど、サッカーやテニスで新作が出るたびにカタログ制作をさせてもらっている筆者としては、逆に「格闘技でもコスチュームで差をつけるという発想が出てきてもおかしくないのになぁ」と不思議に思ったほど。「それだけの需要がない」「採算が合わない」というのが一番の理由かもしれないが、コスチュームで差をつけるという発想は、他の競技と比べて圧倒的に薄いというのが現状だ(もちろん個人的にはコスチュームで差をつける、という発想は好きではないが)。
 そんななかK−1では衝撃を受けると硬化するスーツ「d3o」の存在を例に挙げながら、コスチュームで優劣をつける方法を未然にカット。体をプロテクトする意味でサッカー、スノーボード、バイクレースなどですでに実用化されていることを思えば、今回のルール改正は当然の帰結といっていい。

 効果のほどは別として、総合格闘技でも青木真也のロングスパッツが話題になったこともあった。いわく「関節技などを仕掛ける際に滑り止めの効果を果たすのではないか」というのがその趣旨だが、この辺りは実際に戦った選手の声を拾って検証してみるのも面白いかもしれない。

 そういえば修斗では、コーナー色によるグローブの色分けを行っていない。これは色による視認性に差があり、打撃をディフェンスする際に影響が出る可能性があるからだとか(修斗では両選手とも黒のグローブを着用)。これまでドーピングやクリーム類の塗布が問題になったことがあるが、ついに格闘技界でも試合用具が話題になる時代が来たようである。各競技の今後の対応に注目したい。
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