日本人が世界で勝つためには――
筆者が興味本位で、戦極で行われた五味隆典vs.ハン・スーファンの感想を求めたときのことだ。中蔵は「まだ映像を見てないんですよ」と前置きしながら、「構えはサウスポーではなくオーソドックスが主体でした」というこちらのヒント一つだけで、その後の試合展開をスラスラと的中。ある程度、経験を積んだファイターなら当然なのかもしれないが、自分のような試合未経験者には目が点になるような内容だった。
「オーソドックスということは、右のローキックを多用したということでしょうね。当然、五味選手はスーファンの右を警戒していたでしょうから、体重の乗る左足を攻めてスーファンをスイッチさせたかったんでしょう。かりにスーファンがスイッチしなくても、ローが効けば右のパンチはそれほど怖くなくなりますからね……」
似通った部分が多い中蔵と郷野
中蔵と話しをしていると、東京在住時代に取材していた郷野聡寛のことを思い出す。頭の回転の速さ、優れた技術論、それを語れるボキャブラリーの多さ、そしてファイトスタイル。この二人は実に似通った部分が多いのである。
そういえば両者ともに日本人が外国人選手に打ち勝つためには、「頭を使った戦いを実践しなければ難しい」といったニュアンスのコメントを残していた。なにかと玉砕覚悟で突っ込む選手が重宝されがちだが、彼らのような選手が正当に評価される土壌ができれば……。話しを続けながら、思わずそんなことを考えてしまった。
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