DREAM&ベルト効果で関西がプチブレイク中

松浦俊秀
 先月のDREAM大阪城ホール大会を皮切りに、何気に関西の格闘技熱が高まっているような印象を受ける。もちろん爆発的に盛り上がっているわけではないが、ジム関係者に話を聞くと体験入会や練習見学の問い合わせが増えているのだそうだ。そんな声を聞くと、あらためて地方大会の開催の意義、そして地上波放送のパワーを感じずにはいられない。

 もちろん好影響を呼び込んだのはDREAMだけではない。修斗で中蔵隆志が世界ウェルター級王者を奪取すると、その流れに乗るように三島☆ド根性ノ助と池本誠知がDEEPのタイトルを獲得。シューティングジム大阪、総合格闘技道場コブラ会、総合格闘技スタジオSTYLEのトップがベルトを巻いたという事実が、大阪の各ジムに好影響をもたらしているのである(シューティングジム大阪のみ未確認だが……)。

 チャンピオンにならずともDREAMに緊急参戦したことがアピール材料となり、KODOが所属するシューティングジム神戸にも見学の問い合わせがあったという。最近は「PRIDE消滅以降、ジム生が減った」という話を聞く回数が多かっただけに、この盛り上がりは単純にうれしいし、まだまだ格闘技は捨てたものではないということを強く実感している次第である。

地方選手の厳しさ

 しかし――。逆にいえば地元の選手が活躍しなければ会員(おそらくファンも)の数は減るわけで、そのへんのシビアさもかなりのものがある。「地方の選手は負けたら終わり」というのはファイターとしてはもちろんのこと、ジム経営で生活を成り立たせている選手にとっては、それこそ死活問題だ。ある選手は次のような言葉で地方選手の厳しさを表現した。首都圏の選手の方がラクとは言わないが、やはり恵まれている部分があるのは事実だろう。

「経費がかかるので当然、主催者は地方大会を敬遠しますよね。となると単純に大会数が少なくなるわけで、選手の試合出場のチャンスも減るわけです。その上で関西はまた、手頃な会場も少ないじゃないですか。Zeppはなくなりますし、梅田ステラホールも使用が難しいみたいですから。そうなると選手は数少ない小規模大会で確実に結果を残し、東京の大会に呼んでもらうしかない。でも、それはかなり難しいことで誰もができることではないですよね。小さな大会でもマスコミが取材に来て、それなりに報道してもらえる東京の選手はうらやましいですよ(苦笑)」

 勝たなければチャンスは巡ってこない。それどころか負ければ会員数の面でも伸び悩んでしまう。現在、関西圏の選手が続々とベルトを奪取している裏には、単純だがこのようなハングリー精神が隠されているような気がしてならない。
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