秋山成勲が宮崎駿アニメに思いを馳せる=DREAM

松浦俊秀

「昨日、トトロを見たんで余計に見たい」と、会見の冒頭は宮崎アニメの話に終始した秋山 【松浦俊秀】

「DREAM.5 ライト級グランプリ2008 決勝戦」(大阪城ホール)の開催まであと2日と迫った19日、大阪市内のホテルで囲み会見が行われ、秋山成勲との対戦が決まっている柴田勝頼が決戦に向けての意気込みを語った。

秋山、柴田に興味なし!?

当日、船木誠勝はセコンドには就かないとのこと 【松浦俊秀】

 絶対不利の下馬評のなか、柴田は「自分が勝つと思っている人は一人もいないと思いますけど、勝ってほしいと思っている人はたくさんいるはず。その期待に応えたい」と力強くコメント。また「プロレスラーとして逆境のシチュエーションというのも燃えます。自信はあります」と、大番狂わせを起こすことを宣言した。
 作戦については「本能で動くこと」とし、秋山に対しては「あとはやるだけなんで、特に言うことはないです。リング上で会いましょう」と落ち着いた口調で話すのみ。師匠・船木誠勝から独り立ちした柴田が、「最高のコンディション」でリングに上がることを公約した。

 その一方で、柴田を迎え撃つ立場となる秋山も囲み会見に出席。たびたび笑顔をのぞかせるなど、柴田と同じく試合2日前とは思えないほどの落ち着きぶりを見せた。会見の冒頭では携帯電話から宮崎駿監督アニメの着信音を鳴り響かせ、「宮崎アニメ、大好きです」と報道陣の笑いを誘う場面も(もちろん着信は偶然)。本日より公開となる新作『崖の上のポニョ』に思いを馳せ、「今日からなので見に行きたいです」と、試合そっちのけで宮崎アニメの方に興味を示していた。

 ようやく試合の話になっても、「僕の役割は格闘技界を盛り上げること。僕を応援してくれる人、逆に応援してくれない人も含め一緒に盛り上げていきたい」と、業界全体の話に終始。柴田の「本能で戦う」という発言を聞いても、「本能? そうかぁ。自分はあまり考えてないですけど、臨機応変に戦いたいですね」と、無関心を装った。
 だが、会見の最後には「フィニッシュの形はまだ作ってないですけど、判定は考えていません。それは柴田選手も同じだと思いますけど、勝つにしろ負けるにしろ結果が出ると思います」と話し、ラウンド内での完全決着を宣言。地元大阪での爆発的な勝利を約束してみせた。

当初はハントvs.バンナ戦で合意

まったくナーバスな素振りを見せなかったハント(左)。幻となったバンナ戦は実現するか!? 【松浦俊秀】

 また、会見にはマーク・ハントが出席し、同席した笹原圭一DREAMイベントプロデューサーが未定となっていた対戦相手を発表。6月の「DREAM.4」でイ・テヒョンを秒殺KOしたアリスター・オーフレイムが急きょ、ハントと対戦することになった。この対戦が決まった経緯について、笹原プロデューサーは以下のように説明。なお噂に挙がっていた通り、当初は対戦相手として「ジェロム・レ・バンナ選手を考えていた」ことも明かしている。

「最初はバンナ選手で考えていまして、両者ともから合意の返事はもらっていました。それで7月頭にも正式発表する予定だったんですけど、発表の前々日にバンナ選手が左ヒザをケガしてしまいまして残念ながら流れてしまいました」

 会見の直前に決定の報を受けたというハントだが、コンディション調整も順調のようで時折、日本語を交えながら笑顔も連発。「プロなので決まった相手とやるだけ」と、相手が決まらなかったことに対するいら立ちは感じさせなかった。6月には古巣のK−1にも参戦したが、「今後はMMAに専念する」と総合一本での活動を示唆。笹原プロデューサーも「バンナもやる気になっているので、近いうちにハントとバンナの試合は組みたいと思います」とコメントしているだけに、近い将来、両者の対戦がDREAMの舞台でマッチメークされることになりそうだ。

 なお、以下はバンナから届いたコメントの抜粋。

「6月29日のK−1GPの前にハント戦を打診され、即座にOKを出した。K−1の試合のあともモチベーションが落ちるどころか、DREAMへの参戦を楽しみにしていた。だがヒザを負傷してしまい、ドクターに相談した結果、キャンセルする道しか残されていなかった。大変申し訳なく思っているが、またオファーをもらったらハントでもミルコでも誰とでもやってやる。とくにハントとは必ず戦いたいね」

所、追突事故の後遺症はなし

バンパーがヘコむ程度の軽い追突事故だったため、後遺症はなかった所。会見後には頭を下げる場面も 【松浦俊秀】

「お騒がせして申し訳ありませんでした」

「DREAM.5 ライト級グランプリ2008 決勝戦」を前に不運にも追突事故に遭遇してしまった所英男が会見場に姿を現し、開口一番、謝罪の言葉を口にした。所サイドには非のない事故だが、世間を騒がせたことに恐縮しきりのようで、コメントの最中に頭を下げる場面も。ただ、懸念されていた試合出場に関してはまったく問題がなく、予定通り山崎剛と拳を合わせることとなった。

 診断結果は全治1週間とされていたが、事故直後に感じた腰の違和感もすぐに取れたようで、事故翌日には技の確認レベルながら練習も再開。減量などにも影響はなく、万全の状態で当日を迎えられそうだという。表情も明るく「車もキレイになって返ってくるようなので心機一転、頑張ります」と、まるで他人事のような“ゆるい”発言も。事故直後に「渋滞中の信号待ちで止まっていたら後ろから追突されました。20キロくらいのスピードだったらしいですけど、20キロであの衝撃なら100キロとかだとすごいんだろうな」と考える余裕もあったとのことで、「これだけ騒ぎが大きくなってしまって、逆に申し訳ないです……」と、ひたすら苦笑いを浮かべていた。

 だが、挑戦を表明していた山本“KID”徳郁の欠場については「残念ですが、KIDさんが帰ってくるときにフェザー級の中心人物になれるように、復帰したときにすぐ試合を組んでもらえるように勝ち進んでいきたい」とコメント。会見の大半は平謝りに終始した所だが、最後は格闘家らしい決意を口にし、会見場を後にした。

 なお、KIDの欠場で宙に浮いた形となったジョセフ・ベナビデスについては、笹原プロデューサーが「明日、代替カードを発表します。それに併せて試合順も発表します」と説明。波乱続きとなった大阪大会だが、最終的には全9試合で行われることが正式に決定した。

桜庭、術後の経過は良好

6月下旬に手術を行った桜庭(左)。年内復帰を目指しているという(写真は6.15横浜大会) 【t.SAKUMA】

 会見で笹原プロデューサーは桜庭和志の現状についても言及した。

 6月15日の「DREAM.4」でメルヴィン・マヌーフにKOされ、その安否が気遣われていた桜庭だが、右ハイキックをガードした際に折れた左尺骨を6月下旬に手術。現在はヒジから上をギプスで固定した状態ながら、復帰の時期を模索するなど経過は順調だという。だが、骨をワイヤーで固定する方法が取られたため、再来月にはワイヤーを抜くための再手術が必要に。全治4カ月ということもあり、復帰は早くても大みそかになりそうだ。

 桜庭本人は年内復帰を目指しているというが、笹原プロデューサーは「ファイターなので常人よりは治りが早いと思いますが、無理はしてほしくない。今大会は来場しないですが、9月のさいたまスーパーアリーナ大会でファンの方に挨拶してもらいたいですね」とコメント。DREAMにとって桜庭の不在は痛いが、まずはコンディションの再構築を熱望していた。

「DREAM.5 ライト級グランプリ2008 決勝戦」

7月21日(月・祝)大阪城ホール 開場14:00 開始15:00

【決定対戦カード】

<ヘビー級 ワンマッチ>
マーク・ハント(オシアナスーパーファイタージム)
アリスター・オーフレイム(オランダ/ゴールデン・グローリー)

【既報対戦カード】

<ライト級トーナメント決勝 1R10分・2R5分>
準決勝の勝者
準決勝の勝者

<ライト級トーナメント準決勝 1R10分・2R5分>
エディ・アルバレス(エリートXC/ファイト・ファクトリー)
川尻達也(T−BLOOD)

<ライト級トーナメント準決勝 1R10分・2R5分>
青木真也(パラエストラ東京)
宇野 薫(和術慧舟會東京本部)

<ライト級トーナメント リザーブマッチ>
ヨアキム・ハンセン(フロントライン・アカデミー)
ブラックマンバ(フリー)

<フェザー級 ワンマッチ>
ジョセフ・ベナビデス(アルティメット・フィットネスジム)


<ミドル級 ワンマッチ>
秋山成勲(フリー)
柴田勝頼(ARMS)

<ウェルター級 ワンマッチ>
宮澤元樹(和術慧舟會東京本部)
弘中邦佳(Academia AZ)

<フェザー級 ワンマッチ>
所 英男(チームゼスト)
山崎 剛(GRABAKA)
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