チェフ「僕らは驚きを生み出せる」=チェコ代表が抱く、静かな予感

現在のチェコ代表の中心は守備にある

世間の評判よりも、自分たちの力を信じるチェフ。チェコ代表はユーロ2008で驚きをもたらせるか 【Photo:AFLO】

――チェコ代表のキープレーヤーとなりそうなのは?

 チェコ代表は、優れたディフェンス能力を持っていると思うね。その証拠に僕らはユーロ予選の12試合で、5本しかゴールを許していない。経験豊富な選手のいるチェコは、特に守備陣にロゼフナルやヤンクロスキのような、非常に頼りになる人材を擁しているんだ。数年前は攻撃的プレーの方で評判が高かったけれど、今は戦略の中心となるポイントを後退させた、と言えると思う。つまりプレーの要となるポジションが、後ろの方に移ったんだ。試合を支えるのはいまや、より後衛のポジションなんだよ。

――快進撃を目指すには、ディフェンス面も重要ですが、ほかに頼りにできそうなのは?

 ネドベドとポボルスキの代表引退の後、チームは大幅に変わっていなければ、混乱にも陥っていない。われわれの強さは、例えばFWのフェニンのような20歳以下代表の選手たちを、少しずつ入れていくことに成功した点だと僕は思う。チェコの20歳以下代表は、昨年のU−20ワールドカップで決勝に進出したんだよ! それに前線にはコラーとバロシュという、どんな瞬間にもゴールを決められる選手たちを擁している。ユーロのような大きな大会では、それは必要不可欠なことなんだ。

――では逆に、チェコ代表の弱点はどこだと考えますか?

 故障によるロシツキの離脱が、われわれに利益をもたらさないのは確かだ。ピッチの中だけじゃなく、外でも大きな喪失だよ。必然的に、彼がいる場合より、戦いは難しいものになるだろう。なぜって彼は、チームに創造性をもたらしてくれる選手だったからね。それでも僕らは、彼なしでやっていくよう努めなければならない。

目標は最後まで突き進むこと

――チェコ以外で、あなたが優勝候補と見なしているのはどの代表ですか?

 今回はドイツが非常に強いと僕は思っている。そしてイタリアやフランスも。今大会のドイツは、ほとんど母国でプレーしているようなものだから、僕の意見では最大の優勝候補といえば、やはりドイツだね。

――あなた個人の関心事として、このユーロ2008がヨーロッパにおけるベストGKの新たなランキングを生み出すと思いますか?

 正直いって、僕はその手の仮想ランキングにあまり興味を感じない。僕にとって本当に重要なのは、チームとともにできるだけ先まで勝ち進むことだ。もちろん、もし僕が良い活躍を見せることができれば、チェコ代表もかなりいいところまで行けることになると思うけれど。
 ヨーロッパにはブッフォン(ユベントス/イタリア代表)、カシージャス(レアル・マドリー/スペイン代表)、クーペ(リヨン/フランス代表)、ファン・デル・サール(マンチェスター・U/オランダ代表)、またポーランドのボルツ(セルティック)ら、有能なこのポジションのスペシャリストが大勢いる。その中から誰がベストとして抜け出すか、様子を見てみることにしようじゃないか。ただ、必ずしも彼らのような有名選手たちが、この大会のベストGKになるとは限らないよ。

――ではチェコ代表は、最後まで勝ち残る力があるでしょうか

 僕は大会に臨むときにはいつも、最後まで突き進むことを目標としている。だから、今回のユーロでそう考えてはいけない理由はどこにもない。前回のユーロ2004で、一体誰がギリシャの優勝に賭けていただろうか? もし準決勝まではい上がることができたなら、僕らは最小限の目標を果たしたと言えると思う。そしてその後は、ほんの些細(ささい)なことで運命が分かれかねない。どんなことだって起こり得るさ……。

<了>

(翻訳・構成:木村かや子)

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著者プロフィール

1968年3月3日生まれ。『レキップ』紙を経て、98年より『フランス・フットボール』誌の記者として活躍。フランスのほかアフリカサッカーを得意分野とし、かの地に広いネットワークを持つ。特にドログバと親交が深く、取材がなくても電話で近況を報告し合う仲。2007年には同誌上でチェルシー批判を含むドログバの激白インタビューを発表し、国内外でセンセーションを巻き起こした。趣味は自分の子供と遊ぶこと、テニス、文学

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