桜庭和志「これからのDREAMを引っ張るのは……」=ゴング格闘技

ゴング格闘技

『DREAM.2』のメインイベントをキッチリと締め、関係者を唸らせるプロの仕事をやってのけた桜庭。久しぶりに桜庭節全開のインタビュー! 【ゴング格闘技】

かさぶた問答やGPに出る出ないでファンをやきもきさせた桜庭だが、最終的には4・29『DREAM.2』のメインイベントをキッチリと締め、さすがは桜庭と関係者を唸らせるプロの仕事をやってのけた。久しぶりに桜庭節全開のインタビュー!

桜庭はタックルから片足を持ち上げるもナカハラの粘りでテイクダウンは奪えず 【t.SAKUMA】

──まず最初に、4・29アンドリュース・ナカハラ戦の話からお聞きしたいと思います。谷川さんが「メインにふさわしい試合だった」と絶賛していましたよ。

 凄くバランスのいい選手だなっていうのを感じました。タックル入ってあれだけ片足を持ち上げたのに倒れなかったですからね。ロープに押し込んだ時もちゃんと双差しにしてきたし、あの人、本当はレスリングとか柔道をちゃんとやってたんじゃないですか? 普通の打撃だけの選手だったら、あそこまで差しとか上手くないですよ。ブラジリアンハイキックは完全に見えたんですが、ローキックが痛かったです。5〜6発受けた内の2〜3発は芯の方に入りました。まだ25歳くらいですよね。あれだけのバランスを持っていれば、もう5年くらいやったら凄くいい選手になると思います。

──まるで桜庭選手が相手のいい部分を引き出しているようにも見えました。猪木さん風に言えば『相手の力を9引き出して10の力で勝つ』というような。

 風車の理論ですか(笑)。ぼくにそんな余裕ありませんよ。最初にタックル入った時、バランスが良かったのでどうやって崩そうかなって考えながらやっていました。向こうもそんなにバチバチ来る戦い方ではなかったじゃないですか。あの距離だとどうしても打撃になってしまうので、そういうのが“受けの美学”に見えたのかも。

テイクダウンに成功した桜庭は、フェイスロック気味に入った後、最後はチョークで仕留めた。 【t.SAKUMA】

──最後、公式結果はフェイスロックになっていましたが、あれはスリーパーに移行したんですよね?

 そうです。あれは首ですね。一発目はワザと鼻の下辺りを絞めたんですよ。グッと絞めて、痛がってるなと思ったらちょっとずらして今度はフェイスロック気味にグーッと絞めて。彼は体が柔らかい感じで首がけっこう横に行ったので、わざわざ力を使って絞める必要はないなと全力で絞めてから一瞬力を緩めたんです。そうしたらスコンッと頚動脈に入りました。

──あれはいわゆるキャッチレスリング的な技なんですかね。

 分かりません。あれは誰かに教わったとかじゃなく、自分でやりながら発見しました。あっ、アゴを絞めるのはエンセン井上さんから教わりましたね。スリーパーに行ってアゴを引かれても、アゴを強く絞めちゃえば痛いからって。そうなんだって思っていろいろスパーリングでやっていたら、ここもかかるじゃんって発見したんです。あの技はけっこう使いますよ。ぼくの得意技です。初めから首を狙ってもなかなか入らないので、だったら初めから鼻の下を狙っちゃおうと思って。まずはそれで嫌がらせをして、フェイスロックで極まったら極まったでいいですしね。

──バックを取ったら絶対に極められるくらいの自信がありますか?

 絶対とは言いませんが、8割くらいはいけるかなっていうのはあります。ぼくの取り方があるので。ぼくの取り方は相手をちょっと動かせて取るんですよ。

──両足は絡めないですよね?

 やらないです。両足は柔術だから絡めるんじゃないですか。ぼくは裸でしかやってないから、両足を絡めると逆に取れない。首も取りにくくなります。十字くらいしかいけないですよ。だからぼくは片足しか絡めません。それはレスリングの流れで、股裂きってあるでしょう? あの流れがあるのでぼくは片足でロックする方がやりやすいですね。

──他のミドル級GPは見てましたか?

 ちょっとだけ見てました。金さんは上手いなぁ、と思いましたね。

田村vs船木のU系対決に桜庭は「船木さんが凄くよかった」 【t.SAKUMA】

──同じU系ということで、田村vs船木戦はどう見たんでしょう?

 船木さんが凄くよかったと思います。たまたま一発もらっちゃっただけじゃないですか。7年ぶりにぼくと試合をして、今回が2戦目でしょう。正直、ここ(胸を指差す=ハート)の小さい人はビビりながら前には出てこないわけじゃないですか。でも、船木さんは前へ出たでしょう。気持ちで勝っていたと思います。しかし、それにしても、ミドル級GPで残っている日本人はジジイばかりですね。

──ジジイって!

 だって外国人選手はみんな若いじゃないですか。20代ばっかりで。これじゃあ“おやじ狩り”ですよ。

──でも、ある外国人選手は『日本人の選手はレジェンド揃いでいいと思う』と言ってましたよ。

 それは自分がおいしいと思ったからでしょう(笑)。名前のある人を一人二人ポンポンと倒してしまえば、自分の名前が上がりますからね。アルバレスだってジダとハンセンに勝って一気にドッカーンじゃないですか。まあ、ぼくも昔、それでおいしい思いをしましたけれど(笑)。歴史は繰り返すんですねぇ。

──このおやじは狩られないぞって自信はあるでしょう?

熊久保英幸(GBR)=文/有高唯之=写真/取材協力=Laughter7

(続きは発売中の『ゴング格闘技』7月号に掲載。桜庭が語るミドル級GP、グレイシーとの対戦の可能性とは……)

■ゴング格闘技(GONKAKU)7月号(発売中)主な内容

『GONKAKU』あらため『ゴング格闘技』の名称復活&22周年記念号となる7月号は絶賛発売中! 【ゴング格闘技】

『GONKAKU』あらため『ゴング格闘技』の名称復活&22周年記念号となる7月号は絶賛発売中! 表紙は、5.18戦極で鮮烈デビューを果たした“一族最強の遺伝子”ホジャー・グレイシー。22周年記念企画第1弾は、「“ゴン格”のあの日、あの時、あの企画を振り返る」。さらに、登場全選手が「思い出のゴン格」を語ります。

【特集】
グレイシー、再び
The Gracie Way

ホジャー・グレイシー
「柔術もMMAも、マウントポジションにはグレイシー柔術の真髄がある」
中井祐樹が解説するホジャーのマウントポジション

[単独インタビュー]
ヒクソン・グレイシー
「あの素晴らしい“ヴァーリ・トゥード”は何処へ行ってしまったのか」

[独占インタビュー] 驚異の51試合連続一本勝ち記録更新中!
クロン・グレイシー
「技だけでは極められない。必要なのは“極める意志”だ」

[5.5 ヒクソン・グレイシー杯国際柔術大会2008]
クロン・グレイシー、メジオ級&無差別級全試合一本勝ちの軌跡

[4.29 DREAM.2 ミドル級GP 2008 開幕戦]
桜庭和志
「これからのDREAMを引っ張るのは……」

[6.8 戦極 -第三陣-]
吉田秀彦
「ホジャーとやるなら、道衣なしで、ぶん殴る!」

[特別連載]
グレイシー特集 特別増ページ
木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
増田俊成=文

イゴール&グレゴー・グレイシー
“伝説のグレイシー”ホーウスの息子たち
「最強の戦士である五味と戦いたい」

[幻の引退インタビュー]
ホイラー・グレイシー
引退の真相、桜庭戦の真実を語る。


【第2特集】
総合の達人。70kg
MASTERS of Mixed Martial Arts

[8.24 戦極 -第四陣-]
“Road to GOMI”トーナメント開催
優勝者と初代ライト級王座決定戦へ!
五味隆典
「今まで俺に挑んできた日本人がどうなったか見てきたでしょう?」

[5.11 DREAM.3 - 7.21 DREAM.5 ライト級GP 2008]
宇野薫
「川尻選手に言った“検討します”は“宇野逃げ”なんかじゃありません!」

[4.29 DREAM.2−6.15 DREAM.4 ライト級GP 2008]
青木真也自ら明かすvsJ.Z.カルバン、15分の真実
青木真也
「僕が見て欲しいのはアキレス腱固めやオモプラッタじゃない!」
[5.11 DREAM.3 - 7.21 DREAM.5 ライト級GP 2008]
チーム黒船・山田武土トレーナー
号泣する石田から、激昂一転、謝罪の川尻
宇野vs黒船の舞台裏で、何が起きていたのか?
「『川尻には抜いた刀を収めるなよ』と伝えました」

川尻達也
宇野薫との因縁に決算を誓う
「殺すつもりでやる」

エディ・アルバレス
僕の“打撃論”について話そう
「構え、アングル、ステップ──その全ては意図したものだ」
吉鷹弘が北米最新打撃を解説
アルバレスには“穴”がある!

[5.3 プロ修斗“修斗伝承1”ROAD TO 20th ANNIVERSARY]
新・修斗世界ウェルター級王者
中蔵隆志
「DREAMに出るかって? まず修斗を盛り上げないと意味がないですわ」

人気企画
ゴンカクMMA委員会がDREAM2大会を斬る!
・第5回会合 ミドル級GP7試合と青木vsカルバン戦を徹底分析
「ジャカレイの強さとは何か?」
・第6回会合 ライト級2回戦3試合ほか全8試合を徹底分析
「宇野薫の戦い方に日本人の理想形を見た!」

総合の達人。84kg
MASTERS of Mixed Martial Arts

長南亮×ジェイソン“メイヘム”ミラー
チームクエストの“最狂”コンビ大放談
「俺たちはMMAに首ったけ!」

[4.29 DREAM.2 ミドル級GP 2008 開幕戦]
金泰泳
「次の相手はジャカレイかな。“怖い金泰泳”をお見せします」

ゼレク“弁慶”ガレシック×ゲガール・ムサシ
覇道をゆく欧州の弁慶と武蔵


【特集】
祝・創刊22周年記念&『ゴング格闘技』復活!
『ゴンカク』のあの日、あの時、あの企画を振り返る。
舟木昭太郎、熊久保英幸……歴代編集長が語る「思い出のゴン格」

【この人に聞け!】
谷川貞治FEG代表が宣言!
これからは“格闘技の奥深さ”を見せていく
「青木vsカルバンと、田村vs船木を同じ目線で見ないでね」

ほか、水道橋博士も絶賛の“ゴンカク”的ディープ企画満載な一冊です!
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