小久保ジャパンが抱える4つの課題 メンバー選考は正しかったのか?
初の国際大会に臨む小久保ジャパン。発表された最終ロースターからは課題も見えてくる 【Getty Images】
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左腕2名のみ、過去WBCは4〜6名
選手一人ずつを丁寧かつ力強く読み上げた小久保裕紀監督は、最後に「世界一」の言葉を付け加えた。就任後、初めて臨む順位を決める国際大会。今年7月16日に一次候補65名、9月10日にはロースター45名を経て、満を持しての最終メンバー発表となったが、決して問題がないわけではない。
まず投手13名の名簿を見て誰もが気付くのが、左腕の少なさだ。今季13勝を挙げた大野雄大(中日)と、高卒2年目で33セーブを挙げた松井裕樹(東北楽天)の2人のみ。この選出自体に文句はないが、一次候補の時点では全8名(他に宮西尚生、吉川光夫、高橋朋己、菊池雄星、松葉貴大、岩田稔)を選びながら、45名ロースターの際には3名(大野、松井、高橋)となり、さらに高橋が9月下旬に右足首骨折(全治2カ月)で離脱すると、一気に左右のバランスが悪くなってしまった。
小久保監督は「先発投手で中継ぎ、抑えに回ってもらう選手も出てくる」と大会限定でのコンバートを示唆したが、右投げを左投げにするわけにはいかない。2006年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では4名(藤田宗一、和田毅、杉内俊哉、石井弘寿※1次リーグ後に負傷離脱)、09年WBCでも4名(岩田稔、内海哲也、山口鉄也、杉内俊哉)、さらに13年WBCでは6名(能見篤史、杉内俊哉、森福允彦、内海哲也、大隣憲司、山口鉄也)の左腕が名を連ねた。今季の成績を重視して選出した印象が強いが、結果的に左腕2名のみとなった小久保ジャパンが、最大で8試合を戦う中で“継投の硬直化”に陥る危険性は拭い切れない。
嶋不調で絶対的存在がいない捕手陣
これまで正捕手を務めていた嶋だが、今季のチームおよび自身の不調から、絶対的存在とは言えなくなった 【Getty Images】
小久保監督はこれまで嶋をチームリーダー的な存在として重用してきたが、今季の嶋の成績(打率2割1分9厘、4本塁打、18打点)と所属する楽天の成績(最下位、チーム防御率は12球団ワーストの3.82)を鑑みると、侍ジャパンの正捕手としては疑問符が付く。高い守備力を持つ炭谷も、バットでは今季打率2割1分1厘、4本塁打、35打点と期待薄。45名のロースターを変更してまで選出した中村悠も、ヤクルトをリーグ優勝へ導いたリードは評価できるが、攻撃面では今季打率2割3分1厘、2本塁打、33打点と大きな期待は持てない。
過去、06年WBCでは里崎智也が大会ベストナインに選ばれるほどの大活躍を見せ、09年WBCでは城島健司、13年WBCでは阿部慎之助が、ともに「4番・捕手」として攻守に圧倒的な存在感を示した。果たして、今回の小久保ジャパンはどうか。守備力においては、過去の正捕手とそん色ないと言えるが、少なくとも打力という点においては見劣りしてしまう。